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特無官の戦い方
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縄抜けした殺し屋は一旦距離を置いた。逃げないと言うことはここで仕留めると言う意思表示だろうか。
舐められたものだ、どちらが狩られる側かの理解がない。
「最低でも依頼人の口割りはしてもらいますので、殺しはしませんよ。それに重要参考人ですし。さぁきてください」「……」
無言の回答。攻撃動作が見て取れる。
短刀と針が同時に迫る。短剣に刺されば針は回避できる。どちらを取るか。
どちらも取らない。魔導具へのリンクを切って崩れるように地面へ倒れる。
「……!」「残念、あなたの下ですよ。暴風精霊」
下から巻き上がる風の魔力に打ち上げられ、バランスを崩す殺し屋。しかしその態勢からも変わらず針を飛ばしてくる。
効かないとはいえ、これほどの技術を見せつけてくるとは感服である。
「やりますね。ですが私に勝てると思いますか?天空の灯火や導きを与えよ・汝は―」
外套で全身を覆い攻撃に備える殺し屋。魔術を使えないはずの特無官が使っている事に身構えたのだろう。
「その判断が仇となりますよ。檻に囲え」
精霊封印で外套に包まったままの殺し屋を檻に閉じ込めた。
精霊封印は魔力を阻害し、物理を相殺する力を持っている。
「さぁ依頼主について吐かなければ段々と檻が小さくなりますよ」
返事も無ければ動きも無い。一流ともなれば無駄口は挟まないのだろう。いや違う、中にはいない。
「捉え損ないましたか。そういう時はやっぱり後ろですよねっ」
強烈な衝撃を腕に受けて横の壁へとぶつかる。折れた配管から汚い水が噴き出て粉とかした混凝土を灰色の水へと変えていく。
「いってて……どうするんですか。幸いの雨で流れますが」
特無官の制服が若干破れて無機質な腕が顔を覗かしている。手応えで違和感に気付いているはず。なら隠す必要もない。
現に相手の目は腕を見ている。
「そうですよ?義手ですね、治せなかったので」「……」
それがどうしたと言わんばかりの追撃、拳が肉体を抉る様に飛んでくる。
「さすがは殺し屋ですね。的確に魔導具ではなさそうなパーツを狙ってくる」
殺し屋の少年が動きを早める。首に、手に、足に、鋭い切先が服を裂き薄皮へ触れる。
「あんまり使いたく無いんですけど。私もやり返しますよ」
少年の腹に掌を当てる。肘は90度に曲げて、発射。曲げられた肘から細い鉄芯が飛び出る。
「ふぅ、生きてはいますよね?」「……」
先を細められたホースの様に鋭く吐血する少年。
改良魔導具、発勁を擬似的に可能としたもの。仕組みは鉄芯を魔力で無理やり圧縮していた物を解き放つ。その時の伸縮エネルギーが掌から噴出され、肘の後ろから鉄芯が飛び出る。
「立っているのがやっとでしょう。っと!まだきますかっ、誰ですか貴方は」「コイツの同僚さ、美味そうな依頼だし危険そうだから手伝いに来たってわけだ」
データベースで確認したことのある男、コイツは暗器の達人である。
「ヴェン・チェー・ホウリン、暗器鏖殺人と噂されている危険人物ですね」「よく知ってるな。ほらお前は休んどけ」
左腕はさっきの発勁を撃った関係でしばらく機能しない。どう対応するか。
「特無官相手なんでな色々画策してきたんだが、何ダァその左腕は」「義手ですよ。特無官ムューラといえばわかりませんか?」「お前か!スカッドを実質崩壊させたのは!」「えぇ、クリーンな暗殺組織なんて名前は良いですけどやっていることは犯罪に変わりません。魔力を使わない手段を全て潰して警察と連携しました」
暗器のヴェンはよく捜査線上に名前が上がる、しかし実態がつかめない。
「今回のおかげでなぜ貴方の正体が掴めないかはっきりしましたよ」「それはありがたいこったなぁ!」
銃弾が頬を掠める、銃を持っているなら出てこずに最初から打てば良いものを。
「殺し屋とはパフォーマーなんですかね」「名前を売るためにはド派手で派手でパーティーな殺人ってのがいるだろう?」
装填数は八発、それを二丁不定期発射。避けることは可能だが、奥の手を知られるわけにもいかないので、壊れた左腕をうまく利用する。
「弾除けってか!まぁ良いけどな、特無官相手に一方的な攻撃できるなんて夢でもねぇ!」
狭い路地裏では跳弾がある。左腕で勢いを殺さないと……アレになる。
「ちっ、弾切れだ。装填装填っと、近付かねぇのか?」「間合いにわざわざ入るほどアホではありませんよ」「はっ!さすがは特無官か?無魔戦闘のスペシャリスト」
右目にタルパを集める。最大火力よし、ターゲットロックオン。フレア最大火力にて射出!
