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37,気になる
習慣というのは恐ろしいもので、何も予定がなくてもいつもと同じ時間に目が覚める。
時刻は朝の7時前。
夏休みである。
…うん、やることがない。
いや、実際にはやることはあるのだが、今日はなんだか勉強する気が出ない。
シドとの授業もないし、事業の打ち合わせもなければ、ハーブも作り尽くしてしまった。
お父様達は騎士団へ行っていて不在。
何も予定のない休日など久しぶりだ。
よし、今日は採譜をしようかな。時間のある時に、前世で好きだった曲を採譜をしているのだ。
その時によってアレンジが違うのも悪くないけど、ちゃんと楽譜として残しておきたいと思い、始めたことだ。
遮音結界を張り、ピアノを弾き始める。
前世の記憶にこの世界のピアノアレンジを入れたりして、一番良いと思った演奏を譜面に起こしていく。
地味な作業だけど、イメージが具現化するのは達成感があるしとても楽しい。
やっぱり遮音結界を張ると自由に弾けるし、誰にも聞こえないから間違えても恥ずかしくない。
練習する時は結界を張るに限るわね。
「…様、お嬢様。」
気がつくとマリーが軽食を持って来ていた。
え?もうそんな時間?
時計を見ると確かに12時が過ぎている。
我ながらすごい集中力ね。
サンドイッチを食べながらマリーと話していると、フレディが険しい顔をしているのが目に入った。だから怖いんだってば…
「エリナリーゼ様、遮音結界の中に入っても宜しいでしょうか?」
「フレディ。ただ練習しているだけだから危険はないわ。部屋の中なら遮音結界の外でも大丈夫でしょう?」
「しかし、いつ危険があるかもしれませんし」
どうやらフレディはこの中に入りたいらしい。
「大丈夫よ。何かあったらあなたが守ってくれるのでしょう?」
「これだけの結界が重なっているということは、ここが大切な場所であると言っているようなもの。手練の者ならば迷わずここを襲うでしょう。」
まぁそれは私も思っていたわ。対策しているから大丈夫だとは思うけど。
ちなみに私が座っているピアノの席からはバルコニーが見え、そこから侵入されたところで私なら対応できる……はず。そもそも侵入することさえできないと思うけどね。
「結界の中に入る許可をいただけますね?」
フレディは引く気はないらしい。
フレディは私にも音楽にもあまり興味がなさそうだ。単純に護衛のためだろう、と思い許可をすることにした。
過保護か!
まぁ、結界に入ったところで私の視界に入らなければそのうち忘れる。フレディなら気配を消してくれるだろうし。
気にしないことにして、またピアノを再開した。
というかこのフレディってば、本当に魔力量は大丈夫なの?こっちが不安になってしまうわ。
「できたわ!」
我ながら壮大なバラードに仕上がったと思う。
柔らかく切ない序章からはじまり、サビは力強く。2メロはアレンジを加え華やかにして、2サビはより力強く。2回目のサビはダイナミックなアレンジにした。弾きごたえのある一曲に仕上がった。
楽譜を書き終え、納得いく演奏ができた頃にはもう夕方になっていた。
今日はピアノの気分なので、食事の時間までいろんな曲で弾き語りをして遊ぶことにした。
この世界でピアノを頑張ったお蔭で、耳コピのスキルがついたように思う。前世の曲がどんどん思い出されてくる。歌を歌うのはとても楽しい。誰にも気兼ねすることなく過ごせるこの時間はとても貴重だ。
食事の時間がきて、私は上機嫌でやっとピアノの席を立ったのだった。
◆
(フレデリック目線)
私はフレデリック・シャープ。子爵家の三男として生まれ、幼い頃から騎士を志していた。
念願叶い今はリフレイン公爵率いる第一騎士団に在席している。訓練は厳しいものだが有意義な日々を送っていた。
そんなある日、リフレイン団長に呼び出しを受けた。
何かしてしまっただろうか、と緊張しているとご令嬢の専属護衛をしてほしいという依頼だった。
できれば常に視界に入れて危険がないよう用心してほしいとのことだった。
貴族の護衛であれば、室内にいる場合はその扉の外に待機して備えているのが普通なのだが、そうではなく室内で備えよとの事だった。
仮にも男であるのに未婚の令嬢の部屋に入るのはいかがなものだろうか。そんな疑問を投げかけると、私以外に適任がいないとの事だった。
どういう意味なのだろう?
