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第3章 ブラットの尻尾
キツネ族の服
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「トッキー?」
ブラットは動こうとしない十月に首を傾げる。
「足でもケガしたか?」
心配そうにブラットは十月の足元に跪くが、十月はどこもケガをしていない。十月は何も言えず、その場に立ち尽くしていた。
「トッキーは嫌がるかもしれねぇけど」
ブラットはそう前置きすると、十月をお姫様抱っこをした。
「うわっ……」
「トッキーが動かないのが悪いんだぜ」
ブラットは嫌な顔をせず楽しげに笑った。ブラットの笑顔と悪意のない笑い声を感じただけで、強張っていた身体の力が抜ける。
「……ごめん」
他に声をかける言葉はあったはず。それでも今の十月にはこれ以上の言葉が思いつかなかった。気づけば、両目から涙があふれでてくる。十月は身体を捻り、ブラットの肩に顔を押し付けた。
「いいよ、いいよ。十月はよく頑張ったなぁ」
ブラットは片腕で十月の体重を支え、もう片方の手で頭を優しく撫でる。ブラットの温もりが十月の体温を少しずつ上げていった。
取調室を出て、十月は別室に移動した。ドアの前には部屋の表記が書いてあるが、十月には読めなかった。
「ここは仮眠室なんだ。だけど、今は誰も使っていないからトッキーが使えばいい」
ブラットは十月の身体をベッドの上に下ろす。十月は服が濡れていたことを思い出し、すぐさま立ち上がった。
「なんだ、元気じゃねぇか。ほい、これが服な。まぁ、キツネ族の服だけどよ。人間の服は用意できなかった。すまんな、今はこれで勘弁してくれ」
ブラットに渡された服はお尻の部分に穴が空いていた。きっと、ここからしっぽを出すデザインなんだろう。あいにく、十月にはしっぽが存在しないが。
ブラットは動こうとしない十月に首を傾げる。
「足でもケガしたか?」
心配そうにブラットは十月の足元に跪くが、十月はどこもケガをしていない。十月は何も言えず、その場に立ち尽くしていた。
「トッキーは嫌がるかもしれねぇけど」
ブラットはそう前置きすると、十月をお姫様抱っこをした。
「うわっ……」
「トッキーが動かないのが悪いんだぜ」
ブラットは嫌な顔をせず楽しげに笑った。ブラットの笑顔と悪意のない笑い声を感じただけで、強張っていた身体の力が抜ける。
「……ごめん」
他に声をかける言葉はあったはず。それでも今の十月にはこれ以上の言葉が思いつかなかった。気づけば、両目から涙があふれでてくる。十月は身体を捻り、ブラットの肩に顔を押し付けた。
「いいよ、いいよ。十月はよく頑張ったなぁ」
ブラットは片腕で十月の体重を支え、もう片方の手で頭を優しく撫でる。ブラットの温もりが十月の体温を少しずつ上げていった。
取調室を出て、十月は別室に移動した。ドアの前には部屋の表記が書いてあるが、十月には読めなかった。
「ここは仮眠室なんだ。だけど、今は誰も使っていないからトッキーが使えばいい」
ブラットは十月の身体をベッドの上に下ろす。十月は服が濡れていたことを思い出し、すぐさま立ち上がった。
「なんだ、元気じゃねぇか。ほい、これが服な。まぁ、キツネ族の服だけどよ。人間の服は用意できなかった。すまんな、今はこれで勘弁してくれ」
ブラットに渡された服はお尻の部分に穴が空いていた。きっと、ここからしっぽを出すデザインなんだろう。あいにく、十月にはしっぽが存在しないが。
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