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話は戻り焼死体事件
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オリースト地区の子供達にパンを分け終えると夜になる。
「ちょうど無能めと、笑う鬼が現れますね」
死体は回収されても、臭いは残る。現場は保存魔術でそのままにされているケースが多いので頷けるが、臭いまで残す必要はあるのだろうか。
「そんな必死に探しても見つかりませんよ?」「っ、なんだ昼間の特無官様か。認定書はもう出したんだろ?なんのようだ」
認定書を出すと犯人は確定し、即刻当局より派遣された精鋭に取り押さえられる。
「貴方のようなベテランが気付きませんか?認定書が出されたのならなぜこの場所に保存魔術が掛けられているのかを」「知っていたさ。どうせお前らじゃ見つけられん。だから地道な捜査を」「焦って気付かなかったんでしょ?それに、犯人はもうわかりましたよ。貴方ですよ」
何を言っている。私が犯人だと?なんて顔はしない。真顔だ。ああいった反応は余裕がないか勘違いしがちな二流、一流の犯罪者はみなこうである。バレたならその上でどう動くかを考える顔を見せる。
「アツリア・ベルトルーペ。特定事象調査班及び内偵部隊、隣国のスパイですよね?それに気付いた彼女を殺した」「言い訳のしようもない。そこまで調べがつくとはな」「特無官なので、これくらいできなければ皆の税金で生活しようなど恐れ多い」
あとは、どう動いて来るか。魔術的予備動作は感じ取れない。逃げる時に出る特有の臭いも出てはいない。隣国アルビスタの兵なら無論、魔術無しの戦闘も可能だ。
「貴方が本当に知りたい情報でしたら特無官になるべきでしたね。魔術式を用いない特殊な道具による擬似魔術行使……呪いで魔力が安定しなくなった国なら喉から手が出るほど欲しいものですからね」
ここから相手の動きを推測するなら、銃だろう。なぜなら最後に一本吸わせてくれと許可なしに懐へ手を忍ばせるから。プロならば頭、胸くらい同時に撃ち抜く。情報が欲しければ両足。
「捕まることに悔いはねぇ……」「ならその隠し持ってる銃はいりませんね」
言い終わらないくらいで両肩が吹き飛ぶほどの衝撃を受けた。回転式の結構強めであると想定。のこり四弾。服の上から銃撃をすることは想定内、火力だけは想定外だった。
「そうさ、だからお前さんを捕獲して洗いざらい吐いてもらおうかと」「っ、かなりの腕ですね」
2弾が脚に当たる。なんとか立ちあがろうと付いた左手の甲に一段、それを押さえた手にもう一弾。
「特無官は魔術が使えないってマジものだったんだな。と言っても対魔術弾を撃ち込んだから撃てないがな」「一つ、貴方は勘違いをしている」「この状況でまだ喋れるのか」
魔術が使えない―それは間違いである。魔力がないのだ……じっさい私自身、血を贄に精霊を介して魔術を打つことが可能である。
「特無官の条件って知っていますか?」「お国が定めた魔力皆無認定をクリアしたものだろ?」「精霊召喚ってしってますか炎」
義眼から火が出る。タルパは対魔術弾の影響を受けない、それに魔力回流を読めないためバレずに行使可能である。
「ぐぁぁぁ?!やりやがったな」「ふふん、本人に限りという話ですよ」
アツリアを見下ろす、銃を奪い主導権を完全に握った状態である。ここで油断はしない。
「精霊の鼻歌……この術はあなたを三日ほど昏睡状態にするものよ。特無遂行」
アツリア・ベルトルーペを引きずる。専用のトラックはもう既に止まっている、詰め込んで終わりだ。認定書九枚分×1500トドル。
「これ頼みます。え?そうですね、そうします。私の順位確認できますか?」「今9位だぜ?十枚にできたから8行けるんじゃないか」「本当ですか!!!ありがとうございます」
