バージン・クライシス

アーケロン

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 涼子がけだるそうに上半身を起こし、恭平の首に腕を回して唇にキスした。すれ違えば振り返らない男はいないと言っていいほどの見事なバストをわざと恭平の厚い胸板に押し付け、反応を楽しんでいる。恭平は覆いかぶさる涼子の腰に右手を置き、ぎゅっとくびれたウエストから発達したヒップに手を滑らせる。涼子はくすぐったそうに身を捩ると、恭平の乳首に吸いついた。
「やめろよ」
 恭平は涼子の頬を両手で挟んで胸から持ち上げた。切れ長の瞳に、すらりと通った鼻梁、そしてやや下唇が厚い口唇。豊満な肉体同様、淫蕩な匂いのする顔つきだ。
 涼子は明るい茶色に染めたばかりのセミロングの髪をかき上げながらくすっと笑うと、再び恭平の唇に吸いついた。
「悪いんだ。高校生のくせに女子大生を手籠めにして」
「悪いって、どっちが? 未成年者とのセックスは条例違反で処罰の対象になるんだぜ。淫行だよ。新聞に名前まで出されて、お前は大学をクビになる」
 恭平は笑って涼子の頭を軽く小突いた。
「淫行なんかじゃないわ」
 涼子が恭平の耳たぶをぺろりと舐め、うっとりした表情で恭平の頬を撫でた。この女とは先月クラブで知り合った。声をかけてきた恭平を値踏みするような目つきで見ていたが、その瞳の中で妖しく光る隠微な炎を恭平は見逃さなかった。
「実はずっと以前から狙ってたの」
 そういって、セックスが終わってから腕を首に絡めてきたのだ。ベッドで恭平の学生証を見たとき、涼子の顔は驚きのあまり滑稽なほど変形した。大人びた雰囲気と巧みな話術に、自分と同じ歳か、あるいは年上かもしれないと涼子は思っていたらしい。それ以上に彼女を驚かせたのは、この不良少年が誰もが知っている名門私立高校の学生であったことだった。
(明日の一限目は体育か。たしか長距離走だったよなぁ)
「そろそろ出ようぜ」
 恭平は首に絡みついている涼子の細い腕を引き剥がして、ベッドを降りた。

「ねえ、この辺って、先月男の人が殺された場所よね」
 赤いワーゲン・ポロの運転席に座る涼子が、阪神電鉄の高架下を見た。恭平もつられて興味なさそうに窓の外に目をやる。街灯が途切れ、そこだけぽっかりと暗闇が広がっていた。繁華街から少し外れた場所で、さほど遅い時間ではないが人通りはほとんどない。
 ちょうどひと月前、頚動脈を切られた十九歳のチンピラの他殺体がこの場所で見つかったと学校で聞いたことがある。
「犯人は捕まったんだっけ?」
「まだみたい。友達がこの近くのマンションに住んでいるんだけど、暗くなると外も歩けないと言ってぼやいていたわ」
「警察も頼りないな。チンピラ同士のいざこざに決まってるのに、なんで犯人をとっ捕まえられないんだよ」
 そう言って背もたれに体をあずけてため息をついた。いくら十七歳だといっても、ベッドで二回戦は少しきつい。
「また電話するね」
 涼子が甘えるような声を出して恭平に抱きついた。プアゾンの香りが鼻腔を刺激する。
「今週は中間テストの勉強しなくちゃだめなんだ」
「もう……寂しいわ……」
 涼子の唇にキスをして、車から降りた。車が視界から消えるまで見送ると、駅前のロータリーを離れた。

 近道をしようと、住宅街を横切る。途中、窓の空いた部屋から家族の笑い声が聞こえてきた。幸せそうな笑い声だった。
(恭平の手って暖かい……)
ふと、脳裏に白い手と暖かい女の眼差しが浮かんだ。
(早紀……今、何をしてるのかな?)
