27 / 32
剣魔闘技祭6
しおりを挟む決勝当日であるが、一方で一国が魔王により消失したニュースが世間を騒がしている。
「ラズバこく、たしかマリアスが戦ってたところ。カー帝国の抑止力にもなるしけっかはいいのかな」
陽気に捉えるメェルアーとは裏腹に、勇者の働きが見られないや勇者がいてなぜ魔王軍が力を振るうのかなどさまざまな世論が飛び交っていた。
「メェルアー•オレンズ。体調の方はいいのか?」
「うん、平気。なんでかわかんないけど完全に治ってる」
「まぁ精密検査の結果も特に問題なしだからな。不思議だなものだ、昨日は最悪魔術師生命に関わるなんて先生が大騒ぎしてたんだぞ」
「そんな話聞いてない」
「心配させないようにみんな普段通りに接してたんだよ。同郷の友達も来ていたが、そっちには伏せておいたぞ」
「かんしゃかんげき。あいつはかってにわるいほうにかんがえて暴走するから。」
「今日は本番だ、気を引き締めていけよ」
ムリアスの激励を受け、医務室から控え室に向かうメェルアー。
「朝ごはん食べ忘れてた。まだじかんあるしそとにたべてくるか」
街の朝は早い、節魔法という法律のせいで夜遅くに魔石で灯す行為は抑制されている。
そのため明るい時間になるべく働いて、暗くなったら寝るというのが習慣になっているとのこと。
「アーフェと初めて食べたおみせだ」
「いらっしゃいませ。御注文は……では少しお待ちください」
ガルフォルランケーキを受け取り、空いている席に着く。
朝から多くの人で賑わっている。
「じょうちゃん勇者の子だっけ?朝から解体の仕事で見れねぇけど頑張ってくれよ!」
「俺の娘も大会出てるんだ、当たったら教えてくれよな!アーノってんだ」
「うん、かんはう。わはしはゆうひょううる」
中には出回ってる記事についてのことを聞いてくるものもいた。
「嬢ちゃん魔王軍が暴れ出したみたいだけど、王様から軍関係の話とか聞いてない?」
「わたしはわからない。けど、いまわたしがいってもせんそうがあっかすると大臣に止められた」
「カー帝国とオロー王国についての影響については聞いてるのか?ラズバ国と言ったら二国間にある国だろ」
「んー、わからない。だけどうぃるんず国とやらはカー帝国にかせいしたってきいてる」
「オロー王国はそろそろまずいんじゃないか?」
「やめとけよ、オロー王国の関係者も来ているんだぞ」
「まぁみんな言うのは勝手だけど、やるのは難しいんだよ」
メェルアーは席を立つ。
練習場へ足を運ぶメェルアー。なのしれた商会やパーティが敗退した人達と何やら言葉を交わしている様子。
「ここはつかえなさそう、ほかのばしょはあるかな」
決勝当日なのもあってか練習場はどこも埋まっていた。
それにどことなく警備も厳重になっていた。
「メェルアーちゃんだよね?あーぼく覚えてない?生徒会の会計してるハルリアスだよ」
「あー、四年生の人。今日は生徒会の服、落ちた?」
「それがあんま大きい声でいわれんけど、昨日君らが問題起こしたのがカー帝国の軍関係者だったんだわ。情報漏洩を防ぐために辞退して見周り。お陰様で昨日僕がボコした子が決勝戦やわ」
「おきのどくに。でも先輩なららいねんかてばいい、そうそう勝てる人はいない」
「それは嬉しいね。まっとりあえずそう言うことだから今日は警戒レベルマックスのピリピリ生徒会ってわけ」
「了解した、異変があったらつたえる。それから私に似た一年黄組のせいとがいたら、メェルアーがよんでたってつたえて」
「えっとあーあの子ね。雷神だっけ?ってもうおらんわ」
メェルアーは練習場が空いてないから控え室に向かった。
決勝前の控え室ともあり、食事やら高そうな飲み物が配備されていた。
「ほんにんしか開けられないタイプの魔錠付き、ハルリアス先輩の会計術がいきているのか」
妙な納得をして席に座る。
「メェルアーが眠りましたね。もしかして私に新しい魔術を考えさせて実践で使う予定ですか」
メェルアー自体、魔術の使い方が特殊である。しかしそれはあくまで変な使い方をする域。
女神は別の世界や神代文字の解読によりこの世界でお目に掛かることのない魔術を用いる。
「優勝が掛かってくるとメェルアーの冷静さが変わるので下手なことはできません。となれば補助系で何か新しいものを」
「ミスリルシールド、アイアンエッジ…それからあれですね」
どこからともなく出した本で何を使うか詠唱を見ていくメェルアー。
「我が力に呼応して白銀の守護を与えたまえ!」
格子状に形成された無の魔力の合間を埋めるように展開される高濃度の光の魔力。
抵抗魔術の中ではIIの部類だが扱いではⅪの部類、防壁型結界という応用魔術。
魔力量の高さより、本人のイメージが重要となる為、かなり難易度が高い。
「我が力に呼応して鉄の剣を」
マリアスの使う錬金術とは違い、魔力で作り出す剣。
無の空間から物体を生成する高度魔術は指定難易度Ⅸ。
つまり学生レベルではない。
だが、剣を作るだけと言った能力面で見れば大した魔術ではない。