今年の順位発表一位289枚を超すために必死に集めた、温めたネタ。一件当たり10枚はかなりおいしい。
「うへへ、ちょっと豪華なご飯を食べて寄付できる。さーて寮に戻りますか」
特無官寮、入り口の門は固く閉ざされている。門番に任務外出許可証を渡して認可印を受ける。19:00から29:00までの間、特殊任務のため外出をしますというものだ。
「これお願いします。特無官ムューラ•オリースト帰還しました」「証明書の提示を。第三特殊事例取扱班、認定特無官ムューラ•オリーストですね?帰還確認終了しました」
塀に囲まれた寮、車道と歩道に分かれた一般の町とそん色ない。自動三輪で中を移動する。かなりひろいのでこれがなければ移動だけで一時間はとられるだろう。
「ムューラ•オリースト帰宅しました。先輩戻りましたよ」「うぇーい!10枚だって?まだ私にゃ追い付けんけどかなり頑張ったな」「はい、先輩を超すのも早いかもしれません」
次の起床時刻までに議事録を書き、まとめていく。すべて税金で活動しているため、すべての活動に記録を付けて提出する義務がある。
「敵国のスパイを吊ったので勲章授与もありえますよ」「それは美味しいね」
報告書を書き終えてベッドへと入る。四肢両眼を欠如してから疲れというモノが無い。全身を巡るのはエーテルであり、日常で老廃物を排出することもない。
ではなぜ横になるの?落ち着くからである
まぁただ今日に限ってはそんなことはないようだ。連絡が鳴る。
「緊急、洞窟にて死亡事件発生。魔力測定の結果、死亡理由に繋がる魔力関与が見られないため無特出動の要請。ムューラ特無官は即座に支度せよ」「先輩行ってきますね」「洞窟か、結構難解かもしれない。気をつけて」
ここ最近冒険職、富豪の遊びに近いがそんな事が流行っている。今回事件が起きたのは過去に3回先輩が担当し挫折した事案、コキューラ水中洞窟死亡事故。
「ムューラです。要請があるので外出許可をもらいにきました」「はいよ。これ書いて。二度目の要請なんて珍しいね」「先輩の推薦ですよー」
「ちょうど無能めと、笑う鬼が現れますね」
死体は回収されても、臭いは残る。現場は保存魔術でそのままにされているケースが多いので頷けるが、臭いまで残す必要はあるのだろうか。
「そんな必死に探しても見つかりませんよ?」「っ、なんだ昼間の特無官様か。認定書はもう出したんだろ?なんのようだ」
認定書を出すと犯人は確定し、即刻当局より派遣された精鋭に取り押さえられる。
「貴方のようなベテランが気付きませんか?認定書が出されたのならなぜこの場所に保存魔術が掛けられているのかを」「知っていたさ。どうせお前らじゃ見つけられん。だから地道な捜査を」「焦って気付かなかったんでしょ?それに、犯人はもうわかりましたよ。貴方ですよ」
何を言っている。私が犯人だと?なんて顔はしない。真顔だ。ああいった反応は余裕がないか勘違いしがちな二流、一流の犯罪者はみなこうである。バレたならその上でどう動くかを考える顔を見せる。
「アツリア・ベルトルーペ。特定事象調査班及び内偵部隊、隣国のスパイですよね?それに気付いた彼女を殺した」「言い訳のしようもない。そこまで調べがつくとはな」「特無官なので、これくらいできなければ皆の税金で生活しようなど恐れ多い」
あとは、どう動いて来るか。魔術的予備動作は感じ取れない。逃げる時に出る特有の臭いも出てはいない。隣国アルビスタの兵なら無論、魔術無しの戦闘も可能だ。
「貴方が本当に知りたい情報でしたら特無官になるべきでしたね。魔術式を用いない特殊な道具による擬似魔術行使……呪いで魔力が安定しなくなった国なら喉から手が出るほど欲しいものですからね」
ここから相手の動きを推測するなら、銃だろう。なぜなら最後に一本吸わせてくれと許可なしに懐へ手を忍ばせるから。プロならば頭、胸くらい同時に撃ち抜く。情報が欲しければ両足。
