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【聖女】と【魔女】
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「ねぇ…チェッタって聖女よね?」
「そういうレッタだって魔女でしょう?」
「…まぁそうねぇ。」
とあるパーティーメンバーの2人はお互いに酒を片手に黙り込んだ。
「チェッタはこのままでいいの?」
「そういうレッタだって…」
【聖女】―『聖魔法』という癒しと浄化に特化した特殊な魔力を持つ女性である。本来であればこんな場末の宿で暮らすような人ではなく、それこそ国の大神殿や王家に手厚く迎え入れられ、蝶よ花よと育てられるような人物だ。
そして―『聖魔法』には特殊な性質があり、魔力量のみならず聖女の性格がその力の大きさに関わる。
別に『生き物全てを殺すことを許さない』なんて博愛主義である必要はない。生きる上で他の生き物を殺し喰らうのは自然の摂理であり、身を守るための行為をまた同じである。
また『信仰に生きる』という必要もない。子に生まれ、子を産む。これもまた自然の摂理なのだから…。
それ故に聖女の力に関わる性格とは『善と悪』への理解とそれを保つ『心の均衡』だと言われている。
【魔女】―『呪魔法』という特殊な魔力を持つ女性である…が、知識のない者たちの間ではあまり良い印象を持たれない。だがきちんとした知識を持つ者は迎え入れようとする。ただし『迎え入れる』の手段が〝保護〟か〝監禁〟か両極端に分かれるのだが…。
【魔女】もまた【聖女】に似ていると言われる点がある。それが魔女の力が性格に影響を受けるということだ。
『呪魔法』は『呪い』と呼ばれる力と『呪い』と呼ばれる力を持つ。
『呪い』は恐ろしい力で、主に人を害する力を発揮する。それ故に危険視されるが、それを解呪できるのは『呪い』をかけた魔女自身、あるいはその『呪い』以上の『聖魔法』を操る聖女、…そして『呪い』を得意とする魔女である。
『呪い』が得意とするのは解呪だけではない。人の運勢や人のこれからの標、国の行末などをおおまかに知ることもできる。
『呪い』と『呪い』、何を得意とするのか―それが魔女の力に影響する〝性格〟次第なのである。
〝保護〟か〝監禁〟か…
『呪い』を恐れる者、『呪い』を密かに利用したい者、そのような者たちは魔女を〝監禁〟しようとする傾向にある。
逆に『呪い』を望む者たちは魔女たちに乞い、〝保護〟を対価に自らの助言者になってもらう。
そんな力を持つ2人が酒を片手に場末とも言える宿の1部屋にいる。
「…で? チェッタは何でこんな所にいるのよ?」
「それは私も聞きたいのですけど…先に話して逃げたりしませんでしょうね?」
「私もちゃんと話すわよ~。」
「なら…」
チェッタ―本名 ランチェッタ=サルファルガ。
サルファルガ男爵家の長女として生まれた。
聖女の能力も魔女の能力も遺伝することがあるが、サルファルガ男爵家は〝成り上がり貴族〟と揶揄される商家系の家であり、聖女の血など継いでいない。そんな男爵家に双子の娘が生まれる。
そして―
「はぁ?! 2人とも聖女の力を持ってたって言うの!?」
「大声出さないでよ。ホント何の因果かしらねぇ…」
気づいたのはランチェッタの母だった。そしてこの母こそサルファルガ男爵家の正式な娘―つまりランチェッタの父は入婿である。
父はまだまともな感性を持っていたが所詮は入婿の元田舎準男爵家の三男。妻には何も意見できなかった。
そしてそれにより今のランチェッタの状況に至る決定が為されたのだ。
「せっかく2人も聖女がいるのよ。聖女の力が本人の性格に影響されると言うのなら、力の強い子を特に可愛がって、性格での力もつけさせましょう!そうすれば我が家を〝成り上がり貴族〟などと言うものはいなくなりますわ!」
