45 / 59
第3章 ブラットの尻尾
残酷な仕打ち
しおりを挟む
「ニセモノって……」
十月は言葉を詰まらせた。レベリオのこともあり、嫌な想像が止まらない。ありえないとわかっていても、ただの事故でありますようにと不謹慎なことを心の底から願っている。
「ニンゲンに切り落とされたんだ」
ブラットは目線を落とす。ブラットの言葉に頭の中が真っ白になった。
「そ、んな……」
どうしてここまで酷いことが、できるのだろう。
「こうしてニセモノでも付けとかないと、バランス取れなくて上手く歩けなくてさ。情けねぇよな」
ハハ、とブラットはごまかすように笑った。さっきまで救いだったはずの笑いが十月の肩に重くのしかかってくる。
「……情けなくなんてない」
十月は拳を強く握りしめた。幻肢痛と呼ばれ、何十年経過してもないはずの身体の一部が痛む現象がある。レベリオは幻肢痛に襲われると夜もろくに眠れない。
「俺、ブラットになんて言えばいいか……」
十月は俯き、自分の足下を見た。寒くはないのに両足はガタガタと震え、まともに立ってはいられない状態だ。
「過ぎたことだからいいんだ。すまんな、余計なことを言った」
「余計なことなんて……うっ」
十月の両目から涙があふれてくる。泣いたってブラットの尻尾が戻ってくるわけじゃない。わかってはいても涙が止まらない。セリスロピィに来てから泣いてばかりだ。
「おいおい泣くことねぇだろ。トッキーのせいじゃねぇって言ってんのに」
ブラットは呆れたように十月の頭を抱え込む。すると、ブラットの耳がピン、と張り詰めた。何かの気配を察したようで、そのまま十月を押し倒す。
「……ブラット?」
十月は押し倒されてから、あることに気づく。ブラットの短毛がチクチクと下半身の地肌に感じていた。そこで、キツネ族のズボンを穿き損ねてこけたことを思い出す。
「シー……ちょっとめんどくさいやつが来るから静かにしといてな」
ブラットは十月を何かから隠すように覆い被さった。
十月は言葉を詰まらせた。レベリオのこともあり、嫌な想像が止まらない。ありえないとわかっていても、ただの事故でありますようにと不謹慎なことを心の底から願っている。
「ニンゲンに切り落とされたんだ」
ブラットは目線を落とす。ブラットの言葉に頭の中が真っ白になった。
「そ、んな……」
どうしてここまで酷いことが、できるのだろう。
「こうしてニセモノでも付けとかないと、バランス取れなくて上手く歩けなくてさ。情けねぇよな」
ハハ、とブラットはごまかすように笑った。さっきまで救いだったはずの笑いが十月の肩に重くのしかかってくる。
「……情けなくなんてない」
十月は拳を強く握りしめた。幻肢痛と呼ばれ、何十年経過してもないはずの身体の一部が痛む現象がある。レベリオは幻肢痛に襲われると夜もろくに眠れない。
「俺、ブラットになんて言えばいいか……」
十月は俯き、自分の足下を見た。寒くはないのに両足はガタガタと震え、まともに立ってはいられない状態だ。
「過ぎたことだからいいんだ。すまんな、余計なことを言った」
「余計なことなんて……うっ」
十月の両目から涙があふれてくる。泣いたってブラットの尻尾が戻ってくるわけじゃない。わかってはいても涙が止まらない。セリスロピィに来てから泣いてばかりだ。
「おいおい泣くことねぇだろ。トッキーのせいじゃねぇって言ってんのに」
ブラットは呆れたように十月の頭を抱え込む。すると、ブラットの耳がピン、と張り詰めた。何かの気配を察したようで、そのまま十月を押し倒す。
「……ブラット?」
十月は押し倒されてから、あることに気づく。ブラットの短毛がチクチクと下半身の地肌に感じていた。そこで、キツネ族のズボンを穿き損ねてこけたことを思い出す。
「シー……ちょっとめんどくさいやつが来るから静かにしといてな」
ブラットは十月を何かから隠すように覆い被さった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
32
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる