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閻魔襲来
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死後の世界のハローワーク関東支店、年度始め。
支店長が今年度の数値的な計画、目標を話し終えたところだった。
「えー、最後に。今日から関東支店に配属する事になりました、新人巫女の水仙さんです。一言お願いします。」
「はじめまして。今日からお世話になります、水仙です。早く仕事を覚えられるよう頑張ります。宜しくお願いします。」
(パチパチパチ…)
歓迎の拍手が鳴り終わり、支店長が続けて話す。
「水仙さんの教育担当は…桜さん、お願いします。」
「はっ、はい!」
緊張気味に桜が応えた。
新人がひとり立ちするまで、先輩巫女が仕事を教え、サポートしていく。水仙と比較的年齢が近い桜が今回任命された。
朝礼終了後、楓が桜に話しかける。
「遂に桜も先輩かぁー。時が経つのは早いねぇー。」
「私もいつの間にか新人じゃなくなってたんですね。水仙さんにしっかり教えられるか不安ですよ。」
「大丈夫!私が桜を育てたように、青葉姐さんが私を育てたように、皆んな普通に仕事出来るようになるんだから平気だよ!」
「そうですね!ありがとうございます!頑張ります!」
(キーンコーンカーンコーン…)
時刻は9時となり、建物のシャッターが開き、次々と面談者がやってきた。
楓は窓口に座り、最初の面談者を呼び込む。
「受付番号1番の方ー」
「おはよー!楓ちゃん!」
「…おはようございます。龍二さん。」
やって来たのは常連面談者の武田龍二だった。
「あれ?桜ちゃんの横にいるの新人さん?」
「そうです。今日から入った新人ですよ。」
「フレッシュで良いねー。でも気をつけて。今の子はすごくデリケートだからさ。話す内容ひとつとっても慎重にならないと、パワハラやセクハラで訴えられるかもしれないよ!」
「そうなんですか?そんな風には感じませんが…」
「分からないよー。人の心は読めないからね。とりあえず大事に育ててあげな。」
「分かりました。それで、龍二さん。そろそろ天国に行く決心はつきましたか?」
楓はいつも通り、武田に転生先の希望を聞かず、天国行きを勧める。
「何言ってんの!天国なんて退屈そうな場所、真っ平御免よ!今回はゲームの世界に転生したいと思ってんの!」
「…ゲームですか?」
「そう!ゲームの悪役貴族に転生するの流行ってるんでしょ?ちょっとやってみたいなぁと思ってさ!」
「それはホントにやりたい事なんですか?流行りや興味だけで転生先なんて紹介出来ませんよ。」
「へへっ。やっぱそうなるよね…。最近ちょっと悩んでるんだよ。俺は何がしたいんだろうって。」
珍しく武田がブルーになっている事に楓は驚いた。
「現世で刑事やってた時は、がむしゃらに働いて、気が付いたら一日が終わってるみたいな事ばっかりで。それが今じゃ一日終わるのが長くて退屈だ。そう考えると生きていた時は凄く充実してたんだなぁとしみじみ思うよ…。」
(…龍二さんなりに悩んでたんだ。)
武田の気持ちを知らずに、ぞんざいな対応をした事を楓は悔いる。
「申し訳ないです、龍二さん。何かお役に立てそうなスカウト探します!」
「ありがとう。俺の暇つぶしにいつも付き合ってくれて。ちょっと死後の世界の身の振り方、真剣に考えるよ。今日は帰るね。」
武田は楓に告げると静かに帰っていった。
死後の世界では天国か転生かの二択を選ばなければならない。(地獄行きの者を除く。)面談者にとっては両方とも未知の世界。武田のように迷うのも当然だ。しっかり自分が納得出来る行き先を見つけてくれる事を楓は願った。
「楓さん、ちょっと来て下さい。」
支店長から急に声が掛かった。
「はい!」
(げっ!支店長の横にいる人ってまさか…)
一際大きな体格と鬼ような顔の人物が立っている。閻魔だ。菩薩同様、この事業所の最高権力者になる。
「お前が楓か。」
図太い声が見た目と相まって迫力を増す。
「は、はい!」
(何で閻魔様が居るんだ…。しかも私が呼ばれるって、もしかして地獄行き!?)