「…馬鹿なんじゃない?」
「レッタもそう思う?」
「当たり前でしょう? わざわざ神殿や王家が迎え入れるような重要な聖女、それも双子の娘が両方よ? それだけで家の格なんて上がるに決まってるわ。」
「まぁ母からしたらそれを『さらに望むにはどうしたら?』という望みだったのでしょうね。強欲だったのよ。そんなだから〝成り上がり貴族〟なんて言われるのにね?」
「でも『性格』なんて曖昧なもの、どうしようとしたの? 聖女に適した『性格』なんて男爵家が知ってるの?」
「…母は娘に〝優劣〟をつけて『自分は恵まれてる』『優秀なんだ』『幸せなんだ』と思わせれば良いと思ったらしいわ。」
「それって――」
そして悪いことに最初の力は妹―ヘルミナの方が明らかに強かった。
〝優〟のヘルミナ、〝劣〟のランチェッタ。
2人の生活は二分されることになる。
12才までランチェッタは聖女の力を使わされることもなくひたすらに下級使用人の生活を送ることになった…。
愛されるヘルミナは12才の時に|聖女の力に目覚めたとして王家に迎え入れられた。
「本当は何歳の時だったの?」
「5才ね。」
「7年も…それって国にバレなかったわけ?」
「さぁ? でも噂ではヘルミナの力が強いって聞いたわ。母の企みは上手くいったんじゃない?」
「まぁ…それならバレても…ってそれならあなたはどうしてここにいるのよ?!」
「私? 逃げて来たのよ、殺されそうになって。」
「は? 聖女を、殺す? 何でそんなこと…」
「まぁ正確には売られそうになったんだけど…行き着く先は同じね。だって―」
何処にでもクズはいる。
母はその中でも最上級だと思うけど、中には『穢せないものを穢したい』なんて願望を持つ者も。
ランチェッタの母は私の存在がバレる前に私を消そうとした。
それも最悪な手段―『聖女の姉を好きなようにできる』という変態相手の商品として…
そのことにギリギリで気がついたランチェッタは逃げた。多少の怪我をしても【聖女】の力があった。
危険なルートを僅かに持ち出せた金銭で買った食料とともに潜り抜け、自分の追跡を撒く。
幸いだったのが自分の【聖女】の力が思った以上に強かったこと。
そして【聖女】の力のみならず〝身体強化魔法〟〝火魔法〟〝水魔法〟の3つの魔法の適正があったこと。
「おかげで今があるわー。」
「あなたもなかなかな経験してるわね…。」
「それで? レッタは?」
「私? 私は大したことないわよ?」
レッタ―本名 ローレッタは【魔女】を歴代から受け継ぐ由緒正しい家の出だ。
ローレッタは父を早くに亡くしたが母と1人の姉、そして同じ魔女の親族がいた。
そして―ローレッタの姉は歳経た親族の魔女たちをして〝天才〟と呼ばれるほどの【魔女】の才を持っていた。
「そんな姉がいたならあなたも期待されたんじゃない?」
「それがねぇ…全く。姉さんが〝天才〟過ぎたのよ。それこそ妹にまでそんな才はないって思われるくらい。」
「…嘘でしょ? だってそんなに魔女がいたなら『呪い』の力が得意な人くらいいたはずよね?」
「いたわよ? 魔女の一族をして『呪い』の達人―母様が。」
「なら―」
「見たらしいわ。『才能に劣り家を出る私の姿』を。それで見限られたから8才の時にとっとと家を出たのよ。」
それを止める者はいなかった―1人を除いて。
止めようとしたのは〝天才〟と誉高い姉だった。
「だったらお姉さん分かってたんじゃない―あなたが家を出た後の事。」
「かもね~。でも―家を出てなかったら何もなかったと思うわよ? だって〝力〟に目覚めていないかもでしょう? 姉さんはどっちだったのかしら? 妹の方が凄いと残したかったのか―自分を脅かす存在を生み出したくなかったのか?」
「……さて、ね?」
そこに外套で身を隠した2人のパーティーメンバーの男2人―チェッタとレッタの婚約済みの恋人たちが帰って来た。
