桜の木の下の別れ道は幸せだろうか

ロキ

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 慣れた道をダラダラと漕ぎながら、あーあ3年生かなんてことを考えていた。これまでより勉強しなきゃななんてことだけを考えていた。

始業式後のホームルームでは3年生として進路実現をあーだこーだと言われてなんとも聞く気が起きない、だったら勉強をさせろよなんていう時間を過ごした。大学をどこにしようか、それすら決まっていない。

しばらく月日が過ぎれば、あっという間に学園祭の時期となった。最初の定期テストをちょっと成績上がったかなくらいで乗り切り、準備をし始めた。最後の学園祭となると気合いが入ってしまうもので、毎日のように部活の出し物やクラスの模擬店の準備、いざこざの解決に奔走した。

  「おつかれじゃない」

そういって、冷えた麦茶を差し出してきた。彼は山田と言って、高校一年生の頃から仲良く、2年は離れてしまったのだが3年になってまたクラスが一緒になった。

「さすがに疲れるでしょ」とありがたく飲み物を受け取り、彼は僕の横にドサッと座った。

「全く、みんな気合い入りすぎだよな」
「最後だしね。君も気合い入りまくりでしょ。クラスリーダーなんてやっちゃって」
「まぁな」
彼は屈託の無さすぎる笑顔で話していた。

「なぁ、お前ってさ大学決めてんの?」
「決めてるわけないでしょ」
「ならさ、一緒にここを目指さね?」
彼は離れた地域だが、とてもレベルの高い大学をスマホで見せてきた。

「全くレベル高いとこ言いやがって」
「まぁまぁ、いいじゃねぇか。頑張ろうぜ」

そういう彼につられて、志望校はその大学にした。

「じゃあ、俺リーダー会あるから行くわ」と手を振りながら校舎へ向かっていった。

彼の後ろ姿を見ながら、彼と同じ大学なら楽しいか。なんてことを考えつつ、ぼやぼやとみんなの作業を見ていた。

「サボんな」
後ろから毒を吐かれたので、振り返って見ると、そこには結月が立っていた。僕の彼女である。

「サボってねーよ。ただちょっと休憩してるだけだ。」
「それをサボるって日本語で言うのよ」

彼女は文系のクラスでフロアも、場所も全然違うため、あまり会うことはないのだが、会うとこうやって話をする。

「あ、それで学園祭の日さ」と彼女は学園祭当日の予定を聞いてきて、何となく学園祭の思い出に花を咲かせつつ予定を立てた。

2人で歩きながら校舎の方へ進み、すっかりと葉桜となってしまった桜を見た。毎年、この桜が葉桜になるのを見ると、あぁ学園祭だと思うし、時の流れを感じる。

 大学生になっても付き合っていたいな。

最後の学園祭だからか、そんなことを思っていた。

「何止まってんの」
結月が振り返って言った。
「いや、まぁ、なんでもないよ」

葉桜が、風に吹かれているのを眺めながら、
来年の葉桜はどんな感じだろうか。見れるのだろうか。という事が浮かんでは消えていった。
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