異世界から飛ばされた元・神、現代日本でスローライフします

第3話 空の旅

「乗りましたね、それでは行きますよ！」

この言葉と同時にタイガは地を蹴った。

タイガは体こそ大きいが、当然ながら生身のタイガの体に手綱のようなものはなく、毛もしがみつくには心許なかった。仕方なく両足でしっかりタイガの胴を挟み、軽く首筋に手を添えた。

この体勢、かなりつらい。新手の体幹トレーニングとして毎日行えばものすごく鍛えられそうだ。

次このようなことがあったら絶対に鞍などを用意しようと固く誓った。

俺がそんなことを思っているうちに、タイガはどんどん上昇して行く。地面を離れて5分もすると俺もだんだん周囲を見る余裕が出てきた。

が、現在飛行機並みの高度のところにいる。人間ならとっくに死んでいるはずなのだが…なぜに呼吸できるんだ？

「なぁタイガ、なんで俺呼吸できてるんだ？普通この高度で何の装備もなかったら死んでるよな？」

「それは…主様は神様でありますから…普通の人間とは違うのでございます。」

何を当たり前のことを、と言わんばかりである。

なるほど、身体面ではチートであるらしい。これがいいことなのかはさておき。

よくよく考えれば狼が空を飛んでいる時点で分かりきったことなのかもしれない。

1人で納得していると目の前に大きな橋が見えた。