無能鑑定人のムューラ

文字の大きさ
12 / 25

タンク会社による隠蔽工作

しおりを挟む
「ムューラ、聞いたか?遺族の署名を集めて開示請求を棄却する動きが出ているらしい」「だと思いましたよ先輩」

裁判から三日経過した。一見穏やかな現状、水面下では一度入ったら抜け出せないほどの驚懼が迫っている。

「それからこれを。特無の諜報部から」「なるほど、私の暗殺。安直な敵ですね」「気を付けたほうがいい。私は可愛い後輩をまた失うのは嫌だからな」「安心してくださいよー先輩!私は一度死んだ身ですから」

遺族が署名を簡単にするはずがない。金や何かしらの脅しと言ったところか。私の暗殺に関しては、魔術者による暗殺が企てられているそうなので問題はなし。許可証をもらい一週間ほど外へ出る事にした。

「魔通信よし。まさか上官から許可が出るなんて」

休暇の外出なら一週間くらい余裕だ、仕事の一週間はなかなか取らせてくれない。理由は魔術的痕跡は残り易いが、物的痕跡は流され易いため。相手に猶予を与えずして捜査を終わらせるのが特無官という組織の意義。
あいにくの雨ともあって人通りは少ないが、顔馴染みのお店なら色々聞けるだろう。

「署名について詳しそうな人は……そうでしたコールズは今避難所でした。ふむー」「あらムューラちゃん。悩み事?」「成果店のお姉さん!そうですね仕事なのですが、例のタンク騒動で遺族署名を向こう側が集めて始めたので」「あの事件ねぇ、署名について知りたいのよね?私の旦那呼んでくるわ~」

成果店のオーナー、アッドが店奥から出てきた。そういえば彼の弟は……

「昨日うちにアーペリウム社を名乗る男達が大金を持ってきて、公開について署名をお願いしてきた。示談という事にしてこちらに署名頂ければとな」「これはまた」「もちろん、ムューラちゃんが頑張って得た成果だ。しっかり突っぱねた」「ありがとうございます、もし危険な目に合いそうなら教えてくださいね?彼等は平気で何かやらかします」

いや、この忠告は不必要であるか。署名を突っぱねて今現在無事、そもそも元警察隊に居たアッドを狙うという意味を理解しない訳じゃない。

「ムューラちゃんこそ気をつけなよ。俺とかは金かけて殺すだけの価値はないが、ムューラちゃんは」「御忠告感謝致します。ですが危険に飛び込んでこその特無官、その手の対応はバッチリですよ」

店を後にして郊外へ赴く、理由は追手の排除をする為。

「そろそろ出て来てみては?」「…………」

無言の襲撃。使用兵装から動きを推測してみる。外套は見た目や動作を隠すのに最適、若干の膨らみから何かしらの投げ道具だろう。

「針ですね、確かに的確な急所突きにはいいですね」

なぜか殴ると危ない場所や、擦り傷に思えて重症になる箇所が存在する。医学的に血が出易い、リンパという魔力循環器が存在する、臓器があるなどなど。理由は様々だがそれを的確に狙える力があれば突然死なんてものを偽装できる。

「それは急所が人の道理にあるもの前提ですがね。一般人ならいざ知らず、特無官相手にその技術が使えると思いますか?」

飛んできた針は眼に向かっていた。殺せという指示だろう。特定の角度で眼球を貫かれるとそのまま頭の中まで達して死んでしまう。

「おっとっと、危ないですね。おや今顔を歪めましたね?雰囲気で分かりますよ、激毒ですか。甘いですね、浸透性にすればもう少し見つかりにくく倒せますのに」

原理解明はしっかりとされていないが触れた瞬間から表皮を腐らせていくものと内部浸透して内的に重症度合いの高い火傷を引き起こす。

「死体が残ってでも殺せばいいというのがまた、そもそも貴方の攻撃なんて簡単に見切れますのに」

短剣で突撃してくる暗殺者の手首を掴み、そのまま手を後ろに引く。勢いで前に出た暗殺者の腹に蹴りを入れてよろめいた所を捕獲。

「いいですか?仮に貴方が百人いても勝ち目はないんですよ、それが特無官です。絶対的な力を持っているがそれを国家治安維持活動に向けるのが目的です。なので税金で暮らしている頭の硬い集団と思い簡単に依頼を受けると、死にますよ」

未だなお無言。それどころか関節を外し簡単な縄抜けをしてみせた。

「おかしいですね、骨に通したのに。まぁいいですよへし折るので」



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

異世界に転生!? だけどお気楽に暮らします。

辰巳 蓮
ファンタジー
「転生して好きに暮らしてください。ただ、不便なところをちょっとだけ、改善していってください」 とゆうことで、多少の便宜を図ってもらった「ナッキート」が転生したのは、剣と魔法の世界でした。 すいません。年表書いてたら分かりにくいところがあったので、ちょっと加えたところがあります。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

【完結】悪役令嬢ですが、断罪した側が先に壊れました

あめとおと
恋愛
三日後、私は断罪される。 そう理解したうえで、悪役令嬢アリアンナは今日も王国のために働いていた。 平民出身のヒロインの「善意」、 王太子の「優しさ」、 そしてそれらが生み出す無数の歪み。 感情論で壊されていく現実を、誰にも知られず修正してきたのは――“悪役”と呼ばれる彼女だった。 やがて訪れる断罪。婚約破棄。国外追放。 それでも彼女は泣かず、縋らず、弁明もしない。 なぜなら、間違っていたつもりは一度もないから。 これは、 「断罪される側」が最後まで正しかった物語。 そして、悪役令嬢が舞台を降りた“その後”に始まる、静かで確かな人生の物語。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

処理中です...