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別れ
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「これから、春と会ってくるね。隣の隣ににあるボロボロのマンションの地下駐車場で待ち合わせしたから。」
「あのマンション、幽霊マンションで有名だぞ。ひろこ怖くないのか?」
「もう幽霊なんて怖くないわよ。もっと怖いものがあるわよ」
俺はひろこと一緒に事務所を出て並びにある幽霊マンションまで歩いた。
ひろこはこれから、春くんと何を話してくるのだろうと思いながら。
「怖いもの、は仕事か?」
「信頼。仕事の信頼がなくなるのが怖い」
ひろこは前を見つめて歩いていた。
「あと、」
言葉を詰まらせた。
分かる。春くんとケイ、どちらかに会えなくなるのが怖いのだろう。
「これ、言うか迷ったけど、ビールとアイスのCM、今ひろこで決まりそうなんだ。社長も、今回怒ってなかったろ?このCM決まればひろこもグループ会社全部入れたらトップ3には入るよ」
「・・・」
ひろこは黙って聞いていた。
「SOULもそう。ひろこもそう。1番大事な時なんだよ。春くんは春くんでひろこを想って歌って、ひろこは東京戻ってこれて、春くんの近くにいれて、その大事な期間を2人で育てあってきてトップに昇り詰めるってのはなかなかないと思うぞ」
マンションの薄暗い地下の駐車場に入るとカビ臭いような変な臭いがした。
「確かここで首吊り遺体があったような」
「やめてよ遊井さん!」
ひろこが怒ると車のライトが差し掛かって眩しくなった。春くんだと思った。
「行ってこいよ」
ひろこは頷いて車に乗った。
「遊井さん」
窓をあけて春くんは俺を呼んだ。
「いろいろ、すいません。」
「それはこっちのセリフ。秋元さんには感謝しきれないよ」
春くんにお礼を言ってひろこに叫んだ。
「明日!9時に迎え行くからな!」
「分かってる」
春くんは窓を閉めながら俺に会釈して車は走り出した。
「別れる。訳はないか。」
走り去る車を後ろで見ながらそう思っていた。
『白部渉』
『白部翔』
パソコンを見ると兄弟からのメールがテレコで来る事があってたまに微笑ましい気持ちなる。
白部兄からはcameraの表紙が出来上がりそれを見ると動いてる時とは打って変わって支倉氏とひろこが真っ直ぐ前を見て直立していた。
これは良い。あの現場からは想像もできないほどにクールにインテリにだけどどこか色っぽく2人が映っている。この画像のチョイスもさすが白部兄。
そして白部弟の方を見るとカンパケ動画が添付されていた。
こちらも支倉氏との収録回のようだ。
編集された動画はこれはまさしく白部くんの求めるゆるい笑いだった。
嫌がるひろこに追いかける支倉氏。スタジオ中走り回って捕まって。そしてひろこへの質問責めに編集は面白おかしくよくできていた。弟も優秀。さすが白部兄弟!なんて思っていたら秋元さんから連絡があった。
「今から、いつもの店どおですか?」
その言葉で俺はタクシーで中国居酒屋へ向かった。
秋元さんはぐったりしながらビールを既に飲んで待っていた。
「いやーもう。もう。」
「春くん。大変でしたよね。」
「一応、話はしました。大事な時なのにひろこちゃんが東京に戻ってから前より彼女に執着してる。彼女が浮気してるとかそうゆう意味じゃなくて彼女も彼女なりに交友関係はあるし仕事を1番にして彼女への気持ちへもっと平常心を持てと言っておきましたから」
「いや、秋元さん。それは俺に対しはありがたい言葉ですけど、春くんけっこうキツくないですか?大丈夫ですか?」
「いや、もうひろこちゃんに執着しすぎてるから。お灸を据えるくらいの気持ちでね。」
秋元さんは携帯を胸から3つ出してテーブルに並べて目を落としていた。
「これで、別れるはないと思いますけどね。」
「別れないでしょ。相手は真底惚れたひろこちゃんですよ。」
