邪剣を片手に、呪いを身体に

ソラ

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第一話 奇妙な洞窟

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背後に1匹。そして正面にも1匹。コウモリのモンスターがバサッバサッという音を立てて飛んでいる。

「・・・雑魚だな。なんで禁域の洞窟にこんなレベルの低いモンスターがいるんだ?」

洞窟に入って出会ったモンスターはこれで5匹目。正直全部弱かった。

「お宝を期待して入ったっていうのに。こんなんじゃ碌なものはなさそうだな。」

突然そのモンスターが甲高い声を上げた。

「チィッ!こいつを倒すまでこの声を聞くなんて自殺行為だ。しょうがねぇ。」

こんなところで使いたくはなかったが。服をちぎり持ってきた水に浸す。そうしてできたものを耳につけることで即席の耳栓の完成だ。気休めかもしれないが幾分かマシになったことを感じた。

「今度はこっちの番だよな?」

手持ちの剣の柄を短く持って短剣のようにする。重いと動きの素早い蝙蝠には避けられてしまうからだ。
そうして1匹のモンスターに突っ込んで羽を切る。飛べなくなったらもう簡単だ。腹に剣を突き立てるかのようにして刺す。グロテスクな紫色の血が流れるが、気にしない。

「さあ、まだやるか?」

そうしてもう1匹を睨め付けると、ギィーギィーと鳴いて逃げていった。無駄に体力は使いたくねえ。

さてと。もう絡まれるのは懲り懲りだ。さっさと奥まで行って宝を回収しちまうか。

この洞窟はそこまで広くなく大型の魔獣が1匹入るかくらいの大きさしかない。そのため持ってきた火炎瓶などは使えない。崩落してしまったら意味がないからだ。

時折水が流れるような音がするがどこかまでかは分からない。また、洞窟といえば鉱石を取れるかと思ったがこれもダメだ。さっき琥珀のようなものを見つけたが、何か黒ずんでいるものがあり市場では売れないだろう。

だんだんと水の音が強くなって来た。そしてかなり急勾配の坂があり、それを降りるとかなり広い場所があった。

「なんだこれ…?」

中はかなり薄暗くよく見えなかったが見渡した感じ、モンスターはいない。

「何故だ?普通の洞窟ならその洞窟の長として強大なボスがいるはずなのに何も居ねえ。不自然だな。」

なんなら奥へ進めば進むほどモンスターが湧かなくなっていた。普通は逆なはずだ。

もちろん洞窟にも生態系は存在し、特に入り口近い場所を住処としているモンスターはかなりの頻度で冒険者に倒されるため交換が激しい。そのため繁殖力が高い個体も数多くいる。

逆に奥のモンスターは歴戦の戦いを勝ち抜いてきたモンスターが多く、子供を孕む必要がない。その生態系の頂点に降臨している筈のモンスターがいないというにはあまりにも不自然だ。

しかし・・・

「ここは禁域と呼ばれる場所だ。多少生態系が崩れているのもしょうがないか。」

もしかすると冒険者がここの洞窟のモンスターを倒しすぎて生態系が壊れたのではないか?そうだとしたらこの話にも辻褄が合う。

「まあいいだろう。さっさと宝を取って・・・?」

何か黒光りするものが視界に入った。一度はモンスターかと警戒したがそれにしては動きがない。恐る恐る近づいてみる。

「なんだこれは…?」

そこには明らかに自然にできたとは思えない剣があった。まるでそこで待っていたかのように台座に刺さっている。

「これじゃまるでエクスカリバーだな。」

しかし俺はアーサー王などというすごい人間じゃない。ただの冒険者だ。

しかももう一つ不自然な場所がある。
何故これだけが残っている?
この洞窟が禁域に指定されたのは最近と聞く。

だったら禁域と指定される前には多くの冒険者がこの場所に辿り着いてこの剣を発見したはずだ。何故誰も持ち帰らなかった?

全くよく分からん。しかしよくみると本当に伝説の剣に似ているな。そうして考えている中、ふと視線を落とすと何かが書いてある。
しかしこの暗がりの中ではよく見えない。

「この剣はソウルスレイヴ。・・・・だから・・・するな。」

しかもこの文字は書かれたのがかなり前らしく落丁が激しい。一度抜けるか試してみる。

「ッ!?」

音もなく簡単に抜くことができた。しかも見た目の割にとても軽いのだ。ますますこれが放置されていた理由が分からない。

しかしこの剣は何か妖艶さを感じる。興味を持った俺は荷物になること覚悟で、持って帰ることにした。

そして俺は不思議な気分のまま帰路についた。結局今回の収穫はこの「ソウルスレイヴ」だけで少し残念だが、使いやすそうな剣が見つかったことを喜ぼう。
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