 恭平は曇った夜空を見上げてため息をついた。
 通りかかった近くの公園に立ち寄り小枝をいくつか拾ってから、学生寮へ向かった。
 寮の扉には鍵がかけられている時間だった。恭平は寮を見上げた。ほとんどの部屋の窓に、まだ明かりがついている。タバコの匂いが漂ってきた。鉄筋三階建ての寮の二階端の部屋から麻雀パイを掻き回す音が漏れてくる。ケンジの部屋だ。今夜は疲れているので、あいつ等に付き合う気がしない。
 恭平は塀をよじ登ると、明かりがついている二階の自分の部屋の窓に小枝を投げつけた。最後の小枝を投げてしばらくして窓が開いた。
「よう、不良少年。いまお帰りかい? 及川に見つかったらうるせえぞ」
 そういって、ルームメイトの真司が手を伸ばした。真司に引きあげてもらって窓縁に座る。
「よかったよ、部屋にいてくれて」
「この野郎、すっきりした顔しやがって。年上のお姉さまとしっぽりはまってきたんだろう」
 窓枠に座ったまま靴を脱ぐ恭平を見て、真司がにやついた。
「いい加減にしておかないと早紀さんにばれるぜ」
 恭平は真司の言葉には何も答えずに床に腰を下ろすと、ポケットからタバコを出して火をつけた。
「今夜は参加しないのか?」
「麻雀なんてやってる場合かよ。試験勉強が追っつかないってのに。今回はやばいんだよ」
 そういって、真司が数学にテキストを指差した。
「お前こそ、試験前にこんな時間まで遊びまわっていて、大丈夫なのか?」
「学校の試験なんて、適当くらいが丁度いいのさ」
「むかつくこと言うなよ。俺より適当にやってる癖して、どうしていつも学年トップなんだよ」
「要領の問題だな」
 真司が恭平の持っているタバコの箱に手を伸ばして、一本摘まみ出す。恭平が火をつけると、真司は天井に向けて旨そうに煙を吐き出した。
「不純異性行為、黙っといてやるから、今度おごれよ」
「別に黙ってもらわなくても結構だよ。先生なんて、うまく丸めこんでやるさ」
「先生じゃなくって、櫻井愛美にだよ」
 真司は恭平を見てにやりと笑った。櫻井愛美は真司の恋人の佐々木玲の親友で、学校では真面目なグループに属している。
「あいつ、お前にマジで惚れてるぜ」
 恭平は真司の机の引き出しを開けると、灰皿を取り出し、タバコの火を消した。
「ああいう真面目な女は苦手だな」
 そういって、恭平はベッドに横になった。
「お前だって人のこと言えないだろ。佐々木がいるのに他の女喰いやがって」
「なんだよ、人聞きの悪いこと言うなよ」
「サヤカとかいうプー、食っちまったんだろ?」
 恭平がにやりと笑うと、真司は知ってたのかと言いたげな表情でタバコの煙を吐き出した。
「誰だ、ちくったのは。マスターか?」
「さあな」
 廊下から学生が大声で笑いあう声が聞こえてくる。
「滝井に頼まれたんだ。お前が櫻井のこと、どう思ってるのか聞いてくれって」滝井優希は愛美のルームメイトで、玲を加えた三人でいつも行動している。真司に言わせれば、何をするのも三人一緒の運命共同体だ。真面目な生徒にあまり縁のない恭平も、玲を通して愛美や優希と気安く言葉を交わす関係になった。
「どうも思ってないよ。真面目で純真で可愛い、ただの元クラスメートだよ」
「ずいぶんと貶すじゃないか。ああいうの、嫌いなのか」
「別に嫌いじゃないよ。苦手なだけだ。何を話していいか分からない」
「じゃあ、どっちかというと、好きなタイプなんだな?」
「そうだな」
 適当に返事を返すと、恭平は床に落ちている写真週刊誌に手を伸ばした。

 大蔵寮の朝は騒がしかった。恭平の通う神戸愛和高校は学業と芸術、そしてスポーツの名門校であり、有名なスポーツ選手でこの寮の出身者も少なくなかった。由緒あるこの寮の規律は厳しく、この寮を敬遠し、ワンルームマンションに部屋を借りる地方出身の生徒も少なくなかった。
