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世間はしばらく2人の結婚で話題持ちきりだった。
ちょうど、ひろこの番組で唯がゲストの回が放送された。
『支倉と✖️✖️どっちが好きなんだよ!』
『✖️✖️です!』
ひろこの意志の強い顔がアップで編集され、ピー音もかなり短い事から「はる」と言っているのは誰にでも分かる。
白部くんの言う通り、揺るぎない春くんへの強い気持ちを持ったひろこの表情はネット上で話題になり支持を得た。
『ひろこちゃんかわいい。HARUさんが好きって真剣な顔がかわいすぎる。』
『ひろこちゃん一途でかわいい』
『この2人、お似合いすぎてなんもいえない』
俺はひとつひとつ自分がこなしてきた仕事が世間にひろこの魅力を発信できた訳で、もう満足この上なかった。
でも自分の力だけではない。
ひとつひとつ作ってきた人間関係のおかげだと思っていた。
結論は結局仕事は人と人なんだ。
人が好き。
人を輝かせるのが好き。
人を育てるのか好き。
あぁ、俺ってこうゆう人間だったんだ、と思った。
「シークレットライブ?」
秋元さんからチケットを2枚もらった。
モノクロ印刷の安っぽいチケットだった。
「全国ツアー終わって、都内のライブ会場で100人限定でライブするんですよ。関係者とスタッフとメンバーの友達とか地元の友達で。メディアも入らないし本当おつかれ会みたいなライブなので時間あれば来てください。20時から2時間なんで。」
ひろこに誘って突如行く事になったがなんせ20時には間に合わず、到着したのが21時45分だった。
「ひろこ!早く!」
「遊井さん、もう終わっちゃうじゃん!」
目黒にあるボロボロのライブハウスはSOULが初めて東京でワンマンライブをした思い出のライブハウスだと秋元さんから聞いた。
看板もポスターも張り出さず、そのライブは盛り上がっていた。
「撮りますよー!」
受付で、ポラロイドカメラで個人撮影してメンバーにコメントを書いて渡すと言われカメラを向けられた。
「ライブあと10分しかないじゃん!」
俺とひろこは急いでいた流れで個人ではなく2人で撮ってもらった。
急いでいたのもあってか、ひろこが俺に偉そうに肩に手を回していた。
「なんだこの写真!」
よく考えたら2人で写真なんて撮った事はなく俺はおかしくなった。
ひろこは急いでポラロイド写真の白い縁にメッセージを書いていた。
それを書いて受付に出すとライブの歓声に引かれるように俺達2人は中に入った。
もう一枚は俺が書くはずがひろこがペンと写真を持ったままライブ会場に入ってしまった。
扉を開けると大歓声につつまれ、春くんはいつものステージよりもラフに、メンバー全員がTシャツ姿だった。
「カッコいー!春くん」
俺がつい言葉に出したがひろこも目をキラキラさせてステージに立つ春くんを見つめていた。
『次はー!ここで歌っちゃおうかな。未発表曲!ここじゃなきゃ歌えないから』
大歓声の中、春くんは笑っていた。
『イルカの嫁入り。聞いてください。』
俺はもしかして?と思った。
ケンくんのかっこいいギターからEDM的なリズムが刻まれる。
この歌だ。
春くんはギターを下げて弾き始めノリノリで頭を振りながらリズムを打つ
「結婚結婚したいな絶対。結婚結婚しようよ絶対。けーっこん!ぜーったい!けーっこん!ぜーったい!」
ステージ中央で軽快に歌う春くんに会場はただただ盛り上がった。
「結婚絶対僕とするよね?結婚絶対してくれるよね?けーっこん、ぜーったい、きみと、けーっこん!ぜーったい!」
湧き上がるサウンドに俺は聞き惚れた。
あの曲はこんなにカッコよくなるんだと思った。
春くんのハスキーな声もマッチして完璧な仕上がりだった。
軽快なリズムにライブハウス内全体が湧いていた。
「永遠の愛を誓ってくれるのなら!きーみの、愛しげな瞳も、麗しいくちびるも、全部僕に預けて。いつまでも笑っていて!」
ギターを弾きながら春くんも思う事はあるのだろう。
そのギターの弾き方も妙にカッコよく最後は大歓声だった。
「おめでとー!」
「結婚おめでとー!」
観客から声が入ると照れ臭そうに笑った。
「今日一緒じゃないの?いないの?」
「ひろこちゃん来てないの?」
前列の人達が次々に声をかけていた。
「今日は仕事ー!」
「今来ましたよ!」
「え?来てるの?今?」
スタッフの声に春くんが反応した。
「じゃあ、呼んじゃおうかな」
ひやかしのような歓声が一斉に沸いた。
春くんが手で目上のライトを遮るようにひろこを探していた。
「ひろこ!行ってこい!」
「え!あ、ちょっと待って!あ!」
俺が言うと何故か横から山ちゃんが現れた。
「ひろこちゃんこっちこっち!」
ひろこは山ちゃんに手を繋がれて人をかき分けてステージへ連れて行かれた。
「ここにいまーす!」
山ちゃんの言葉でひろこはステージに連れて行かれた。
「山ちゃん、どさくさに紛れて手つながないでよ!」
大歓声の中、春くんが山ちゃんに怒りながらもひろこを受け取り、春くんに手を引かれてひろこはステージに登りビックリしていた。
「僕のひろこです。かわいいでしょ」
みんなからは冷やかしのような歓声があいついで飛んだ。
「誰も手、ださないでね。人妻ですからね!」
ひろこも隣で笑っていた。
ディープキス!ディープキス!ハイ!ディープキス!