それよりも私は団長直々にこの依頼がきたことに歓喜していた。
リフレイン家のご令嬢といえば社交界には全く姿を見せず、幻の令嬢と言われている。唯一公式の場に姿を見せるのは母君の式典のみ。そこで弾くピアノが感動的とかなんとか。私はピアノにはあまり詳しくないのでその辺はよくわからない。
あとは最近巷で流行っているハンドクリームとやらの考案者らしい、ということだけだ。
初めてエリナリーゼ様にお会いした時は、その美しさに衝撃を受けた。美しさの中にも可愛らしさが残る顔に、小さく華奢な身体は庇護欲をそそられる、それでいて芯の強そうな凛とした雰囲気を持ったご令嬢だった。今まで会った女性の中で間違いなく一番美しかった。
護衛の室内待機については驚かれていたようだったが、受け入れてもらえたようだ。
リフレイン団長はエリナリーゼ様を溺愛しており、エリナリーゼ様もリフレイン団長のことをとても慕っておられる様子。
エリナリーゼ様の部屋は強力な防御結界が張ってあり、部屋の中はひんやりしていてこの夏の暑さを全く感じさせない程快適だった。
魔道具か何かで調節しているのだろうか。高そうだなと考えつつも、この快適な空間にいられてほっとしていた。
護衛初日、エリナリーゼ様はずっと机に向かって勉強をされていた。机には空になったコップが置いてある。
メイドに追加を貰った方がいいのだろうか?
そんなことを思っていると、徐ろにそのコップに水をいれて氷を作り、何事もなかったかのように口に運んでいる。
…え?ちょっと待て。何が起きた?
どういう事だ??魔法か?魔法なのか?しかし魔法をこのように使うのか?
何が起きたのか知りたくて、エリナリーゼ様を鑑定してみる。……がなんと私の鑑定魔法が弾かれたではないか。
…弾かれた?どういうことだ?私は軽く混乱してしまった。
エリナリーゼ様は真剣な表情で勉強をしている。まるで魔法など使っていないかのように。
その日が終了すると私はごっそり魔力が減っていることに気が付いた。
おそらくあの結界の中にいたからだろう。それほど強力な結界だった。一体誰があの結界を張ったのだろう。
護衛二日目、王宮筆頭魔術師のシド様がお見えになった。まさかシド様が魔法の先生だったとは驚きだ。
近づき難い雰囲気の魔術師であるシド様と、なんとも楽しそうに話しているではないか。シド様の笑顔とか初めて見たぞ。
そのシド様とちょっと練習に行ってくるから、といきなり目の前から消えた時は何事かと思った。気配まで消えたので本当に焦った。
まさか転移するなどとは思うはずがないだろう。あの時は本当に冷や汗をかいた。
何食わぬ顔で戻ってきたエリナリーゼ様は少しスッキリした顔をしている。どんな練習をしていたのだろう、とても気になる。
とりあえず、今後は先に言ってもらうようにしなくては。
この後はどうやら部屋にずっとおられるようだ。
それにしてもずっと机に向かっているが、辛くはないのだろうか。私はこんなに長時間勉強することなどなかったので、純粋に尊敬する。
今日も勉強しながら魔法で水と氷を作っている。魔法を使う者からしたらこれは普通のことなのだろうか?