 久しぶりに朝早く目覚めた恭平が洗面所に行くと、上級生の及川に出くわした。
 チッ……。
 恭平は心の中で舌打ちをすると、廊下の脇で直立不動になり、「おはようございます」と言って頭を下げた。及川はちらっと恭平を見ると、何も言わずに前を通り過ぎた。
 歴史のある男子寮だが、廊下のクリーム色のペンキはところどころ剥げ、天井には排水がしみこんだような染みがついていた。
 寮では後輩は先輩に絶対服従だった。寮の食事は上級生が食べ終わってから、順次下級生が席に着く。上級生は食いたい放題白米をたいらげていくので、一年生の中には白米が当たらずにおかずだけのものもいた。
 風呂も上級生から入り、下級生が入る頃には浴槽に陰毛がうようよ浮いていて湯につかる気にもなれない。話によると、上級生たちは浴槽の中でわざと自分の陰毛を掴んでは引き抜いているらしい。
 精神を鍛えるためだと息巻いてこの伝統ある男子寮に入ったが、潔癖症の恭平は上級生のこの不潔な行為に入寮早々から耐え難い苦痛を覚えた。肉体的苦痛や精神的重圧にはいくらでも耐える自信はあった。しかし、不潔なことだけは我慢できない。それに、寮のいたるところでゴキブリが這い回っているのも、恭平には我慢できないことだった。
 入寮して三か月ほどたった頃、ついに我慢も限界に達し、学校の近所にワンルームマンションを借りたいと父親に直談判した。
「試練だ、恭平。自分で選んだ道だろ。そこで三年間耐えろ。陰毛やゴキブリくらいで男がガタガタ言うんじゃない。お前は男の癖に清潔好きすぎるんだ」
 いかなる理由があろうとも、逃げること、すなわち、それは敗北だと、父が言った。敗北という言葉が恭平は大嫌いだった。父のこの言葉が恭平を大蔵寮にとどまらせた。
 トイレに入るとひどい大便臭が漂っていた。
「及川め、朝から糞しやがって。みんなの迷惑も考えろよな」
 恭平は顔をしかめて換気扇を回した。
 小便をして顔を洗うと、食堂に向かった。先輩の顔を見ると、後輩は朝の挨拶を大声でしなければならない。一年生が通路の脇に立って、恭平に挨拶をした。
「調子はどうだ?」
 恭平は今年入寮したこの一年生に声をかけた。
「はい、健康です!」
 緊張からくる下級生の頓珍漢な答えに恭平は思わず笑った。
 恭平が食堂に行くと、丁度三年生が朝食を終えたところだった。真司が先に来て席を取っていた。恭平は棚からおかずとみそ汁と飯をとると、真司の横に座った。
「パー券、完売したんだとさ。さっき、携帯覗いたら、義純さんからメールが入ってた」
 義純は三ノ宮のクラブで知り合ったフリーターで、一つ年上の十八歳。マリファナで四六時中トリップしている危ない奴だが、口が堅く、恭平も真司も義純のことを信頼していた。
「そうか、じゃあ、今日、予定通り買出しに行くか」
「悪い。今日、玲とデートの約束があるんだ」
「じゃあ、俺一人で準備しとくよ」
 恭平は苦笑いしてため息をついた。
「悪いな。試験勉強で最近ご無沙汰だから。玲もイライラしているみたいだし、俺もたまには抜かないと身体に悪いからよ」
 真司が手を合わせて頭を下げた。
「玲のやつ、もうすぐアレなんだ。だから、今日は生で決められるんだよ」
 真司がニヤニヤしながら、きゅうりの漬物を口に放り込んだ。
「お前、佐々木の生理がいつ来るか把握してるのか?」
「いや。玲が教えてくれるんだ。“明日は大丈夫だよ”って」
「バカップルめ」
 恭平が笑った。
「おい、お前ら」その時、食堂に及川の怒声が飛んだ。「飯食ったら学校行く前に廊下を掃除しておけ! 埃だらけじゃねえか! わかったな! 二年も一緒だ。一年だけにやらせるなよ!」