すると前列の方から手拍子が激しくなりステージは大笑いになった。
「しないしない」
笑顔で春くんが言いながらもその後2人は周りの歓声に押されて一瞬だけキスをした。
幸せそうに笑うひろこを会場の1番後方で見つめていた。
「遊井さん。ひろこちゃんからです。」
すると山ちゃんが戻ってきて写真とペンを俺に渡してきた。
さっき入口で渡された俺がコメントを書く分の写真だとすぐに分かった。
受け取るとすでにメッセージが書いてあった。
『明日迎え10:30でもいい?』
「・・9時だって言ってんのに。」
写真はひろこが俺に肩を組んで悪そうな顔をしていた。
あくまでひろこはいつも通りだ。なぜかそれに俺は安心感さえ覚えていた。
辛い時も這い上がる時も幸せな時も側で見続けてきた。
親も彼氏も知らないひろこをみんなみんな俺は目に焼き付けてきたんだ。
春くんが、俺に土下座しようとした時、泣いていた秋元さんの気持ちがよく分かる。
それは、秋元さんが春くんの1番のファンだからだ。
マネージャーっていうのは、そういうものなのかもしれない。
そうゆうポジションなのかもしれない。
結婚しても、まだまだひろこと一緒にいる。
怒りながら笑いながら励ましあいながら仕事に一喜一憂して一緒にいる。
ひろこの魅力を全国の人に届けられる。
もしかしたら、この世で1番の安藤ひろこのファンは俺自身なのかもしれない。
あの、初めて会った日から。
『これから彼氏がくるの。だから、帰って』
end
ちょうど、ひろこの番組で唯がゲストの回が放送された。
『支倉と✖️✖️どっちが好きなんだよ!』
『✖️✖️です!』
ひろこの意志の強い顔がアップで編集され、ピー音もかなり短い事から「はる」と言っているのは誰にでも分かる。
白部くんの言う通り、揺るぎない春くんへの強い気持ちを持ったひろこの表情はネット上で話題になり支持を得た。
『ひろこちゃんかわいい。HARUさんが好きって真剣な顔がかわいすぎる。』
『ひろこちゃん一途でかわいい』
『この2人、お似合いすぎてなんもいえない』
俺はひとつひとつ自分がこなしてきた仕事が世間にひろこの魅力を発信できた訳で、もう満足この上なかった。
でも自分の力だけではない。
ひとつひとつ作ってきた人間関係のおかげだと思っていた。
結論は結局仕事は人と人なんだ。
人が好き。
人を輝かせるのが好き。
人を育てるのか好き。
あぁ、俺ってこうゆう人間だったんだ、と思った。
「シークレットライブ?」
秋元さんからチケットを2枚もらった。
モノクロ印刷の安っぽいチケットだった。
「全国ツアー終わって、都内のライブ会場で100人限定でライブするんですよ。関係者とスタッフとメンバーの友達とか地元の友達で。メディアも入らないし本当おつかれ会みたいなライブなので時間あれば来てください。20時から2時間なんで。」
ひろこに誘って突如行く事になったがなんせ20時には間に合わず、到着したのが21時45分だった。
「ひろこ!早く!」
「遊井さん、もう終わっちゃうじゃん!」
目黒にあるボロボロのライブハウスはSOULが初めて東京でワンマンライブをした思い出のライブハウスだと秋元さんから聞いた。
看板もポスターも張り出さず、そのライブは盛り上がっていた。
「撮りますよー!」
受付で、ポラロイドカメラで個人撮影してメンバーにコメントを書いて渡すと言われカメラを向けられた。
「ライブあと10分しかないじゃん!」
俺とひろこは急いでいた流れで個人ではなく2人で撮ってもらった。
急いでいたのもあってか、ひろこが俺に偉そうに肩に手を回していた。
「なんだこの写真!」
よく考えたら2人で写真なんて撮った事はなく俺はおかしくなった。
ひろこは急いでポラロイド写真の白い縁にメッセージを書いていた。
それを書いて受付に出すとライブの歓声に引かれるように俺達2人は中に入った。
もう一枚は俺が書くはずがひろこがペンと写真を持ったままライブ会場に入ってしまった。
扉を開けると大歓声につつまれ、春くんはいつものステージよりもラフに、メンバー全員がTシャツ姿だった。
「カッコいー!春くん」