そして今日も私は魔力をごっそり持っていかれてしまった。
そうか、この防御結界も、私の鑑定魔法が弾かれたのも、きっとシド様の魔法なのだな。
護衛三日目、今日のエリナリーゼ様は朝からずっとピアノに向かっておられる。とはいっても遮音結界を張っているので、私に音は聞こえない。
遮音結界はエリナリーゼ様が張られたのか?
ピアノを弾きながら何かを書いているようだ。
エリナリーゼ様の集中力は驚嘆に値する。気がつけばもう昼の時間。メイドが軽食を持ってきて初めて時間に気がついたようだ。
既に5時間くらいピアノに向っている。何を書いているのか気になる。どんな曲を弾いているのだろう。時折激しく鍵盤を叩いている様子だけは分かった。気になる。とても気になる。どうにかして遮音結界の中に入れないだろうか。
私は上手く誘導してなんとか遮音結界の中に入る許可を得ることができた。
邪魔をしないように、窓の外を伺いながら自然に遮音結界の中へ入る。
聞こえてきたのは、流れるような滑らかな心地良い演奏だった。初めて聞く曲だ。
先程から同じメロディをいろいろなアレンジで弾いているようだ。ノートに書いているのは楽譜だろうか?
遮音結界の中に入った私にも気がついていないようだった。邪魔をしては申し訳ないと思い、隠密を使っているのだ。
暫くそうしていると、できた!と嬉しそうな声が聞こえ演奏が始まった。
護衛という仕事も忘れて聞き入ってしまった。
素人の私でも素晴らしい演奏だという事がわかる。
私はもしかしたらとてつもなく貴重な瞬間に立ち会ったのではないだろうか。
感動で身体が震えた。
それ以外にもエリナリーゼ様は聞いたことのない曲をいくつか弾きながら歌を歌われていた。とても楽しそうだ。私の頬も思わず緩む。
いかん、私には護衛という仕事があるというのに。すぐに気を引き締める。
エリナリーゼ様の護衛は油断していると顔が緩んでしまうので、いつも意識して気を張っていなければいけない。
前線とは違う意味で大変な仕事だ。
そして私はその日、魔力切れを起こしてしまった。
時刻は朝の7時前。
夏休みである。
…うん、やることがない。
いや、実際にはやることはあるのだが、今日はなんだか勉強する気が出ない。
シドとの授業もないし、事業の打ち合わせもなければ、ハーブも作り尽くしてしまった。
お父様達は騎士団へ行っていて不在。
何も予定のない休日など久しぶりだ。
よし、今日は採譜をしようかな。時間のある時に、前世で好きだった曲を採譜をしているのだ。
その時によってアレンジが違うのも悪くないけど、ちゃんと楽譜として残しておきたいと思い、始めたことだ。
遮音結界を張り、ピアノを弾き始める。
前世の記憶にこの世界のピアノアレンジを入れたりして、一番良いと思った演奏を譜面に起こしていく。
地味な作業だけど、イメージが具現化するのは達成感があるしとても楽しい。
やっぱり遮音結界を張ると自由に弾けるし、誰にも聞こえないから間違えても恥ずかしくない。
練習する時は結界を張るに限るわね。
「…様、お嬢様。」
気がつくとマリーが軽食を持って来ていた。
え?もうそんな時間?
時計を見ると確かに12時が過ぎている。
我ながらすごい集中力ね。
サンドイッチを食べながらマリーと話していると、フレディが険しい顔をしているのが目に入った。だから怖いんだってば…
「エリナリーゼ様、遮音結界の中に入っても宜しいでしょうか?」
「フレディ。ただ練習しているだけだから危険はないわ。部屋の中なら遮音結界の外でも大丈夫でしょう?」
「しかし、いつ危険があるかもしれませんし」
どうやらフレディはこの中に入りたいらしい。
「大丈夫よ。何かあったらあなたが守ってくれるのでしょう?」
「これだけの結界が重なっているということは、ここが大切な場所であると言っているようなもの。手練の者ならば迷わずここを襲うでしょう。」
まぁそれは私も思っていたわ。対策しているから大丈夫だとは思うけど。
ちなみに私が座っているピアノの席からはバルコニーが見え、そこから侵入されたところで私なら対応できる……はず。そもそも侵入することさえできないと思うけどね。
「結界の中に入る許可をいただけますね?」
フレディは引く気はないらしい。
フレディは私にも音楽にもあまり興味がなさそうだ。単純に護衛のためだろう、と思い許可をすることにした。
過保護か!
