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愛理さんの運転する車はウサギのエンブレムの軽で、後ろのガラスに吸盤で下がっている若葉マークの下に「お先にどうぞ」というステッカーを持ったウサギのぬいぐるみがいる。
そんなかわいい車から降りてきた子はアゴの高さと車の屋根が同じくらい。
でかっ!中二でしょ!?
しかも筋肉もちゃんとついてる!かなりいい感じに!
私の好みの筋肉である同じクラスの青木くんだって中二の時はまだ完成前だったのに。きみ鍛える必要ある?
ジムに弟くんを預けて私たちはスパへ。弟くんは私みたいな子が苦手そうだったから質問は別行動になるまでガマンしていた。
「鍛える必要あります?何かの選手ですか?」
愛理さんは目を伏せた。
「逆だよ。鍛えるためじゃなくて、力加減を身につけるため。同級生に怪我をさせちゃって。
ゴメンね。普段はもっと明るい子なんだけど、あの体なのを自覚して気を付けてたし相手が一番の仲良しだったからショックが大きくて」
「そうなんですか」
なんて言えばいいんだろう。私って慰めるの下手だからな。
私が何か言う前に愛理さんが顔を上げた。
「暗くなっちゃったね。あの子ああ見えて元は本当に甘えん坊なんだよ。
今うち双子が生まれたばかりでね、すぐ上の子が子供返りしてるのを見てあの子も一緒に甘えたくてムズムズしてたの。それでここなら頑丈な人がいっぱいいるし力加減の練習もできるからっておじさんが」
それってつまり?
「え?何人姉弟ですか?」
愛理さんが右手を大きく広げて私に見せる。
「5人」
「すごっ!」
大家族ならではのエピソードを聞いたり、お祖母さんは双子の面倒を見るために今は愛理さんの家で暮らしてるって話からうちのお祖父ちゃんとお祖母ちゃんの話になったりして時間を忘れて、トレーニングを終えた弟くんから館内放送で呼び出された。
拗ねてる弟くんは確かに中学二年生、というよりむしろ小学生で、二人で宥めるのもそれはそれで楽しかった。
そんなかわいい車から降りてきた子はアゴの高さと車の屋根が同じくらい。
でかっ!中二でしょ!?
しかも筋肉もちゃんとついてる!かなりいい感じに!
私の好みの筋肉である同じクラスの青木くんだって中二の時はまだ完成前だったのに。きみ鍛える必要ある?
ジムに弟くんを預けて私たちはスパへ。弟くんは私みたいな子が苦手そうだったから質問は別行動になるまでガマンしていた。
「鍛える必要あります?何かの選手ですか?」
愛理さんは目を伏せた。
「逆だよ。鍛えるためじゃなくて、力加減を身につけるため。同級生に怪我をさせちゃって。
ゴメンね。普段はもっと明るい子なんだけど、あの体なのを自覚して気を付けてたし相手が一番の仲良しだったからショックが大きくて」
「そうなんですか」
なんて言えばいいんだろう。私って慰めるの下手だからな。
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今うち双子が生まれたばかりでね、すぐ上の子が子供返りしてるのを見てあの子も一緒に甘えたくてムズムズしてたの。それでここなら頑丈な人がいっぱいいるし力加減の練習もできるからっておじさんが」
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