「なんだと!炎だと」「ふふ、着火装置くらい持っていますよ」「やりやがったな。魔導具がおしゃかじゃねーか!」
バレルの溶けた銃を捨てて次の武器に切り替えるヴェン。なんでも持っているのも考え様だ。
「その武器はあんまりなれてなそうですね」「それはどうかな!っち、読むんじゃね!」
次は左目にタルパを集める。魔術式隠蔽、高度偽装発動……ターゲットロック。
「さぁ間合いに入れましたよ。発勁!」「な、ゴッ」
武器を切り替える前に腹部へ右手で振動波を与える。口から血を吐き膝から崩れ落ちるヴェン。
「なーんてな。捕獲したぜその腕!」「しまった、これが狙いで」「動くなよ?そこのガキ撃ち殺すぞ。特無官だろうと流石にガキ殺されるのは嫌じゃないのかい?」
殺し屋の少年が倒れている方に銃を向けるヴェン。ダメージは確かにあるはずなのになぜ余裕を見せつける。
「動きませんよ。それよりなぜ?喰らったのに」「食らいに行ったんだよ。それくらい来るタイミングさえ分かってりゃ耐えれるってんだ。さぁ大人しくしろ!殺すより生け捕りの方が高いに決まってる」
壊れた両手をそのままに紐で縛り上げるヴェン。なんとかもがくが壊れた腕ではなかなか動けたものではない。
「あーそうだ、残念だったな。ガキはしくったんだ殺すぜ」
無慈悲な銃声が響く。
舐められたものだ、どちらが狩られる側かの理解がない。
「最低でも依頼人の口割りはしてもらいますので、殺しはしませんよ。それに重要参考人ですし。さぁきてください」「……」
無言の回答。攻撃動作が見て取れる。
短刀と針が同時に迫る。短剣に刺されば針は回避できる。どちらを取るか。
どちらも取らない。魔導具へのリンクを切って崩れるように地面へ倒れる。
「……!」「残念、あなたの下ですよ。暴風精霊」
下から巻き上がる風の魔力に打ち上げられ、バランスを崩す殺し屋。しかしその態勢からも変わらず針を飛ばしてくる。
効かないとはいえ、これほどの技術を見せつけてくるとは感服である。
「やりますね。ですが私に勝てると思いますか?天空の灯火や導きを与えよ・汝は―」
外套で全身を覆い攻撃に備える殺し屋。魔術を使えないはずの特無官が使っている事に身構えたのだろう。
「その判断が仇となりますよ。檻に囲え」
精霊封印で外套に包まったままの殺し屋を檻に閉じ込めた。
精霊封印は魔力を阻害し、物理を相殺する力を持っている。
「さぁ依頼主について吐かなければ段々と檻が小さくなりますよ」
返事も無ければ動きも無い。一流ともなれば無駄口は挟まないのだろう。いや違う、中にはいない。
「捉え損ないましたか。そういう時はやっぱり後ろですよねっ」
強烈な衝撃を腕に受けて横の壁へとぶつかる。折れた配管から汚い水が噴き出て粉とかした混凝土を灰色の水へと変えていく。
「いってて……どうするんですか。幸いの雨で流れますが」
特無官の制服が若干破れて無機質な腕が顔を覗かしている。手応えで違和感に気付いているはず。なら隠す必要もない。
現に相手の目は腕を見ている。
「そうですよ?義手ですね、治せなかったので」「……」
それがどうしたと言わんばかりの追撃、拳が肉体を抉る様に飛んでくる。
「さすがは殺し屋ですね。的確に魔導具ではなさそうなパーツを狙ってくる」
殺し屋の少年が動きを早める。首に、手に、足に、鋭い切先が服を裂き薄皮へ触れる。
「あんまり使いたく無いんですけど。私もやり返しますよ」
少年の腹に掌を当てる。肘は90度に曲げて、発射。曲げられた肘から細い鉄芯が飛び出る。
「ふぅ、生きてはいますよね?」「……」