まぁ、結界に入ったところで私の視界に入らなければそのうち忘れる。フレディなら気配を消してくれるだろうし。
気にしないことにして、またピアノを再開した。
というかこのフレディってば、本当に魔力量は大丈夫なの?こっちが不安になってしまうわ。
「できたわ!」
我ながら壮大なバラードに仕上がったと思う。
柔らかく切ない序章からはじまり、サビは力強く。2メロはアレンジを加え華やかにして、2サビはより力強く。2回目のサビはダイナミックなアレンジにした。弾きごたえのある一曲に仕上がった。
楽譜を書き終え、納得いく演奏ができた頃にはもう夕方になっていた。
今日はピアノの気分なので、食事の時間までいろんな曲で弾き語りをして遊ぶことにした。
この世界でピアノを頑張ったお蔭で、耳コピのスキルがついたように思う。前世の曲がどんどん思い出されてくる。歌を歌うのはとても楽しい。誰にも気兼ねすることなく過ごせるこの時間はとても貴重だ。
食事の時間がきて、私は上機嫌でやっとピアノの席を立ったのだった。
◆
(フレデリック目線)
私はフレデリック・シャープ。子爵家の三男として生まれ、幼い頃から騎士を志していた。
念願叶い今はリフレイン公爵率いる第一騎士団に在席している。訓練は厳しいものだが有意義な日々を送っていた。
そんなある日、リフレイン団長に呼び出しを受けた。
何かしてしまっただろうか、と緊張しているとご令嬢の専属護衛をしてほしいという依頼だった。
できれば常に視界に入れて危険がないよう用心してほしいとのことだった。
貴族の護衛であれば、室内にいる場合はその扉の外に待機して備えているのが普通なのだが、そうではなく室内で備えよとの事だった。
仮にも男であるのに未婚の令嬢の部屋に入るのはいかがなものだろうか。そんな疑問を投げかけると、私以外に適任がいないとの事だった。
どういう意味なのだろう?
それよりも私は団長直々にこの依頼がきたことに歓喜していた。
リフレイン家のご令嬢といえば社交界には全く姿を見せず、幻の令嬢と言われている。唯一公式の場に姿を見せるのは母君の式典のみ。そこで弾くピアノが感動的とかなんとか。私はピアノにはあまり詳しくないのでその辺はよくわからない。
あとは最近巷で流行っているハンドクリームとやらの考案者らしい、ということだけだ。
初めてエリナリーゼ様にお会いした時は、その美しさに衝撃を受けた。美しさの中にも可愛らしさが残る顔に、小さく華奢な身体は庇護欲をそそられる、それでいて芯の強そうな凛とした雰囲気を持ったご令嬢だった。今まで会った女性の中で間違いなく一番美しかった。
護衛の室内待機については驚かれていたようだったが、受け入れてもらえたようだ。
リフレイン団長はエリナリーゼ様を溺愛しており、エリナリーゼ様もリフレイン団長のことをとても慕っておられる様子。
エリナリーゼ様の部屋は強力な防御結界が張ってあり、部屋の中はひんやりしていてこの夏の暑さを全く感じさせない程快適だった。
魔道具か何かで調節しているのだろうか。高そうだなと考えつつも、この快適な空間にいられてほっとしていた。
護衛初日、エリナリーゼ様はずっと机に向かって勉強をされていた。机には空になったコップが置いてある。
メイドに追加を貰った方がいいのだろうか?