「おい、2人とも、こんな時に酒か?! 良いな、俺も飲ませてくれ!」
「ラグ、お前もかよ。」
「それで、外はどんな感じだったの~?」
「大事だよっ!! 2人が強大な力を持つ【聖女】と【魔女】なのが完全にバレてる。」
「まぁあれだけやればそうなるわよね。」
「仕方ないだろ。大規模スタンピードだぞ?2人の力がなかったら間違いなく王都壊滅してるし。」
「というか恋人同士はその力知ってて、お互いのパーティーメンバーの力見てビビったの笑ったわ~」
「というかこれからどうするよ?」
「そうね…いっその事、みんな結婚しましょうか!」
「へ?結婚? 聖女なチェッタと庶民な冒険者の俺で結婚できるの?」
「いけるわよ! 言ったでしょう? 聖女の力は〝性格〟によるって。『ラグと離れたら力が駄目になる』って言ったら離されないわよ。何せただでさえ大規模スタンピードの〝英雄パーティー〟よ?」
「あら、ならマルファーもそうね? 『呪い』を得意とし、魔物相手にすらかけれるほどの『呪い』使いの魔女よ。結婚してくれるかしら?」
「あ、ああ!もちろんさ!!」
この後、大規模スタンピードから王都を救った英雄パーティーは国主導の2組合同の盛大な結婚式を行った。
この結婚の影にはとある聖女の力が落ち、またとある男爵家の消滅があったと噂される。
またとある界隈ではある〝天才魔女〟の力が『呪い』に傾倒し、その後『呪い返し』にあったという噂が密かに語られるたという……。
そして―
ある2組の英雄夫婦の子供同士が結婚し、今まで確認されたことのない【聖女】と【魔女】、両方の力を備えた娘―【聖魔女】が誕生する。
その【聖魔女】の2人の祖母は自身の生い立ちを語り、ただ1つだけ家訓を残した。
「「良い? 『家族を大事にしない親姉妹はクソよっ!!!』」」
後に【聖魔女】は強大な【聖女】と【魔女】の力で国を繁栄に導き、王子と結婚して後に王妃になったという。
その王家では【聖魔女】の語った言葉が家訓として残っているという――
「そういうレッタだって魔女でしょう?」
「…まぁそうねぇ。」
とあるパーティーメンバーの2人はお互いに酒を片手に黙り込んだ。
「チェッタはこのままでいいの?」
「そういうレッタだって…」
【聖女】―『聖魔法』という癒しと浄化に特化した特殊な魔力を持つ女性である。本来であればこんな場末の宿で暮らすような人ではなく、それこそ国の大神殿や王家に手厚く迎え入れられ、蝶よ花よと育てられるような人物だ。
そして―『聖魔法』には特殊な性質があり、魔力量のみならず聖女の性格がその力の大きさに関わる。
別に『生き物全てを殺すことを許さない』なんて博愛主義である必要はない。生きる上で他の生き物を殺し喰らうのは自然の摂理であり、身を守るための行為をまた同じである。
また『信仰に生きる』という必要もない。子に生まれ、子を産む。これもまた自然の摂理なのだから…。
それ故に聖女の力に関わる性格とは『善と悪』への理解とそれを保つ『心の均衡』だと言われている。
【魔女】―『呪魔法』という特殊な魔力を持つ女性である…が、知識のない者たちの間ではあまり良い印象を持たれない。だがきちんとした知識を持つ者は迎え入れようとする。ただし『迎え入れる』の手段が〝保護〟か〝監禁〟か両極端に分かれるのだが…。
【魔女】もまた【聖女】に似ていると言われる点がある。それが魔女の力が性格に影響を受けるということだ。
『呪魔法』は『呪い』と呼ばれる力と『呪い』と呼ばれる力を持つ。
『呪い』は恐ろしい力で、主に人を害する力を発揮する。それ故に危険視されるが、それを解呪できるのは『呪い』をかけた魔女自身、あるいはその『呪い』以上の『聖魔法』を操る聖女、…そして『呪い』を得意とする魔女である。
『呪い』が得意とするのは解呪だけではない。人の運勢や人のこれからの標、国の行末などをおおまかに知ることもできる。
