2度追放された転生元貴族 〜スキル《大喰らい》で美少女たちと幸せなスローライフを目指します〜

フユリカス

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第4章 『王都と成り上がり』

33.ハーレム

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「それで? あなたたちはどこに泊まってるのかしら?」

「どこって、普通の宿屋だよ。レティアたちは家に帰るんだろ?」

「なにを言ってるの? あ、あなたと一緒にいるに決まってるじゃないのっ」

「えっ」

 てっきりレティアたちは自分の屋敷に戻ると思っていたので、その返答は予想外だった。というか、婚前前の公爵令嬢が家に戻らないのはマズイのではないだろうか。

「『えっ』てなによ! わ、私が1番なんだから、一緒にいるのは当然でしょ?」

「そうはいっても、俺たちの部屋にはもう入れないぞ? まあ、レティアたちが別に部屋を取るなら構わんが……」

「ダメよ。同じ部屋に決まってるじゃないの。シンシア、すぐに部屋を取ってきてちょうだい」

「承知しました、レティア様」

 シンシアは軽く頭を下げて、すぐに店を出て行ってしまった。

「おいおい、公爵令嬢様行きつけの高い部屋とかじゃ困るぞ?」

「あら? 『不死の宵闇』をクリアしたならたくさん稼いだでしょ?」

「確かに資金は得たけど、これはいつか家を購入するために貯めときたいんだよ」

「家?」

「ああ。俺は家のしがらみがなくなったからさ、街外れに家を買ってゆっくり暮らしたいなって思ってるんだよ」

 これは俺の夢みたいなものだ。煩わしいものに縛られず、自由気ままなスローライフを送ってみたいのだ。

「ふーん……その子たちも一緒にってことかしら?」

「はい、私はどこまでもアルゼ様とともにいます!」

「アビも当然一緒に暮らすのですよ?」

 メルとアビがレティアの質問に当然とばかりに返答する。
 メルは元々そのつもりだったけど、アビの先ほどの発言もどうやら本気のようだ。

 ――そのことについて、俺はまだなんにも答えてないんだけどな……。

「そう、じゃあ当然私も一緒に暮らすわ。っていうか、これからは一緒に行動するから」

「え? いやいやいや、そういうわけにはいかんだろ。そんなことしたら、公爵が黙ってないだろ」

「元はと言えばお父様が悪いんだもの。文句なんて言わせないわ。それにお母様も味方だから大丈夫よ。あなたを探すのに冒険者になることも協力してくれたわ」

 ――ほんとかよ……。

 俺には公爵がそれで大人しくしているとは思えないが、レティア的には問題ないと思ってる口振りだった。
 まぁしかし、レティアがこうやって言ってる以上は、きっと俺が何を言っても聞きそうにはないだろう。

「わかったよ。とりあえずはそれでいいけど、後で公爵と1度話をさせてもらうぞ?」

「それでいいわ。ま、なにか言われても素直に従うつもりもないけどね!」

 じゃじゃ馬な娘を持つ公爵を、若干気の毒に俺は思うのだった。


 ◆◇◆


 シンシアが宿を取って戻って来たので、全員で移動することにした。

「おいおい、これはちょっと豪華すぎやしないか?」

 通された部屋は、これまで泊まってた宿の部屋よりも数倍広く、調度品なども貴族向けのものだった。

「すごいです……ほんとにこんな部屋に泊まってもいいんでしょうか?」

「もちろんよ。あなたと私は同じ立場なんだから。遠慮する必要なんてないわ」

「レティア様……私、レティア様のことを勘違いしてました。もっと自分勝手な方かと……申し訳ありませんでした、本当はとってもお優しい方なんですね」

「べ、別にそんなことないわ。でも、1番の座は譲らないからね! ……それと、あなたのことはこれからメルって呼ぶわ。あ、あなたもレティアって呼んでもいいわよ?」

 メルの素直な気持ちを聞かされたレティアは、少し顔を赤らめながらそっぽを向いた。
 レティアのこういうところは可愛らしくて好感が持てる。

「ふふっ、わかりました。でも、さすがにそれは難しいので、お名前はこれまで通りの呼び方にしますね。その代わり、これからはレティア様にも思ったことを言わせていただきます!」

「ええ、いいわ。これからはお互い変な気遣いはなしよ」

 どうやら、2人ともなんだかんだ上手いことやっていけそうだ。

「アビは最初からレティアのことを気遣いするつもりはないですよー」

「……あなたはある意味大物かもしれないわね」

 別にレティアは褒めたわけではないが、アビは褒められたと思い満足そうに腰に手を当てて頷いた。

「まあいいわ。よろしくね、メル、アビ」

「よろしくお願いします、レティア様」

「よろしくですよー」

 3人が改めて仲を深めていると、

「あの、レティア様。私はどうしたらいいでしょうか?」

 シンシアが困った顔を浮かべた。

「あら、あなたは屋敷に戻ればいいじゃないの」

「いえ、そういうわけには……」

「じゃあ、あなたも一緒に暮らせばいいんじゃない? この際、もう1人増えたところで変わらないでしょ」

 この状況に慣れてきたのか、レティアはあっけらかんとした顔だ。
 さっきまであんなに揉めてたんだけどなと思いつつ、

「そういう問題でもないだろ? シンシアにだって選ぶ権利が――」

「よろしいのですか?」

「え?」

 俺がレティアに言い聞かそうとするも、シンシアが満更でもなさそうな顔で確認する。

「あなた気づいてなかったの? この子、昔からあなたに気があったのよ」

「レ、レティア様!」

「ま、私がいるから隠してたみたいだけどね。私にはバレバレよ?」

「はぅ……」

 シンシアが俯いて顔を赤らめる。
 まさか、シンシアがそんな気持ちを俺に抱いていたなんて知らなかった。

「そういうわけだから、いいわよね、アルゼ?」

「え、お、おう」

 なんだか本当にハーレムのようになってきてしまった。
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