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第1章 病院での日々
2.15年後、梅が咲く頃
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何だか懐かしい夢を見ていた。患者のカルテを整理している途中でぼーっとしていたらしい。
彼女と出会って15年後、僕は地元の大学病院で循環器の医師をしている。何人か、中学の時からのつきあいの同僚もいる。
「おーい、ムネ~これから飲みに行かない?」
「何だよタキ、悪いね、僕はこれから夜勤なんだ。」
「え~でも次は絶対付き合ってもらうから!」
「分かったよ、都合がいい日連絡するから。」
「絶対だよ!」
どこのカップルだ、と思わず感じてしまうやりとりについ笑みがこぼれる。
僕に声をかけてきたのは同僚で小児科医の滝江である。中学の時からの親友であり、大学でも就職した現在もこうしてつるんでいる。
独特の愛嬌がある上折り紙等も得意で小児科に通う子供達からタキせんせーと大人気である。少々おせっかいな節があるが根はかなりいいやつである。
タキを見送ってから2時間後、ふと窓の外を覗くと粉雪が舞っていた。ようやく咲いた紅梅が雪で白く覆われていく。
このような日の夜は交通事故が起きやすい。スタッドレスのタイヤを履いていても意外な場所が凍っていてスリップしやすいのだ。
「大嶋先生、急患です。」
「分かった、すぐ行く。」
交通事故だろうか…と思いつつ足早にストレッチャーが運び込まれる現場へ向かう。ストレッチャーに乗せられている顔を見て背筋が凍った。
「…通行人から道で女性が胸を押さえて苦しんでいるとの通報があったそうです。」
「今すぐ検査の準備を!」
彼女と出会って15年後、僕は地元の大学病院で循環器の医師をしている。何人か、中学の時からのつきあいの同僚もいる。
「おーい、ムネ~これから飲みに行かない?」
「何だよタキ、悪いね、僕はこれから夜勤なんだ。」
「え~でも次は絶対付き合ってもらうから!」
「分かったよ、都合がいい日連絡するから。」
「絶対だよ!」
どこのカップルだ、と思わず感じてしまうやりとりについ笑みがこぼれる。
僕に声をかけてきたのは同僚で小児科医の滝江である。中学の時からの親友であり、大学でも就職した現在もこうしてつるんでいる。
独特の愛嬌がある上折り紙等も得意で小児科に通う子供達からタキせんせーと大人気である。少々おせっかいな節があるが根はかなりいいやつである。
タキを見送ってから2時間後、ふと窓の外を覗くと粉雪が舞っていた。ようやく咲いた紅梅が雪で白く覆われていく。
このような日の夜は交通事故が起きやすい。スタッドレスのタイヤを履いていても意外な場所が凍っていてスリップしやすいのだ。
「大嶋先生、急患です。」
「分かった、すぐ行く。」
交通事故だろうか…と思いつつ足早にストレッチャーが運び込まれる現場へ向かう。ストレッチャーに乗せられている顔を見て背筋が凍った。
「…通行人から道で女性が胸を押さえて苦しんでいるとの通報があったそうです。」
「今すぐ検査の準備を!」
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