もしも別れていたら、また大阪の頃みたくひろこは人間凋落になるのか、と思っていたら翌日迎えに行ったら準備をして待っていた。
「おはよ。準備できたか?」
「今行く。」
ひろこはあっさり普通だと思ったら目が腫れていた。
泣き腫らした目。すぐに分かった。
『別れたっぽいですね』
昼頃秋元さんからメールが来た。
しかし、ひろこは冷静を装っておとなしくしていた。
ちゃんと挨拶をし、笑顔を見せて楽屋に入る。
「仕事の信頼がなくなるのが怖い」
そう言っていたひろこを考えると大人になったんだ、と、思った。
自分の築き上げて来た苦労を分かっていたからだ。
「はい。今日のお客様はキルズアウトのみなさんです。どうぞ!」
支倉氏の放送回はなんと視聴率が10%を超えた。深夜では驚愕の数字だった。人気者、支倉大介と一緒なのは分かるが深夜枠でここまでくればもう人気番組の位置付けである。
「遊井さん、やったよ。」
白部くんからは喜びの報告があった。俺も彼とは互いに喜び合った。
キルズアウトとはPV出演の過去もあり一緒にダンスのフリを覚えるというのをメインにしたがこれもまたファンや若い子も食らいつきそうなテーマだった。
ひろこは完全に悲しみを消しての仕事ぶりだった。笑ったりはしゃいだり、仕事中は真面目に仕事と向き合っていた。
その姿に安心感は覚えたが、やはり恋をしたハツラツとしたオーラある美しさではなかった。いつも通りだけど目が死んでるような、時折、悲しそうに笑う事があった。
俺はそれを見て何も言えなくなっていた。
「うちの俊が、すいません。ひろこちゃんのファンでして、」
キルズアウト俊のマネージャーが俺に言ってきた。
ふと見るとスタジオの端で何やらスマホを出して連絡先を交換しているようだった。
「あ・・」
ひろこでも男と連絡先の交換をするんだ、とはじめて見た瞬間だった。
春くんはどうするのだろうか。
違う男とひろこも付き合いだすのだろうかとも考えた。
なんせ今はフリーの身だ。
その時、着信があった。代理店からの連絡だった。
『安藤ひろこさんのマネージャーさんですか?CM依頼で少しお話宜しいでしょうか。』
白部兄の言っていた案件だ。俺はついに来た!と思った。
「あのマンション、幽霊マンションで有名だぞ。ひろこ怖くないのか?」
「もう幽霊なんて怖くないわよ。もっと怖いものがあるわよ」
俺はひろこと一緒に事務所を出て並びにある幽霊マンションまで歩いた。
ひろこはこれから、春くんと何を話してくるのだろうと思いながら。
「怖いもの、は仕事か?」
「信頼。仕事の信頼がなくなるのが怖い」
ひろこは前を見つめて歩いていた。
「あと、」
言葉を詰まらせた。
分かる。春くんとケイ、どちらかに会えなくなるのが怖いのだろう。
「これ、言うか迷ったけど、ビールとアイスのCM、今ひろこで決まりそうなんだ。社長も、今回怒ってなかったろ?このCM決まればひろこもグループ会社全部入れたらトップ3には入るよ」
「・・・」
ひろこは黙って聞いていた。
「SOULもそう。ひろこもそう。1番大事な時なんだよ。春くんは春くんでひろこを想って歌って、ひろこは東京戻ってこれて、春くんの近くにいれて、その大事な期間を2人で育てあってきてトップに昇り詰めるってのはなかなかないと思うぞ」
マンションの薄暗い地下の駐車場に入るとカビ臭いような変な臭いがした。
「確かここで首吊り遺体があったような」
「やめてよ遊井さん!」
ひろこが怒ると車のライトが差し掛かって眩しくなった。春くんだと思った。
「行ってこいよ」
ひろこは頷いて車に乗った。
「遊井さん」
窓をあけて春くんは俺を呼んだ。
「いろいろ、すいません。」
「それはこっちのセリフ。秋元さんには感謝しきれないよ」
春くんにお礼を言ってひろこに叫んだ。
「明日!9時に迎え行くからな!」
「分かってる」
春くんは窓を閉めながら俺に会釈して車は走り出した。
「別れる。訳はないか。」