俺がつい言葉に出したがひろこも目をキラキラさせてステージに立つ春くんを見つめていた。
『次はー!ここで歌っちゃおうかな。未発表曲!ここじゃなきゃ歌えないから』
大歓声の中、春くんは笑っていた。
『イルカの嫁入り。聞いてください。』
俺はもしかして?と思った。
ケンくんのかっこいいギターからEDM的なリズムが刻まれる。
この歌だ。
春くんはギターを下げて弾き始めノリノリで頭を振りながらリズムを打つ
「結婚結婚したいな絶対。結婚結婚しようよ絶対。けーっこん!ぜーったい!けーっこん!ぜーったい!」
ステージ中央で軽快に歌う春くんに会場はただただ盛り上がった。
「結婚絶対僕とするよね?結婚絶対してくれるよね?けーっこん、ぜーったい、きみと、けーっこん!ぜーったい!」
湧き上がるサウンドに俺は聞き惚れた。
あの曲はこんなにカッコよくなるんだと思った。
春くんのハスキーな声もマッチして完璧な仕上がりだった。
軽快なリズムにライブハウス内全体が湧いていた。
「永遠の愛を誓ってくれるのなら!きーみの、愛しげな瞳も、麗しいくちびるも、全部僕に預けて。いつまでも笑っていて!」
ギターを弾きながら春くんも思う事はあるのだろう。
そのギターの弾き方も妙にカッコよく最後は大歓声だった。
「おめでとー!」
「結婚おめでとー!」
観客から声が入ると照れ臭そうに笑った。
「今日一緒じゃないの?いないの?」
「ひろこちゃん来てないの?」
前列の人達が次々に声をかけていた。
「今日は仕事ー!」
「今来ましたよ!」
「え?来てるの?今?」
スタッフの声に春くんが反応した。
「じゃあ、呼んじゃおうかな」
ひやかしのような歓声が一斉に沸いた。
春くんが手で目上のライトを遮るようにひろこを探していた。
「ひろこ!行ってこい!」
「え!あ、ちょっと待って!あ!」
俺が言うと何故か横から山ちゃんが現れた。
「ひろこちゃんこっちこっち!」
ひろこは山ちゃんに手を繋がれて人をかき分けてステージへ連れて行かれた。
「ここにいまーす!」
山ちゃんの言葉でひろこはステージに連れて行かれた。
「山ちゃん、どさくさに紛れて手つながないでよ!」
大歓声の中、春くんが山ちゃんに怒りながらもひろこを受け取り、春くんに手を引かれてひろこはステージに登りビックリしていた。
「僕のひろこです。かわいいでしょ」
みんなからは冷やかしのような歓声があいついで飛んだ。
「誰も手、ださないでね。人妻ですからね!」
ひろこも隣で笑っていた。
ディープキス!ディープキス!ハイ!ディープキス!
すると前列の方から手拍子が激しくなりステージは大笑いになった。
「しないしない」
笑顔で春くんが言いながらもその後2人は周りの歓声に押されて一瞬だけキスをした。
幸せそうに笑うひろこを会場の1番後方で見つめていた。
「遊井さん。ひろこちゃんからです。」
すると山ちゃんが戻ってきて写真とペンを俺に渡してきた。
さっき入口で渡された俺がコメントを書く分の写真だとすぐに分かった。
受け取るとすでにメッセージが書いてあった。
『明日迎え10:30でもいい?』
「・・9時だって言ってんのに。」
写真はひろこが俺に肩を組んで悪そうな顔をしていた。
あくまでひろこはいつも通りだ。なぜかそれに俺は安心感さえ覚えていた。
辛い時も這い上がる時も幸せな時も側で見続けてきた。
親も彼氏も知らないひろこをみんなみんな俺は目に焼き付けてきたんだ。
春くんが、俺に土下座しようとした時、泣いていた秋元さんの気持ちがよく分かる。
それは、秋元さんが春くんの1番のファンだからだ。
マネージャーっていうのは、そういうものなのかもしれない。
そうゆうポジションなのかもしれない。
結婚しても、まだまだひろこと一緒にいる。
怒りながら笑いながら励ましあいながら仕事に一喜一憂して一緒にいる。
ひろこの魅力を全国の人に届けられる。
もしかしたら、この世で1番の安藤ひろこのファンは俺自身なのかもしれない。
あの、初めて会った日から。
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