先を細められたホースの様に鋭く吐血する少年。
改良魔導具、発勁を擬似的に可能としたもの。仕組みは鉄芯を魔力で無理やり圧縮していた物を解き放つ。その時の伸縮エネルギーが掌から噴出され、肘の後ろから鉄芯が飛び出る。
「立っているのがやっとでしょう。っと!まだきますかっ、誰ですか貴方は」「コイツの同僚さ、美味そうな依頼だし危険そうだから手伝いに来たってわけだ」
データベースで確認したことのある男、コイツは暗器の達人である。
「ヴェン・チェー・ホウリン、暗器鏖殺人と噂されている危険人物ですね」「よく知ってるな。ほらお前は休んどけ」
左腕はさっきの発勁を撃った関係でしばらく機能しない。どう対応するか。
「特無官相手なんでな色々画策してきたんだが、何ダァその左腕は」「義手ですよ。特無官ムューラといえばわかりませんか?」「お前か!スカッドを実質崩壊させたのは!」「えぇ、クリーンな暗殺組織なんて名前は良いですけどやっていることは犯罪に変わりません。魔力を使わない手段を全て潰して警察と連携しました」
暗器のヴェンはよく捜査線上に名前が上がる、しかし実態がつかめない。
「今回のおかげでなぜ貴方の正体が掴めないかはっきりしましたよ」「それはありがたいこったなぁ!」
銃弾が頬を掠める、銃を持っているなら出てこずに最初から打てば良いものを。
「殺し屋とはパフォーマーなんですかね」「名前を売るためにはド派手で派手でパーティーな殺人ってのがいるだろう?」
装填数は八発、それを二丁不定期発射。避けることは可能だが、奥の手を知られるわけにもいかないので、壊れた左腕をうまく利用する。
「弾除けってか!まぁ良いけどな、特無官相手に一方的な攻撃できるなんて夢でもねぇ!」
狭い路地裏では跳弾がある。左腕で勢いを殺さないと……アレになる。
「ちっ、弾切れだ。装填装填っと、近付かねぇのか?」「間合いにわざわざ入るほどアホではありませんよ」「はっ!さすがは特無官か?無魔戦闘のスペシャリスト」
右目にタルパを集める。最大火力よし、ターゲットロックオン。フレア最大火力にて射出!
「なんだと!炎だと」「ふふ、着火装置くらい持っていますよ」「やりやがったな。魔導具がおしゃかじゃねーか!」
バレルの溶けた銃を捨てて次の武器に切り替えるヴェン。なんでも持っているのも考え様だ。
「その武器はあんまりなれてなそうですね」「それはどうかな!っち、読むんじゃね!」
次は左目にタルパを集める。魔術式隠蔽、高度偽装発動……ターゲットロック。
「さぁ間合いに入れましたよ。発勁!」「な、ゴッ」
武器を切り替える前に腹部へ右手で振動波を与える。口から血を吐き膝から崩れ落ちるヴェン。
「なーんてな。捕獲したぜその腕!」「しまった、これが狙いで」「動くなよ?そこのガキ撃ち殺すぞ。特無官だろうと流石にガキ殺されるのは嫌じゃないのかい?」
殺し屋の少年が倒れている方に銃を向けるヴェン。ダメージは確かにあるはずなのになぜ余裕を見せつける。
「動きませんよ。それよりなぜ?喰らったのに」「食らいに行ったんだよ。それくらい来るタイミングさえ分かってりゃ耐えれるってんだ。さぁ大人しくしろ!殺すより生け捕りの方が高いに決まってる」
壊れた両手をそのままに紐で縛り上げるヴェン。なんとかもがくが壊れた腕ではなかなか動けたものではない。
「あーそうだ、残念だったな。ガキはしくったんだ殺すぜ」
無慈悲な銃声が響く。
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