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デビュー
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毎日発信されるオーディション情報の中から応募するのを厳選した結果、生放送深夜情報番組のひな壇にアイドルが20人必要らしく俺の目は止まった。深夜でもいかがわしい番組でもない。ひな壇でもレポーターとしての出演もある。しかも平日帯放送。
これは顔が知れるチャンスだ。
20人なら半分以上は大手事務所のコネや局側の大人の事情で決まる。数少なそうな残りの席を俺は狙った。
うちの事務所は一応業界では安定した大手芸能事務所の若手女性アイドル部門、いわゆる子会社的な立ち位置で弱小ではない。オーディションでのコネなしフリーは推定3席のために300人以上のアイドルの卵から売り出し中のタレントが来た。
深夜放送となると18歳以下はNGのため、必然的にひろこは最年少応募となる。
とにかく笑顔で、元気よく、生意気な口だけはするな、いくら下っ端のスタッフでも愛想をよくしろ!とひろこに釘を刺した。
「・・ニコニコ、愛想振りまいてればいいの?」
「そう。」
ダルそうにしながらも知り合いのスタイリストが用意した赤いワンピースを着てオーディション会場へ連れて行った。
裾がフワリとしてるがウエストの細さがくっきり分かる。それがなんとも極上なかわいさと生意気さを合わせ持った雰囲気を醸し出した。
「このワンピースほしいんだけど。」
「それはスタイリストに聞かないと分かんないけど、欲しいなら買取かもな」
「買取?くれないの?」
まだまだ世間知らずの高校卒業控えた18歳。
春からは一気に働いてもらうつもりだ。
「オーディションで受かったら社長が絶対買ってくれるよ」
「じゃあがんばる!大学受からなかったから卒業式に進路言えなくて恥ずかしくてさ。あたしだけだよ。うちの学校で進路が就職になるの」
「あと、この番組決まったら帰宅が遅くなるし目黒にある会社借上の物件、1部屋用意するって。社長が。」
「え?いいの?タダ?」
「そうだよ。会社の借上だから。」
「このオーディション受かったら一人暮らし?やったー!」
ひろこは杉並の自宅に両親と住んでいたけど、どうやら一人暮らしという事に憧れはあったらしい。これには喜んでいた。
オーディションが終わった夜、番組プロデューサーから連絡があった。
「遊井くんとこの新人。いいね」
なんとも面白いテレビマンな柳 秀光さんという番組プロデューサーは言った。
「安藤はどおでしたか?」
「受けた子の中で最年少なんだね。あれはいいぞ。話してもおもしろかった。俺の義理の弟が代理店なんだけど弟も素材がいいって今書類見て言ってる」
やっぱり。
さっそく敏腕プロデューサーのお目にかかるとはやっぱり俺の目は確かだったんだと思った。
「実はね、今回20名募集だけど20人全員がこちらの都合でもう決まってんの。でもどうしてもこの子は僕が使いたくて。1人落とすかプラス1でできるかちょっと調整するからね。」
結果はなんとあっさり合格。
大人の事情が勝るこの業界で無理矢理出演にこじつけた秀光さんの力に感謝と同時に秀光さんに気に入られたひろこに俺は拍手だった。
これがタレントあんどうひろこの誕生だった。
「名前、平仮名嫌なんだけど。」
なんとなく平仮名のがいいかなとそのままオーディションの書類も出していたのだが彼女から指摘があった。
「そお?平仮名のがよくない?」
「馬鹿っぽくみえるから苗字だけでも漢字にしてよ。」
馬鹿っぽい。
彼女は馬鹿は嫌なんだとその時分かった。
『MN遊井』
MNとはマネージャーの略語。
ホワイトボードのMN遊井のマグネットの隣には担当するタレントのマグネットと並ぶ。安藤ひろこと名の入ったマグネットと横並びになった。