魔力でものを作るという行いに対しての難易度である。
「我が力に呼応して反響せよ」
リフレクターの応用魔術。空間を覆うほどの反射空間を生み出し、任意のタイミングでのみ、反射させる。
難易度Ⅶの、大魔力喰らいと暗喩される魔術。
ドーム状に魔力を展開し、必要時に的確な魔術操作をすることで反射可能。
欠点は魔力消費量と、効率性。
「メェルアーならうまくやれるでしょう。優勝したら今度は上級生です、マリアス曰く三年生は魔王軍の可能性が高いので警戒ですが……他の学年はワードルズさんより弱いとの事なので」
本を閉じ、軽く伸びをするメェルアー。
勇者原本で作ったポーションを飲み魔力を元に戻し、体を軽くほぐし始める。
「オーバープレイズの要因に凝りというのもありましたからね、魔力で片付けられていますがマッサージなども重要なのですよ」
そうこうしていると控え室の扉がノックされた。
「メェルアー・オレンズ選手。時間ですよ」
「はーい。私まだ女神のままですが……メェルアーは起こせませんね」
仕方ないと装備を整えて部屋を出る。
「相手選手が待っているので闘技場の方へお願いします」
「うんわかった」
案内に従い舞台へ向かう。
「(これ逆に私が寝たらどうなるのでしょうか)」
0
あなたにおすすめの小説
異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~
松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。
異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。
「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。
だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。
牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。
やがて彼は知らされる。
その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。
金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、
戦闘より掃除が多い異世界ライフ。
──これは、汚れと戦いながら世界を救う、
笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
男が英雄でなければならない世界 〜男女比1:20の世界に来たけど簡単にはちやほやしてくれません〜
タナん
ファンタジー
オタク気質な15歳の少年、原田湊は突然異世界に足を踏み入れる。
その世界は魔法があり、強大な獣が跋扈する男女比が1:20の男が少ないファンタジー世界。
モテない自分にもハーレムが作れると喜ぶ湊だが、弱肉強食のこの世界において、力で女に勝る男は大事にされる側などではなく、女を守り闘うものであった。
温室育ちの普通の日本人である湊がいきなり戦えるはずもなく、この世界の女に失望される。
それでも戦わなければならない。
それがこの世界における男だからだ。
湊は自らの考えの甘さに何度も傷つきながらも成長していく。
そしていつか湊は責任とは何かを知り、多くの命を背負う事になっていくのだった。
挿絵:夢路ぽに様
https://www.pixiv.net/users/14840570
※注 「」「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています。
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
異世界に転移したらぼっちでした〜観察者ぼっちーの日常〜
キノア9g
ファンタジー
「異世界に転移したら、ぼっちでした!?」
20歳の普通の会社員、ぼっちーが目を覚ましたら、そこは見知らぬ異世界の草原。手元には謎のスマホと簡単な日用品だけ。サバイバル知識ゼロでお金もないけど、せっかくの異世界生活、ブログで記録を残していくことに。
一風変わったブログ形式で、異世界の日常や驚き、見知らぬ土地での発見を綴る異世界サバイバル記録です!地道に生き抜くぼっちーの冒険を、どうぞご覧ください。
毎日19時更新予定。
『異世界に転移した限界OL、なぜか周囲が勝手に盛り上がってます』
宵森みなと
ファンタジー
ブラック気味な職場で“お局扱い”に耐えながら働いていた29歳のOL、芹澤まどか。ある日、仕事帰りに道を歩いていると突然霧に包まれ、気がつけば鬱蒼とした森の中——。そこはまさかの異世界!?日本に戻るつもりは一切なし。心機一転、静かに生きていくはずだったのに、なぜか事件とトラブルが次々舞い込む!?
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる