無能鑑定人のムューラ

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超難関事故_水中洞窟3

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ボンベ製造元_アーペリウム社の技術開発本部。
街に多い古風な工房とは違い、近代的な機械工学を象徴とする作り。自動人感式開閉機がご丁寧に付けられている。

「963回、変えたのは昨日ですね」「なんで分かるんだ。特無官ってのは魔石の消費率までやるのか?」「事件特定の為に必要な知識はなんでも取り入れますよ。とくに私は魔術に関わらない案件なので、過剰レベルの知識を保有しています」

受付に行き身分を明かす。特無官が企業に来ること即ち疑いがありますということだ。今回幸いなことに、社員の一人があの現場に居たのでその関連ということで捜査可能。変な詮索を掛けられ監視なんかを付けられては計画が水の泡だ。

「そうですね。該当社員への聞き取り調査とついでに社会見学も含めて工場の方なども見させていただければと」「はい、それではこちらに魔導具等は預けてください。会社内にいる時はこのネームプレートを首から下げてくださいね?」

難航することもなく無事に発行出来た。魔導具は今回一切持ってきていない。相手は魔導具メーカーだ、預けている間に何をされるかわかったもんじゃない。首につけたネームプレートを軽くスキャンしてみるが、ただの紙と石油化合物。

「広いな。この音的に床は大理石か?」「そうですね。高級なイメージと頑丈さが人気の建築資材、一方で工場などの煙突から出される黒い煙が作った雲から滴る雨で溶けたり輝きを失う残念な性質もあります」

ガラス張りの大きな廊下を抜けて奥へと進んでいく。監視役がいないのは有難いが。案内人を付けないとは、信頼ゆえなのか客として扱われていないのか。

「さてそろそろ付きますね。技術開発顧問室」「エイストリア語ばっかでよく読めるなぁ」「特無官の言語試験は8ヶ国語ありますからね」

顧問室に入るとあの時現場に居た一人が立って待っていた。

「ムューラさんお久しぶりです。そちらの方は?」「事前に伝えていた助手の方です。コールズと言って見習いですが」「よろしくお願いします」「はいよろしくお願いします。それで早速あの件ですね」

コーヒーを淹れながら話を進める男、第一被疑者のオルレ・アン・ウォー。年齢は24歳でアーペリウム社では最年少幹部と言われている。

「早速なんですが、事前に伝えた物はありますか?」「これですか?今出している中で最も死亡件数の多い製品の気体比率捜査表ですよね」「そうです。別に貴方を疑っている訳ではありませんよ。逆に守る為調べていると思ってください」

可燃性活性化気体59%(オキシゲンと名付けられている気体の工業名)
非活性化気体31%(ニトロゲンと名付けられている気体の工業名)
その他10%
 
「なるほど、臨床試験時点でこの数値は問題なかったのですか?」「潜る深さを変えると危険性が高まる事があったのでオキシゲンの高い物は浅い所で長時間動くようにと作られた物です」「確かにあの場所の深さなら……」

秘密機関と言われる特殊道具発明専門部署でも実験をしてもらった。同じ濃度でやると浅瀬でも68.2%ほどの確率で一週間程度後遺症の残る深刻な意識障害などが起こる。
活動面や、利便性を加味してもオキシゲンは30%ほどが最適解である。

「臨床のデータも、ありがとうございます。臨床時27.4%が一番安定しているようですが?これでいけない理由があったんですか」「それはお答え出来ません。ですが我が社は排出する予定の息を利用して濃度を段階的に下げていきます。深い深度に達したとしても問題は起きにくいはずです」「ありがとうございます。それでは見学の方させてもらっていいですか?」

着替えてくださいねといいながら、彼は友達と写ってる写真を伏せた。着替えは勿論埃等を持ち込まないようにするための処置だ。
魔導具部分を見られたくないので一瞬で着替えて外でコールズを待った。

「お待たせ。早いな着替えるの」「概ね分かりましたので見学したら帰りましょう」「だいたい察しはつくぜ、アレとこれだろ。帰り話すか」

アレとこれで目と耳を見てきた。そう言う事だと目を瞑る。監視されている以上は下手に言えない。

「お二人ともお待たせしました。こちらがタンクの試験場です」「なんだこのどでかい水槽は!」「この中にタンクを入れて蓋をし、圧をかけて破裂しないか確認を行います」「なるほどなぁ。あっちは実際に潜ってるな」「専用の医師も着いて安全管理もしっかりやっていますからね」

事前裏調査表と変わらない機器、当たり前だろう。工場内は三十五人ほど、安全帯も身につけてかなり慎重な姿勢で向き合っているようだ。

「(こんなしっかりしたとこがやらかすのか?)」「(彼は百パー悪くないと思われる)」「少し先に地下整備室もあります、こっちで数字などを管理しています」

地下整備室に着いたタイミングで扉を閉め、鍵をかけるオルレ。コールズが身構える。

召喚精霊タルパ……」
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