かふぇおれ

檮木 蓮

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3話

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「そいつと離れたくないなら、
此処で診てやるから」

「き、気安く俺と喋んな!
お前とは友達でもなんでもないんだから!」

「おい…ここは病院だぞ。静かに
出来ないのか、全く躾のなってない犬だな」
空気が一変し、男の表情も険しくなった。
冷たい病室広に縋るかのように、
布団にかきついた。
冷たい空気はみつるにとって良くない記憶の
中で流れたものだった。
’’怖い,,その一心で布団に顔を填め、ただ
何度もごめんなさい。ごめんなさいと
謝り続けた。
「広ちゃん……」震える声で恋人の
名を呼ぼうと寝ている者には届かない。
男は此方へ近づきみつるを布団から引き離し、服を脱がせた。
みつるの体を凝視した後、なんとも哀れんだ表情でみつるを見た。
その目はみつるが最も嫌う目、そんな目で
見ても誰も助けてはくれない。
逆に気持ちがられるか、可哀想その一言で
みつるを見捨てた。

みつるの体は肋を浮かせ、火傷跡や切り傷、
タバコを押し付けられたかのような痕が
無数に体に刻まれていた。
たが、それはみつるにとって悲しい事じゃない。愛されているという証拠として広の
暴力を受け入れている。
周りには何もわからない。広の気持ちを分かるのは僕だけ、そんなことをみつるは思い続け、侵されていった。
ある意味、みつるの方が広に愛という名の暴力をぶつけているのかもしれない。
愛して欲しいと言う気持ちを恋人に
願い続け、やっと手に入れたのが広だった。
荒くなる息、遠のく意識みつるはその場で
意識を失った。

···········································································

次に目が覚めたのは病室で
隣には広がまだ眠っていた。
体を起こし広の側までいこうとしたが
みつゆの腕には針が刺され点滴をうたれ、
至る所に包帯が巻かれていた。
たが、みつるは広の傍へ行こうと手を出した時にベットから転がり落ちてしまった。
落ちた反動で腕に刺さっていた針が外れ血が
じわりと浮きでてきた。
血の出る傷口を見るなりべろりと血を
舐めとった。
「広ちゃん……。」
足を引きずり匍匐をしながら広の元へ
近寄って行った。
「広ちゃん…起きてよ……。」
広の体を揺すりながら言葉をかけたが、広は目覚めることなく静かに寝息をたてていた。
その姿を見てみつるは、不安を煽られ
急いでナースコールを押した。
程なくしてナースが、駆けつけ広は
大丈夫だと伝えてくれた。
みつるもベットから落ち新たに傷を
増やしていたため隔離室のような場所へ
移動させられてしまった。
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