 及川はそう怒鳴り終わると、食堂から出て行った。
「ちぃっ!」
 真司が悔しそうに舌打ちした。「かまうことねえよ。一年に任せて、さっさと学校に行こうぜ」
「いや、俺はやるよ」
「なんだよ、一年にやりゃせりゃあいいじゃねえか」
「これは俺の試練なんだ」
「試練? なんだ、それ」
 真司の言葉に恭平は答えずに味噌汁を啜った。

 恭平は一年生を指導して廊下の掃除を手早く終えてから寮を出た。真司もぶつぶつ不満を漏らしながらも、下級生と一緒に廊下掃除に加わった。結局、二年で廊下掃除に加わったのは、恭平と真司だけだった。
「お前の試練につきあっちまったおかげで、俺まで巻き添えを食っちまったよ」
「だから、かまわず先に行けって言っただろ」
 学校へと続く坂道を登りながら、何時までもぶつぶつと不平を言い続ける真司に、恭平がしかめ面を向けた。
「おい」
 真司の言葉に恭平が視線を横に向けた。黒の高級車が二人の目の前を通り過ぎていく。
「桐生美里だ」と真司が言った
 黒の高級車が校門のすぐ脇で止まった。後部のドアを開けて桐生美里が車から降りてきた。
「みろよ、あのむちむちの身体。玲も結構良い身体だが、あいつには敵わないや」
 真司が好奇心全開のねっとりした視線を美里に送る。恭平も美里を見た。高校生離れした肉体と大人っぽい雰囲気を漂わせて、美里はゆっくりと校門をくぐった。
「桐生は一年でも三年でも有名なんだぜ」
 美里にいやらしい視線を送りながら真司がいった。
「俺は興味ねえな」
「そうだろうな。お前はナイスバディの女子大生と、大人の魅力たっぷりの年上の彼女と両天秤なんだから」
 真司の冷やかしの言葉が恭平には虚しかった。
「真司。今まで黙ってたけど、俺たち別れたんだ」
 恭平の言葉に真司が目を丸くして息を詰まらせた。
「別れたって、早紀さんとか? いつ?」
「先週」
「どうして?」
「あいつに新しい恋人ができた。そいつに抱かれたんだとよ。俺、早紀を思いっきり張り倒しちまった」
 その場で立ちすくむ真司を置いて、恭平は校門をくぐった。
 恭平と真司は黙ったまま教室に向かった。自分の顔を見つめたまま言葉を発しない真司を見て、恭平はじれったくなりため息をついた。
「なんか喋れよ」
「何を言って欲しいんだよ。慰めて欲しいのか?」
「別に」
「この前クアーズにいた色っぽい女だけどよ」
「興味ねえ」
「この前いただいたサヤカ、感度のいい女だったんだ。パンツに手を突っ込んだだけでよ」
「いいよ、こんな朝っぱらから」
「じゃあ、お前と話すことなんてないよ」
 恭平が笑ったので、真司も表情を崩した。
 教室に向かう廊下を曲がろうとした時、一人の女子生徒が飛び出してきてぶつかりそうになった。悲鳴を上げて倒れそうになる彼女の身体を、恭平が咄嗟に支えた。
「あ……鵜飼くん……ありがとう……」
 背中の中央まで伸びた長い髪を揺らして顔を上げた櫻井愛美が、顔を赤くして俯いた。
「どうした? 相変わらずそそっかしいな」
「り、理科室に行くの。今朝の実験準備当番だから」
 そそっかしいと言われた愛美が、むっとした顔で恭平を見た。
「また、危ない場所をうろついているんじゃないよな」
「もう、行かないです!」
 恭平にそう言われ、愛美は顔をさらに赤くした。そして、くるっと背を向けると、急ぎ足で去っていった。
「危ない場所ってなんだよ?」
 横にいた真司が訊いた。
「あいつ、一年の時、ピンク・プッシーの近くで男に絡まれてたんだ」
「あいつがか? あんなガラの悪いところになんで櫻井がいたんだ?」