楓が小刻みに震えていると、支店長が用件を話しだした。
「本日急遽、地獄行きの者の特別面談を行います。楓さん、担当して下さい。」
「なんで私なんですか?」
「閻魔様のご指名です。」
楓は真っ青になった。
極稀に地獄行きの者の特別面談が執り行われる。いわばセカンドチャンスだ。特別面談を通して、更生されている事が認められれば、転生する事が許可される。(天国に行く事はない。)
転生は一般と異なり、対象者に選択権がなく、過酷な条件下の転生先に送り込まれる。地獄よりはマシな所ではあるが。
「お前の噂は聞いている。中々人を見る目があるそうじゃないか。期待している。」
「…ありがとうございます。全身全霊で頑張らせて頂きます。」
急に決まった特別面談。しかも相手は地獄行きの荒くれ者。楓は無事に面談する事が出来るのか。死後の世界のハローワークは閻魔襲来で大忙しだ。
支店長が今年度の数値的な計画、目標を話し終えたところだった。
「えー、最後に。今日から関東支店に配属する事になりました、新人巫女の水仙さんです。一言お願いします。」
「はじめまして。今日からお世話になります、水仙です。早く仕事を覚えられるよう頑張ります。宜しくお願いします。」
(パチパチパチ…)
歓迎の拍手が鳴り終わり、支店長が続けて話す。
「水仙さんの教育担当は…桜さん、お願いします。」
「はっ、はい!」
緊張気味に桜が応えた。
新人がひとり立ちするまで、先輩巫女が仕事を教え、サポートしていく。水仙と比較的年齢が近い桜が今回任命された。
朝礼終了後、楓が桜に話しかける。
「遂に桜も先輩かぁー。時が経つのは早いねぇー。」
「私もいつの間にか新人じゃなくなってたんですね。水仙さんにしっかり教えられるか不安ですよ。」
「大丈夫!私が桜を育てたように、青葉姐さんが私を育てたように、皆んな普通に仕事出来るようになるんだから平気だよ!」
「そうですね!ありがとうございます!頑張ります!」
(キーンコーンカーンコーン…)
時刻は9時となり、建物のシャッターが開き、次々と面談者がやってきた。
楓は窓口に座り、最初の面談者を呼び込む。
「受付番号1番の方ー」
「おはよー!楓ちゃん!」
「…おはようございます。龍二さん。」
やって来たのは常連面談者の武田龍二だった。
「あれ?桜ちゃんの横にいるの新人さん?」
「そうです。今日から入った新人ですよ。」
「フレッシュで良いねー。でも気をつけて。今の子はすごくデリケートだからさ。話す内容ひとつとっても慎重にならないと、パワハラやセクハラで訴えられるかもしれないよ!」
「そうなんですか?そんな風には感じませんが…」
「分からないよー。人の心は読めないからね。とりあえず大事に育ててあげな。」
「分かりました。それで、龍二さん。そろそろ天国に行く決心はつきましたか?」
楓はいつも通り、武田に転生先の希望を聞かず、天国行きを勧める。
「何言ってんの!天国なんて退屈そうな場所、真っ平御免よ!今回はゲームの世界に転生したいと思ってんの!」
「…ゲームですか?」
「そう!ゲームの悪役貴族に転生するの流行ってるんでしょ?ちょっとやってみたいなぁと思ってさ!」
「それはホントにやりたい事なんですか?流行りや興味だけで転生先なんて紹介出来ませんよ。」
「へへっ。やっぱそうなるよね…。最近ちょっと悩んでるんだよ。俺は何がしたいんだろうって。」
珍しく武田がブルーになっている事に楓は驚いた。
「現世で刑事やってた時は、がむしゃらに働いて、気が付いたら一日が終わってるみたいな事ばっかりで。それが今じゃ一日終わるのが長くて退屈だ。そう考えると生きていた時は凄く充実してたんだなぁとしみじみ思うよ…。」
(…龍二さんなりに悩んでたんだ。)
武田の気持ちを知らずに、ぞんざいな対応をした事を楓は悔いる。
「申し訳ないです、龍二さん。何かお役に立てそうなスカウト探します!」
「ありがとう。俺の暇つぶしにいつも付き合ってくれて。ちょっと死後の世界の身の振り方、真剣に考えるよ。今日は帰るね。」
武田は楓に告げると静かに帰っていった。
死後の世界では天国か転生かの二択を選ばなければならない。(地獄行きの者を除く。)面談者にとっては両方とも未知の世界。武田のように迷うのも当然だ。しっかり自分が納得出来る行き先を見つけてくれる事を楓は願った。
「楓さん、ちょっと来て下さい。」
支店長から急に声が掛かった。
「はい!」
(げっ!支店長の横にいる人ってまさか…)
一際大きな体格と鬼ような顔の人物が立っている。閻魔だ。菩薩同様、この事業所の最高権力者になる。
「お前が楓か。」
図太い声が見た目と相まって迫力を増す。
「は、はい!」
(何で閻魔様が居るんだ…。しかも私が呼ばれるって、もしかして地獄行き!?)
楓が小刻みに震えていると、支店長が用件を話しだした。
「本日急遽、地獄行きの者の特別面談を行います。楓さん、担当して下さい。」
「なんで私なんですか?」
「閻魔様のご指名です。」
楓は真っ青になった。
極稀に地獄行きの者の特別面談が執り行われる。いわばセカンドチャンスだ。特別面談を通して、更生されている事が認められれば、転生する事が許可される。(天国に行く事はない。)
転生は一般と異なり、対象者に選択権がなく、過酷な条件下の転生先に送り込まれる。地獄よりはマシな所ではあるが。
「お前の噂は聞いている。中々人を見る目があるそうじゃないか。期待している。」
「…ありがとうございます。全身全霊で頑張らせて頂きます。」
急に決まった特別面談。しかも相手は地獄行きの荒くれ者。楓は無事に面談する事が出来るのか。死後の世界のハローワークは閻魔襲来で大忙しだ。
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