「捕まることに悔いはねぇ……」「ならその隠し持ってる銃はいりませんね」
言い終わらないくらいで両肩が吹き飛ぶほどの衝撃を受けた。回転式の結構強めであると想定。のこり四弾。服の上から銃撃をすることは想定内、火力だけは想定外だった。
「そうさ、だからお前さんを捕獲して洗いざらい吐いてもらおうかと」「っ、かなりの腕ですね」
2弾が脚に当たる。なんとか立ちあがろうと付いた左手の甲に一段、それを押さえた手にもう一弾。
「特無官は魔術が使えないってマジものだったんだな。と言っても対魔術弾を撃ち込んだから撃てないがな」「一つ、貴方は勘違いをしている」「この状況でまだ喋れるのか」
魔術が使えない―それは間違いである。魔力がないのだ……じっさい私自身、血を贄に精霊を介して魔術を打つことが可能である。
「特無官の条件って知っていますか?」「お国が定めた魔力皆無認定をクリアしたものだろ?」「精霊召喚ってしってますか炎」
義眼から火が出る。タルパは対魔術弾の影響を受けない、それに魔力回流を読めないためバレずに行使可能である。
「ぐぁぁぁ?!やりやがったな」「ふふん、本人に限りという話ですよ」
アツリアを見下ろす、銃を奪い主導権を完全に握った状態である。ここで油断はしない。
「精霊の鼻歌……この術はあなたを三日ほど昏睡状態にするものよ。特無遂行」
アツリア・ベルトルーペを引きずる。専用のトラックはもう既に止まっている、詰め込んで終わりだ。認定書九枚分×1500トドル。
「これ頼みます。え?そうですね、そうします。私の順位確認できますか?」「今9位だぜ?十枚にできたから8行けるんじゃないか」「本当ですか!!!ありがとうございます」
今年の順位発表一位289枚を超すために必死に集めた、温めたネタ。一件当たり10枚はかなりおいしい。
「うへへ、ちょっと豪華なご飯を食べて寄付できる。さーて寮に戻りますか」
特無官寮、入り口の門は固く閉ざされている。門番に任務外出許可証を渡して認可印を受ける。19:00から29:00までの間、特殊任務のため外出をしますというものだ。
「これお願いします。特無官ムューラ•オリースト帰還しました」「証明書の提示を。第三特殊事例取扱班、認定特無官ムューラ•オリーストですね?帰還確認終了しました」
塀に囲まれた寮、車道と歩道に分かれた一般の町とそん色ない。自動三輪で中を移動する。かなりひろいのでこれがなければ移動だけで一時間はとられるだろう。
「ムューラ•オリースト帰宅しました。先輩戻りましたよ」「うぇーい!10枚だって?まだ私にゃ追い付けんけどかなり頑張ったな」「はい、先輩を超すのも早いかもしれません」
次の起床時刻までに議事録を書き、まとめていく。すべて税金で活動しているため、すべての活動に記録を付けて提出する義務がある。
「敵国のスパイを吊ったので勲章授与もありえますよ」「それは美味しいね」
報告書を書き終えてベッドへと入る。四肢両眼を欠如してから疲れというモノが無い。全身を巡るのはエーテルであり、日常で老廃物を排出することもない。
ではなぜ横になるの?落ち着くからである
まぁただ今日に限ってはそんなことはないようだ。連絡が鳴る。
「緊急、洞窟にて死亡事件発生。魔力測定の結果、死亡理由に繋がる魔力関与が見られないため無特出動の要請。ムューラ特無官は即座に支度せよ」「先輩行ってきますね」「洞窟か、結構難解かもしれない。気をつけて」
ここ最近冒険職、富豪の遊びに近いがそんな事が流行っている。今回事件が起きたのは過去に3回先輩が担当し挫折した事案、コキューラ水中洞窟死亡事故。
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