走り去る車を後ろで見ながらそう思っていた。
『白部渉』
『白部翔』
パソコンを見ると兄弟からのメールがテレコで来る事があってたまに微笑ましい気持ちなる。
白部兄からはcameraの表紙が出来上がりそれを見ると動いてる時とは打って変わって支倉氏とひろこが真っ直ぐ前を見て直立していた。
これは良い。あの現場からは想像もできないほどにクールにインテリにだけどどこか色っぽく2人が映っている。この画像のチョイスもさすが白部兄。
そして白部弟の方を見るとカンパケ動画が添付されていた。
こちらも支倉氏との収録回のようだ。
編集された動画はこれはまさしく白部くんの求めるゆるい笑いだった。
嫌がるひろこに追いかける支倉氏。スタジオ中走り回って捕まって。そしてひろこへの質問責めに編集は面白おかしくよくできていた。弟も優秀。さすが白部兄弟!なんて思っていたら秋元さんから連絡があった。
「今から、いつもの店どおですか?」
その言葉で俺はタクシーで中国居酒屋へ向かった。
秋元さんはぐったりしながらビールを既に飲んで待っていた。
「いやーもう。もう。」
「春くん。大変でしたよね。」
「一応、話はしました。大事な時なのにひろこちゃんが東京に戻ってから前より彼女に執着してる。彼女が浮気してるとかそうゆう意味じゃなくて彼女も彼女なりに交友関係はあるし仕事を1番にして彼女への気持ちへもっと平常心を持てと言っておきましたから」
「いや、秋元さん。それは俺に対しはありがたい言葉ですけど、春くんけっこうキツくないですか?大丈夫ですか?」
「いや、もうひろこちゃんに執着しすぎてるから。お灸を据えるくらいの気持ちでね。」
秋元さんは携帯を胸から3つ出してテーブルに並べて目を落としていた。
「これで、別れるはないと思いますけどね。」
「別れないでしょ。相手は真底惚れたひろこちゃんですよ。」
もしも別れていたら、また大阪の頃みたくひろこは人間凋落になるのか、と思っていたら翌日迎えに行ったら準備をして待っていた。
「おはよ。準備できたか?」
「今行く。」
ひろこはあっさり普通だと思ったら目が腫れていた。
泣き腫らした目。すぐに分かった。
『別れたっぽいですね』
昼頃秋元さんからメールが来た。
しかし、ひろこは冷静を装っておとなしくしていた。
ちゃんと挨拶をし、笑顔を見せて楽屋に入る。
「仕事の信頼がなくなるのが怖い」
そう言っていたひろこを考えると大人になったんだ、と、思った。
自分の築き上げて来た苦労を分かっていたからだ。
「はい。今日のお客様はキルズアウトのみなさんです。どうぞ!」
支倉氏の放送回はなんと視聴率が10%を超えた。深夜では驚愕の数字だった。人気者、支倉大介と一緒なのは分かるが深夜枠でここまでくればもう人気番組の位置付けである。
「遊井さん、やったよ。」
白部くんからは喜びの報告があった。俺も彼とは互いに喜び合った。
キルズアウトとはPV出演の過去もあり一緒にダンスのフリを覚えるというのをメインにしたがこれもまたファンや若い子も食らいつきそうなテーマだった。
ひろこは完全に悲しみを消しての仕事ぶりだった。笑ったりはしゃいだり、仕事中は真面目に仕事と向き合っていた。
その姿に安心感は覚えたが、やはり恋をしたハツラツとしたオーラある美しさではなかった。いつも通りだけど目が死んでるような、時折、悲しそうに笑う事があった。
俺はそれを見て何も言えなくなっていた。
「うちの俊が、すいません。ひろこちゃんのファンでして、」
キルズアウト俊のマネージャーが俺に言ってきた。
ふと見るとスタジオの端で何やらスマホを出して連絡先を交換しているようだった。
「あ・・」
ひろこでも男と連絡先の交換をするんだ、とはじめて見た瞬間だった。
春くんはどうするのだろうか。
違う男とひろこも付き合いだすのだろうかとも考えた。
なんせ今はフリーの身だ。
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