俺たちの二人三脚が始まった。
深夜00:30からスタートの情報番組「いつかあなたとone night」通称ワンナイ。
平日帯放送。
月曜から金曜まで彼女は生出演。高校を卒業して4/1からのスタート。なんともタイミングの良いスタートを切れた。
番組の20人の女性タレントの中にはコネも絡むのでさすがにオーディションをたった1人勝ち抜いたひろこは最年少な上に注目され前列に座らされた。並んだ子達の中でも一目瞭然の可愛らしさだった。顔は満点。バッチリ見える脚はマネキンような形の良さで両隣に座る子達との差の違いは歴然。TV映りは最高だった。
初回放送時にたまたま髪をお団子ヘアにして出演した。
他のタレントがほぼ全員髪を結いておらず、被るのも嫌だなと思ったヘアメイクさんの意図かは分からないが、はじめて見たお団子頭もやっぱり似合っていた。
無造作に結いたお団子ヘアに顔のパーツが一段と際立っていた。
「ひろぽん、毎回お団子頭で出演したら?いつか徹子さんの後釜になれるかもよ」
秀光さんが俺とひろこに言った。
いつもお団子頭の大御所、徹子さんにあやかってレギュラーでも頂けるのならそりゃ毎回お団子頭でいい。
しかし第一回目の放送に出演した後、お団子頭の子がかわいいとの視聴者センターからご意見があった。
お団子頭でイメージしてくれるなら、と毎回お団子頭で出演する事になった。
共演タレントとケンカしないかと不安はあったが最年少なだけにお姉さんタレントからは可愛がられ、番組は楽しく無欠席で進んでいた。
最年少ひろこの18歳から上は31歳。全員グラビアもやってるわけであり一度ヤンマガのグラビアをひろこは飾ったがあまり楽しそうではなかった。
水着姿が嫌なのか。
「水着になるの嫌なの?」
「馬鹿っぽくない?」
撮影の最中にひろこが不機嫌そうに言った。
「仕事だからやるけど、ここで写真撮られてるならTV局での仕事がしたい。」
「TVが好きなのか?」
「面白いじゃん。TVはみんなでつくってるかんじがして。タレントじゃなかったらADになりたいくらいだよ」
ただTVにでたいだけ、ではないようだ。
しかしそんな強力なワンナイでの出演も2クールで幕を閉じる事になってしまった。
これは顔が知れるチャンスだ。
20人なら半分以上は大手事務所のコネや局側の大人の事情で決まる。数少なそうな残りの席を俺は狙った。
うちの事務所は一応業界では安定した大手芸能事務所の若手女性アイドル部門、いわゆる子会社的な立ち位置で弱小ではない。オーディションでのコネなしフリーは推定3席のために300人以上のアイドルの卵から売り出し中のタレントが来た。
深夜放送となると18歳以下はNGのため、必然的にひろこは最年少応募となる。
とにかく笑顔で、元気よく、生意気な口だけはするな、いくら下っ端のスタッフでも愛想をよくしろ!とひろこに釘を刺した。
「・・ニコニコ、愛想振りまいてればいいの?」
「そう。」
ダルそうにしながらも知り合いのスタイリストが用意した赤いワンピースを着てオーディション会場へ連れて行った。
裾がフワリとしてるがウエストの細さがくっきり分かる。それがなんとも極上なかわいさと生意気さを合わせ持った雰囲気を醸し出した。
「このワンピースほしいんだけど。」
「それはスタイリストに聞かないと分かんないけど、欲しいなら買取かもな」
「買取?くれないの?」
まだまだ世間知らずの高校卒業控えた18歳。
春からは一気に働いてもらうつもりだ。
「オーディションで受かったら社長が絶対買ってくれるよ」
「じゃあがんばる!大学受からなかったから卒業式に進路言えなくて恥ずかしくてさ。あたしだけだよ。うちの学校で進路が就職になるの」
「あと、この番組決まったら帰宅が遅くなるし目黒にある会社借上の物件、1部屋用意するって。社長が。」
「え?いいの?タダ?」
「そうだよ。会社の借上だから。」
「このオーディション受かったら一人暮らし?やったー!」
