積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと

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63,帰路の途中で

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カームリーヒルの街を出た私はご機嫌だった。
ケイト達と次に会えるのを楽しみにまた頑張ろうと前向きな気分だ。

王都までは来た時同様、4日間かかる長旅だ。馬車の中で私は読書をしたり勉強をしたりと穏やかに過ごそうと思っていたのだ。
しかし、それは早々に出鼻をくじかれることになる。

馬車での移動初日、急に馬車が止まり外が騒がしくなった。
ちらりとカーテンを開けて隙間から外を覗いてみると、野盗らしき集団に囲まれているようだ。
護衛の騎士が戦っているが、野盗の人数が多く人数的には圧倒的に不利だ。
馬車から降りて助太刀しようとすると、同乗していたマリーとアンナに慌てて止められてしまった。

「お止めください!危険です。相手は人を殺めることも厭わない野盗なのですよ?」

「そうです、ここは騎士に任せましょう。」

「でも人数が多くてこのままだと騎士が怪我をしてしまうわ。大丈夫よ。無理はしないから。」

そう言い残して私は馬車を降りて辺りを見回す。森の中、隠れている者もいるが気配探知で丸わかりだ。
野盗達30人程に対して護衛の騎士は4人である。騎士達の実力は疑っていないが、卑怯な攻撃をされたら死につながる。
ちなみに公爵令嬢の護衛が4人というのはかなり少ないが、私が魔法が使えることは知っているのでこの人数なのだ。

「おいおい、馬車の中から可愛いお嬢様がでてきたぜ。これは高く売れそうだな。」

下品な笑みを浮べてそう言う野盗を一瞥する。

「お嬢様!なぜ!!」

「お戻り下さい!危険です!!」

焦るフレディ達を横目に私は空に浮かび、野盗達に一人残らず睡眠魔法をかけた。

「………っ!!!」

30人程いた敵を一滴の血を流すことなく無力化させた私を、護衛の騎士は皆一様に驚愕の眼差しで見てくる。何が起きたのかわかっていない様子だ。

「みんな大丈夫?怪我はしてない?」

見回すと護衛の一人が腕に怪我を負ったようだ。
顔色がとても悪い。回復魔法をかけてもあまり顔色が良くならない。もしかしたら毒を受けたのかもしれないと思い、解毒魔法をかける。
顔色が戻ってきたのでこれでもう大丈夫そうだ。
野盗は本当に卑怯な事をする。

他の騎士達は眠っている野盗達を縄で縛り付けていたので、私も手伝うことにした。こんなにいたら大変よね。

「バインド」

その魔法で野盗は一瞬で拘束され、しかしそれにも気が付かずにまだ眠り続けている。

そんな野盗達を私は色のない目で見ていた。
あまりにもあっけなく解決したが、昔の私だったら間違いなく拐われていただろう。

騎士達は、この者達をこのまま王都まで歩いて行かせようとしていた。
でもそれだと時間がかかってしまってお父様の祝賀パーティーに間に合わない。パーティーは嫌いだが、お父様の(騎士団の)祝賀パーティーは特別だ。なんといっても正装姿のお父様が見れる貴重な機会なのだから。
なによりも早くお父様に会いたい。

「魔法で運んでもいいかしら?」

魔法でこの人数を運ぶことができるのか聞かれたので、笑顔で頷いてみせる。多分あの魔法ならいけるんじゃないかな?

「そこまでお嬢様のお手を煩わせるわけには参りません。」

「そうですよ!それにずっとその魔法を維持するのは魔力が持ちませんよ?」

心配する騎士達を尻目に

「大丈夫よ、ちょっと実験してみたいの。」
と、人に対しては使ったことのない魔法を野盗達にかける。

「ミニマム」

その魔法を唱えると、野盗達は10分の1程度の大きささになる。可愛くもなんともない小人である。
土魔法で適当に作った箱にその野盗達を詰め込めば、もうそこには何事もなかったかのようだ。

その様子を見ていた騎士達は信じられないものを見たとばかりに目を瞬いている。
アンナとマリーは顔を見合わせて驚いている。

「今見たことは誰にも言わないでほしいの。お父様達にも。あなた達がやったことにしてくれる?あの者達は王都近くで元の大きさに戻すわ。そこから歩いて連れて行かせて。」

複雑な顔をしている騎士達にそう言い、再び馬車に乗りこんだ。

「お嬢様、あんなに魔法が使えるようになっていたのですね。私達、本当にビックリしちゃって。」

「えぇ、シドに教えてもらってるからね。あなた達には怖い思いをさせちゃったかしら?」

「いえ、あんなに沢山の魔法が使えるなんて!本当に凄いです。」

「しかも攻撃魔法ではなく敢えて無力化する魔法を使うところがお嬢様らしいですね。」

興奮気味に褒めてくれるアンナとマリーの顔を見ていると無性に安心する。
頑張ってきた魔法が役に立ってよかった。皆を守れて良かった。

嬉しくて泣きそうになるのを誤魔化すために、読みかけの本に目を落としたのだった。





治安があまり良くないのかしら?来る時は何事もなかったというのに、これはどういうことなのだろう?

目の前には土魔法で作った箱が3箱あり、中には20センチ程の小人達がうじゃうじゃ入っている。
あれから野営中に襲撃されたり、野盗集団に襲われたりしたのだ。三度も襲撃に合うなんて、昔の私だったらもう死んでたわね。つくづく努力はしておくものだ。

私は箱の中に入った親玉の小人を3人元の姿に戻した。仲間は全員小人のままだ。
元に戻った親玉達は皆何が起きたか理解できていないようだった。

「いいか、暴れればまたお前達はまたこの姿に戻り、この場に放置する。大人しくしていればそこまで悪いことにはならない。どうだ?このまま大人しく付いてくるか?」

護衛の騎士が箱を指差しながらこう言うと、ようやく自分達の置かれた状況にやっと気がついたらしい親玉達は、顔を青くしてコクコクと頷いた。
すでにバインドで拘束されているし、圧倒的に不利な立場であることを認識したのだろう。

それから私は一人ずつ解除しているのだ。やっぱり範囲魔法も覚えた方が良かったかな?と思いつつ、こんな状況滅多にないことだと思い直した。
全部で75人。全て解除が終わる。

「お嬢様、そんなに一気に魔法を使って大丈夫なのですか?」

「大丈夫。魔力はまだ余裕があるわ。それよりもくれぐれも宜しくね?」

微笑みで訴える。

「もちろん、誰にも何も言いません!」

フレディだけが私とその騎士の会話しているのをじっと見ていたことを私は気が付かなかった。


こうして私は無事に王都に帰ってきたのだった。
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