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第2話
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あれから数日が経った。
僕はあれから犬のような生活を送っている。
足がないせいで基本床をハイハイの形で歩いている。
あの男が家にいる場合は別だ。どこに行くにも連れられ片時も離してくれない。
「おはようございます。男爵」
「…。」
「あの、挨拶を返さなくていいんですか?」
「誰に?」
「…ぇ。」
「男爵、私とお茶に行きませんか?いいお茶を仕入れたんです。」
「いいね。行こう。お茶は好きだ。」
「ありがとうございます。後で迎えに行かせます!」
「はぁ…面倒くさ…。ねぇ、お前もついておいでよ。」
「でも、彼女あなたと行きたかったんじゃ…。」
「別に俺が誰連れていこうが勝手でしょ。呼んだのそっちだし。」
「そうかもしれませんが…。」
「ま、お前に拒否権ないし行こっか。」
「…はい。」
挨拶は返さなかったのに…お茶に釣られるなんて…。
「あの…男爵、そちらの方は…。」
「ん?あぁ、付き人だよ。」
「そうなんですね、車椅子ご用意しましょうか?」
「そうだね。たまには自分で行動させてみるよ。」
「では、男爵こちらに。」
「じゃーね。しばらく1人行動楽しんで。」
置いてかれた。あんなに離さなかったのに…。
やっぱりおもちゃレベルなんだな。
はぁ…どこに行こう。
「あの、」
「はい。」
「中庭ってどちらですか?」
「あぁ、ご案内します。」
親切に車椅子を押し中庭に連れていってくれた。
「わぁ、綺麗。」
「ここは庭師が手をかけているんです。」
「そうなんですね。んー、気持ちがいいです。」
「喜んでいただけたようでなによりです。
あの、つかぬ事をお伺いしますが…」
「?」
「ジル様はどんな方なのでしょうか?」
「ジル…?」
「えぇ、あなたの主人です。」
「ごめんなさい…僕何も知らなくて、ここ数日をともにすごしましたが
名前も今初めて知って…。」
「それは…。」
「おい、帰るぞ。」
「!…はい。ありがとうございました。」
「いえ、またお越し下さい。」
執事は軽く頭を下げ僕を見送った。
「なぁ、さっき何楽しそうに話してたの?」
「あぁ、花が綺麗だったので…手入れがきちんとされているな…と。」
「ふーん、ねぇ、俺の名前聞いたんでしょ。」
「ぇ…?」
「俺さぁ、耳がいいから何でも聞こえちゃうんだよねぇ」
「すいません。」
「別にいいよ。名前くらい」
「…。」
「呼んでよ。」
「え、」
「名前。」
「じ…る様」
「あぁ…良いねぇ、お前最高…買って正解」
「…。あの、」
「ん?」
「なんのお茶を飲んできたんですか?嗅ぎなれない匂いですが…」
「お前お茶なんて分かるの?」
「はい。昔の主人がよく飲んでましたので。」
「へぇ、これねぇ。麻薬なんだァ。」
「…!!」
「あからさまにビクつかないでよ。俺用じゃないしお前用でもないんだから」
「それじゃぁ、」
「うん。売るんだよ?俺をお茶に誘うなんてこれ以外ないでしょ」
「そうなんですね…。」
「1回お前用に仕入れたこともあるよ。」
「え?」
「媚薬。んふふ。まだ使ってないけどね、あ、今日使おうか。
うん、それがいい。家に着くまでが楽しみだね?」
僕はあれから犬のような生活を送っている。
足がないせいで基本床をハイハイの形で歩いている。
あの男が家にいる場合は別だ。どこに行くにも連れられ片時も離してくれない。
「おはようございます。男爵」
「…。」
「あの、挨拶を返さなくていいんですか?」
「誰に?」
「…ぇ。」
「男爵、私とお茶に行きませんか?いいお茶を仕入れたんです。」
「いいね。行こう。お茶は好きだ。」
「ありがとうございます。後で迎えに行かせます!」
「はぁ…面倒くさ…。ねぇ、お前もついておいでよ。」
「でも、彼女あなたと行きたかったんじゃ…。」
「別に俺が誰連れていこうが勝手でしょ。呼んだのそっちだし。」
「そうかもしれませんが…。」
「ま、お前に拒否権ないし行こっか。」
「…はい。」
挨拶は返さなかったのに…お茶に釣られるなんて…。
「あの…男爵、そちらの方は…。」
「ん?あぁ、付き人だよ。」
「そうなんですね、車椅子ご用意しましょうか?」
「そうだね。たまには自分で行動させてみるよ。」
「では、男爵こちらに。」
「じゃーね。しばらく1人行動楽しんで。」
置いてかれた。あんなに離さなかったのに…。
やっぱりおもちゃレベルなんだな。
はぁ…どこに行こう。
「あの、」
「はい。」
「中庭ってどちらですか?」
「あぁ、ご案内します。」
親切に車椅子を押し中庭に連れていってくれた。
「わぁ、綺麗。」
「ここは庭師が手をかけているんです。」
「そうなんですね。んー、気持ちがいいです。」
「喜んでいただけたようでなによりです。
あの、つかぬ事をお伺いしますが…」
「?」
「ジル様はどんな方なのでしょうか?」
「ジル…?」
「えぇ、あなたの主人です。」
「ごめんなさい…僕何も知らなくて、ここ数日をともにすごしましたが
名前も今初めて知って…。」
「それは…。」
「おい、帰るぞ。」
「!…はい。ありがとうございました。」
「いえ、またお越し下さい。」
執事は軽く頭を下げ僕を見送った。
「なぁ、さっき何楽しそうに話してたの?」
「あぁ、花が綺麗だったので…手入れがきちんとされているな…と。」
「ふーん、ねぇ、俺の名前聞いたんでしょ。」
「ぇ…?」
「俺さぁ、耳がいいから何でも聞こえちゃうんだよねぇ」
「すいません。」
「別にいいよ。名前くらい」
「…。」
「呼んでよ。」
「え、」
「名前。」
「じ…る様」
「あぁ…良いねぇ、お前最高…買って正解」
「…。あの、」
「ん?」
「なんのお茶を飲んできたんですか?嗅ぎなれない匂いですが…」
「お前お茶なんて分かるの?」
「はい。昔の主人がよく飲んでましたので。」
「へぇ、これねぇ。麻薬なんだァ。」
「…!!」
「あからさまにビクつかないでよ。俺用じゃないしお前用でもないんだから」
「それじゃぁ、」
「うん。売るんだよ?俺をお茶に誘うなんてこれ以外ないでしょ」
「そうなんですね…。」
「1回お前用に仕入れたこともあるよ。」
「え?」
「媚薬。んふふ。まだ使ってないけどね、あ、今日使おうか。
うん、それがいい。家に着くまでが楽しみだね?」
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