「友達と映画に行った帰りに、どんなところか覗きに行ったんだとよ、一人で。怖いもの見たさってやつだろ。きっちりナンパされてたんだけど、あいつ、断り方知らなくってさ。脈ありだと思った相手の男たちにしつこく誘われていたんで、割り込んで手を引いて連れ出してやったんだ」
「へえ。なんだよ、俺の知らないところでつながり深めてたんじゃねえかよ」
「そんなんじゃねえよ」
「でもよ……」
 真司は恭平の顔を真顔で見た。「遊んだりするなよ。玲の親友だし、あいつ、いい奴だから」
「わかってるよ」

 一時間目の体育の授業は長距離走だった。いい汗をかいたうえに、窓からは心地よい風が入ってきた。このまま寝ちまおうか。そう思って、二時間目の授業中、恭平は黒板の前で、お経のように日本史の教科書を読む中年教師を見ていた。
 このまま平穏に教師を務め、退職金をもらい、待っているのは年金での自適悠々の生活。夫婦で旅行に行って、死ぬ時は子供と孫に看取られながら病院のベッドで生涯を終える。
 そんな人生が楽しいのか? 
 俺はゴメンだ。平凡な生活なんて。
 退屈になれば盛り場に行って、レベルの低い連中相手に暴れればいい。でも、命の無駄遣いはしない。バカな連中を相手にして一時のスリルが得られるならそれでいいと思っているだけだ。
 そう、俺は街の奴らとは違う。薬もやらない。そんなものに頼らなくても、この若くて価値のある命を張るだけで最高の快楽を得ることができるのだ。
 きっと楽しいだろう。俺には分かっている。ダチと騒いでいても、たまには自分の信じるもののために命を張って生きていきたい。大学出て、安全地帯で胡坐をかいで、朝起きて飯食って糞してセックスして寝て朝また起きる。そして、毎日預金通帳を見ては悦に浸る一生。そんなのはごめんだ。
 恭平は窓の外に視線を移す。窓のすぐそばのテニスコートで、女子生徒の体育の授業が行われていた。体育の授業は男女分かれて二クラス合同で行われる。今は一組と二組の授業だ。今朝、真司が言っていた桐生美里がプレイしている。確かにいい身体だ。テニスもうまそうだ。
 後ろの席の男子生徒にペンで背中を突かれた。視線を教室に戻すと、教師が黒板の前からこちらを見ている。眼鏡の奥に爬虫類のようにねっとりした目が光っていた。
 慌ててテキストに目を移す。授業が再開された。
 恭平は教室の中を見回して、周りの男子生徒たちを見た。
 今、勃起しているのは何人だ? あの桐生の裸を想像しながら、こいつらは毎晩抜いているのか? 平和な童貞連中だ。パパとママのために一生懸命勉強して、一日の楽しみは夜寝る前のマスターベーション。お前ら、何のために生きているんだ? 
 恭平はため息をついた。
 ちきしょう。今日の俺は何が面白くないんだ。何でこんなに気が立っちまってんだ? 早紀と別れたからか? あんな女と別れたって、どうってことない。尻尾を振って寄ってくる女なんて周りに腐るほどいる。もっと上等な女を探すだけだ。
 視線を再びテニスコートに戻す。テニスコートには櫻井愛美が立っていた。ボールの動きに身体がついていけず、ラケットに当たらない。相手の女子生徒が返しやすいように愛美のそばにボールを打つが、それでも空振りを繰り返していた。テニスが相当苦手らしい。
 愛美は、恥ずかしそうにうつむいてコートから出ていった。運動神経鈍そうだなと恭平は思った。体育が苦手な女だと、玲から聞いたことがある。清純で無垢な少女。いままで付き合ってきた女や、盛り場でつまみ食いしてきた女とは全く違う人種なんだろう。
「いいねえ、私も女の子とテニスがしたいよ」
 驚いて振り向くと、歴史の教師が横に立っていた。
「すんません」というと、クラスのみんなが笑った。
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