ひろこは杉並の自宅に両親と住んでいたけど、どうやら一人暮らしという事に憧れはあったらしい。これには喜んでいた。
オーディションが終わった夜、番組プロデューサーから連絡があった。
「遊井くんとこの新人。いいね」
なんとも面白いテレビマンな柳 秀光さんという番組プロデューサーは言った。
「安藤はどおでしたか?」
「受けた子の中で最年少なんだね。あれはいいぞ。話してもおもしろかった。俺の義理の弟が代理店なんだけど弟も素材がいいって今書類見て言ってる」
やっぱり。
さっそく敏腕プロデューサーのお目にかかるとはやっぱり俺の目は確かだったんだと思った。
「実はね、今回20名募集だけど20人全員がこちらの都合でもう決まってんの。でもどうしてもこの子は僕が使いたくて。1人落とすかプラス1でできるかちょっと調整するからね。」
結果はなんとあっさり合格。
大人の事情が勝るこの業界で無理矢理出演にこじつけた秀光さんの力に感謝と同時に秀光さんに気に入られたひろこに俺は拍手だった。
これがタレントあんどうひろこの誕生だった。
「名前、平仮名嫌なんだけど。」
なんとなく平仮名のがいいかなとそのままオーディションの書類も出していたのだが彼女から指摘があった。
「そお?平仮名のがよくない?」
「馬鹿っぽくみえるから苗字だけでも漢字にしてよ。」
馬鹿っぽい。
彼女は馬鹿は嫌なんだとその時分かった。
『MN遊井』
MNとはマネージャーの略語。
ホワイトボードのMN遊井のマグネットの隣には担当するタレントのマグネットと並ぶ。安藤ひろこと名の入ったマグネットと横並びになった。
俺たちの二人三脚が始まった。
深夜00:30からスタートの情報番組「いつかあなたとone night」通称ワンナイ。
平日帯放送。
月曜から金曜まで彼女は生出演。高校を卒業して4/1からのスタート。なんともタイミングの良いスタートを切れた。
番組の20人の女性タレントの中にはコネも絡むのでさすがにオーディションをたった1人勝ち抜いたひろこは最年少な上に注目され前列に座らされた。並んだ子達の中でも一目瞭然の可愛らしさだった。顔は満点。バッチリ見える脚はマネキンような形の良さで両隣に座る子達との差の違いは歴然。TV映りは最高だった。
初回放送時にたまたま髪をお団子ヘアにして出演した。
他のタレントがほぼ全員髪を結いておらず、被るのも嫌だなと思ったヘアメイクさんの意図かは分からないが、はじめて見たお団子頭もやっぱり似合っていた。
無造作に結いたお団子ヘアに顔のパーツが一段と際立っていた。
「ひろぽん、毎回お団子頭で出演したら?いつか徹子さんの後釜になれるかもよ」
秀光さんが俺とひろこに言った。
いつもお団子頭の大御所、徹子さんにあやかってレギュラーでも頂けるのならそりゃ毎回お団子頭でいい。
しかし第一回目の放送に出演した後、お団子頭の子がかわいいとの視聴者センターからご意見があった。
お団子頭でイメージしてくれるなら、と毎回お団子頭で出演する事になった。
共演タレントとケンカしないかと不安はあったが最年少なだけにお姉さんタレントからは可愛がられ、番組は楽しく無欠席で進んでいた。
最年少ひろこの18歳から上は31歳。全員グラビアもやってるわけであり一度ヤンマガのグラビアをひろこは飾ったがあまり楽しそうではなかった。
水着姿が嫌なのか。
「水着になるの嫌なの?」
「馬鹿っぽくない?」
撮影の最中にひろこが不機嫌そうに言った。
「仕事だからやるけど、ここで写真撮られてるならTV局での仕事がしたい。」
「TVが好きなのか?」
「面白いじゃん。TVはみんなでつくってるかんじがして。タレントじゃなかったらADになりたいくらいだよ」
ただTVにでたいだけ、ではないようだ。
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