魔物と戦う革命記

ロキ

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世界は腐っている。

幸せな顔の底

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朝起きると、何やら外が騒がしかった。魔物でも出たか、と思いながら外を見るとあいつが手錠をしながら歩いていた。一瞬、硬直してしまったが、外へ走り出した。
「どうしたんですか?」
俺は先頭を歩く司祭のような人に話しかけた。
「こいつは、異端者の本を読んでいた。しかも、悪魔と協調して助け合う。という題名の本だ。」
この世界では魔物の国があり、1000年の間戦争をしている。また、リスト教の教典には「魔物を殺すことはこの世で最も良い行い。」とされている。そんな世界で魔物と暮らすなど言語道断。
「こいつはそんなやつじゃないです!誰かに騙されたんですよ!」俺は半分本心、半分嘘を言った。
「じゃあ、街へ来い。街で裁判を行う。」
そう言うと、彼らは馬車に乗り込んだ。その時彼は口をふさがれており、悲しい涙ぐむ目だ。
このとき、なにか嫌な予感がした。形容しがたい何か本当に嫌な予感。俺は身支度を済ませ、街へ向かった。馬車に乗り、揺れに身を任せ進んだ。俺は1度しか街に行ったことがなく、しかも、それは10年以上前のことでほとんど覚えていない。
街に着き、あたりを見回すと異様な雰囲気を漂わせていた。人々が一枚の紙切れを後生大事に持っている。
「それはなんですか?」俺はその上を丁寧に持っている男に話しかけた。
「この紙を知らないなんてどこの田舎者だよ?まぁ、教えてやる。この紙を買うとなこれまでのすべての罪が許される。すごくないか?これでみなも天国へ行けるのさ!」彼はウキウキしていた。その格好は派手でいかにも高そうな時計やら靴やらを身にまとっていた。
「仕事は何を?」
「俺かい?教会で神父をしているよ?」
あぁ。なるほど。
こいつ等はこの紙切れを売りつけて儲けているのか。神を謳いながら。
そう考えると、強烈な吐気を催した。喉を熱くし、胃の中がうごめいている。
俺は思いっきり「そんなのかただの紙切れだ!」と言おうとしたが、これから裁判へ向かうのにそれをしたらあいつを助けられないと思いやめた。
「有難うございました。」
「もう、いいのかい?じゃあまた。神のご加護があらんことを。」
俺はまた強烈な吐気を催した。
俺はフラフラした足取りで裁判所へ向かった。道行く人々が大事そうに紙切れを握り、たまに派手な格好をしたやつに出会う。それが吐気を止まらせなかった。
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