そんなことを思っていると、徐ろにそのコップに水をいれて氷を作り、何事もなかったかのように口に運んでいる。
…え?ちょっと待て。何が起きた?
どういう事だ??魔法か?魔法なのか?しかし魔法をこのように使うのか?
何が起きたのか知りたくて、エリナリーゼ様を鑑定してみる。……がなんと私の鑑定魔法が弾かれたではないか。
…弾かれた?どういうことだ?私は軽く混乱してしまった。
エリナリーゼ様は真剣な表情で勉強をしている。まるで魔法など使っていないかのように。
その日が終了すると私はごっそり魔力が減っていることに気が付いた。
おそらくあの結界の中にいたからだろう。それほど強力な結界だった。一体誰があの結界を張ったのだろう。
護衛二日目、王宮筆頭魔術師のシド様がお見えになった。まさかシド様が魔法の先生だったとは驚きだ。
近づき難い雰囲気の魔術師であるシド様と、なんとも楽しそうに話しているではないか。シド様の笑顔とか初めて見たぞ。
そのシド様とちょっと練習に行ってくるから、といきなり目の前から消えた時は何事かと思った。気配まで消えたので本当に焦った。
まさか転移するなどとは思うはずがないだろう。あの時は本当に冷や汗をかいた。
何食わぬ顔で戻ってきたエリナリーゼ様は少しスッキリした顔をしている。どんな練習をしていたのだろう、とても気になる。
とりあえず、今後は先に言ってもらうようにしなくては。
この後はどうやら部屋にずっとおられるようだ。
それにしてもずっと机に向かっているが、辛くはないのだろうか。私はこんなに長時間勉強することなどなかったので、純粋に尊敬する。
今日も勉強しながら魔法で水と氷を作っている。魔法を使う者からしたらこれは普通のことなのだろうか?
そして今日も私は魔力をごっそり持っていかれてしまった。
そうか、この防御結界も、私の鑑定魔法が弾かれたのも、きっとシド様の魔法なのだな。
護衛三日目、今日のエリナリーゼ様は朝からずっとピアノに向かっておられる。とはいっても遮音結界を張っているので、私に音は聞こえない。
遮音結界はエリナリーゼ様が張られたのか?
ピアノを弾きながら何かを書いているようだ。
エリナリーゼ様の集中力は驚嘆に値する。気がつけばもう昼の時間。メイドが軽食を持ってきて初めて時間に気がついたようだ。
既に5時間くらいピアノに向っている。何を書いているのか気になる。どんな曲を弾いているのだろう。時折激しく鍵盤を叩いている様子だけは分かった。気になる。とても気になる。どうにかして遮音結界の中に入れないだろうか。
私は上手く誘導してなんとか遮音結界の中に入る許可を得ることができた。
邪魔をしないように、窓の外を伺いながら自然に遮音結界の中へ入る。
聞こえてきたのは、流れるような滑らかな心地良い演奏だった。初めて聞く曲だ。
先程から同じメロディをいろいろなアレンジで弾いているようだ。ノートに書いているのは楽譜だろうか?
遮音結界の中に入った私にも気がついていないようだった。邪魔をしては申し訳ないと思い、隠密を使っているのだ。
暫くそうしていると、できた!と嬉しそうな声が聞こえ演奏が始まった。
護衛という仕事も忘れて聞き入ってしまった。
素人の私でも素晴らしい演奏だという事がわかる。
私はもしかしたらとてつもなく貴重な瞬間に立ち会ったのではないだろうか。
感動で身体が震えた。
それ以外にもエリナリーゼ様は聞いたことのない曲をいくつか弾きながら歌を歌われていた。とても楽しそうだ。私の頬も思わず緩む。
いかん、私には護衛という仕事があるというのに。すぐに気を引き締める。
エリナリーゼ様の護衛は油断していると顔が緩んでしまうので、いつも意識して気を張っていなければいけない。
前線とは違う意味で大変な仕事だ。
そして私はその日、魔力切れを起こしてしまった。
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