『呪い』と『呪い』、何を得意とするのか―それが魔女の力に影響する〝性格〟次第なのである。
〝保護〟か〝監禁〟か…
『呪い』を恐れる者、『呪い』を密かに利用したい者、そのような者たちは魔女を〝監禁〟しようとする傾向にある。
逆に『呪い』を望む者たちは魔女たちに乞い、〝保護〟を対価に自らの助言者になってもらう。
そんな力を持つ2人が酒を片手に場末とも言える宿の1部屋にいる。
「…で? チェッタは何でこんな所にいるのよ?」
「それは私も聞きたいのですけど…先に話して逃げたりしませんでしょうね?」
「私もちゃんと話すわよ~。」
「なら…」
チェッタ―本名 ランチェッタ=サルファルガ。
サルファルガ男爵家の長女として生まれた。
聖女の能力も魔女の能力も遺伝することがあるが、サルファルガ男爵家は〝成り上がり貴族〟と揶揄される商家系の家であり、聖女の血など継いでいない。そんな男爵家に双子の娘が生まれる。
そして―
「はぁ?! 2人とも聖女の力を持ってたって言うの!?」
「大声出さないでよ。ホント何の因果かしらねぇ…」
気づいたのはランチェッタの母だった。そしてこの母こそサルファルガ男爵家の正式な娘―つまりランチェッタの父は入婿である。
父はまだまともな感性を持っていたが所詮は入婿の元田舎準男爵家の三男。妻には何も意見できなかった。
そしてそれにより今のランチェッタの状況に至る決定が為されたのだ。
「せっかく2人も聖女がいるのよ。聖女の力が本人の性格に影響されると言うのなら、力の強い子を特に可愛がって、性格での力もつけさせましょう!そうすれば我が家を〝成り上がり貴族〟などと言うものはいなくなりますわ!」
「…馬鹿なんじゃない?」
「レッタもそう思う?」
「当たり前でしょう? わざわざ神殿や王家が迎え入れるような重要な聖女、それも双子の娘が両方よ? それだけで家の格なんて上がるに決まってるわ。」
「まぁ母からしたらそれを『さらに望むにはどうしたら?』という望みだったのでしょうね。強欲だったのよ。そんなだから〝成り上がり貴族〟なんて言われるのにね?」
「でも『性格』なんて曖昧なもの、どうしようとしたの? 聖女に適した『性格』なんて男爵家が知ってるの?」
「…母は娘に〝優劣〟をつけて『自分は恵まれてる』『優秀なんだ』『幸せなんだ』と思わせれば良いと思ったらしいわ。」
「それって――」
そして悪いことに最初の力は妹―ヘルミナの方が明らかに強かった。
〝優〟のヘルミナ、〝劣〟のランチェッタ。
2人の生活は二分されることになる。
12才までランチェッタは聖女の力を使わされることもなくひたすらに下級使用人の生活を送ることになった…。
愛されるヘルミナは12才の時に|聖女の力に目覚めたとして王家に迎え入れられた。
「本当は何歳の時だったの?」
「5才ね。」
「7年も…それって国にバレなかったわけ?」
「さぁ? でも噂ではヘルミナの力が強いって聞いたわ。母の企みは上手くいったんじゃない?」
「まぁ…それならバレても…ってそれならあなたはどうしてここにいるのよ?!」
「私? 逃げて来たのよ、殺されそうになって。」
「は? 聖女を、殺す? 何でそんなこと…」
「まぁ正確には売られそうになったんだけど…行き着く先は同じね。だって―」
何処にでもクズはいる。
母はその中でも最上級だと思うけど、中には『穢せないものを穢したい』なんて願望を持つ者も。
ランチェッタの母は私の存在がバレる前に私を消そうとした。
それも最悪な手段―『聖女の姉を好きなようにできる』という変態相手の商品として…
そのことにギリギリで気がついたランチェッタは逃げた。多少の怪我をしても【聖女】の力があった。
危険なルートを僅かに持ち出せた金銭で買った食料とともに潜り抜け、自分の追跡を撒く。
幸いだったのが自分の【聖女】の力が思った以上に強かったこと。
そして【聖女】の力のみならず〝身体強化魔法〟〝火魔法〟〝水魔法〟の3つの魔法の適正があったこと。
「おかげで今があるわー。」
「あなたもなかなかな経験してるわね…。」
「それで? レッタは?」
「私? 私は大したことないわよ?」
レッタ―本名 ローレッタは【魔女】を歴代から受け継ぐ由緒正しい家の出だ。
ローレッタは父を早くに亡くしたが母と1人の姉、そして同じ魔女の親族がいた。
そして―ローレッタの姉は歳経た親族の魔女たちをして〝天才〟と呼ばれるほどの【魔女】の才を持っていた。
「そんな姉がいたならあなたも期待されたんじゃない?」
「それがねぇ…全く。姉さんが〝天才〟過ぎたのよ。それこそ妹にまでそんな才はないって思われるくらい。」
「…嘘でしょ? だってそんなに魔女がいたなら『呪い』の力が得意な人くらいいたはずよね?」
「いたわよ? 魔女の一族をして『呪い』の達人―母様が。」
「なら―」
「見たらしいわ。『才能に劣り家を出る私の姿』を。それで見限られたから8才の時にとっとと家を出たのよ。」
それを止める者はいなかった―1人を除いて。
止めようとしたのは〝天才〟と誉高い姉だった。
「だったらお姉さん分かってたんじゃない―あなたが家を出た後の事。」
「かもね~。でも―家を出てなかったら何もなかったと思うわよ? だって〝力〟に目覚めていないかもでしょう? 姉さんはどっちだったのかしら? 妹の方が凄いと残したかったのか―自分を脅かす存在を生み出したくなかったのか?」
「……さて、ね?」
そこに外套で身を隠した2人のパーティーメンバーの男2人―チェッタとレッタの婚約済みの恋人たちが帰って来た。
「おい、2人とも、こんな時に酒か?! 良いな、俺も飲ませてくれ!」
「ラグ、お前もかよ。」
「それで、外はどんな感じだったの~?」
「大事だよっ!! 2人が強大な力を持つ【聖女】と【魔女】なのが完全にバレてる。」
「まぁあれだけやればそうなるわよね。」
「仕方ないだろ。大規模スタンピードだぞ?2人の力がなかったら間違いなく王都壊滅してるし。」
「というか恋人同士はその力知ってて、お互いのパーティーメンバーの力見てビビったの笑ったわ~」
「というかこれからどうするよ?」
「そうね…いっその事、みんな結婚しましょうか!」
「へ?結婚? 聖女なチェッタと庶民な冒険者の俺で結婚できるの?」
「いけるわよ! 言ったでしょう? 聖女の力は〝性格〟によるって。『ラグと離れたら力が駄目になる』って言ったら離されないわよ。何せただでさえ大規模スタンピードの〝英雄パーティー〟よ?」
「あら、ならマルファーもそうね? 『呪い』を得意とし、魔物相手にすらかけれるほどの『呪い』使いの魔女よ。結婚してくれるかしら?」
「あ、ああ!もちろんさ!!」
この後、大規模スタンピードから王都を救った英雄パーティーは国主導の2組合同の盛大な結婚式を行った。
この結婚の影にはとある聖女の力が落ち、またとある男爵家の消滅があったと噂される。
またとある界隈ではある〝天才魔女〟の力が『呪い』に傾倒し、その後『呪い返し』にあったという噂が密かに語られるたという……。
そして―
ある2組の英雄夫婦の子供同士が結婚し、今まで確認されたことのない【聖女】と【魔女】、両方の力を備えた娘―【聖魔女】が誕生する。
その【聖魔女】の2人の祖母は自身の生い立ちを語り、ただ1つだけ家訓を残した。
「「良い? 『家族を大事にしない親姉妹はクソよっ!!!』」」
後に【聖魔女】は強大な【聖女】と【魔女】の力で国を繁栄に導き、王子と結婚して後に王妃になったという。
その王家では【聖魔女】の語った言葉が家訓として残っているという――
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