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どれほどの時が経っただろうか。一刻程か。いや、部屋の中はもう薄暗い。そんなものではきっと済まないほど時間は進んでいるはず。
「余計なこと考えてんなぁ?」
「ひ…っ、あっ! れおなる、ど、ひゃま…っ!」
ぐちゅ、と奥を捩じ込むようにレオナルドの逞しいモノで貫かれ、喉がひくつく。
リーシャはもう数え切れないほど彼に抱かれ続けてきたせいで、自らの感じる場所は全てさらけ出してしまっている。浅い所も良いが、奥に穿たれる時はレオナルドに余裕が無い時が殆どである。
いつものほんの少し軽薄なような笑みがなく、射抜くような鋭い視線がリーシャの自由を奪う。
「あ、や、そこっ、やぁ……!」
「ここな。ココ突かれるとリーシャ漏らすだろ」
「ひっ!」
トントンとレオナルドの剛直が奥を小突く。感じすぎておかしくなっている所を逃がさないとばかりに追い打ちをかけてくる。
もう既にリーシャは何度達したか分からない。精液は水のように透明なものしか出ないし、自分の中心は力なくプルプルと身体の揺れに合わせて揺れるだけだ。
抱き潰す、と言ったレオナルドは有言実行していた。
「いやぁ、いや……!もぅイキたくないぃ…っ!」
「おら、イケよ。まだトばすなよ?」
「ぁ゛……っっっ!! ~~~っっ! はぁ!はぁ……っ!」
後ろから獣のように貫かれ、リーシャは星屑が頭の中でチカチカした。ビクビクと身体が言うことを聞かないほどひくつき、レオナルドが後ろから支えていなければへたりこんでいただろう。
それでも心は異様なほど満たされた。
レオナルドが自分にこんなに夢中でいてくれる。まだ真昼間なのに、仕事をそっちのけで自分を抱き潰す勢いでがっついている。
いけないことと分かってはいても、背徳感とともに充足感が体の渇きを癒していった。
「れお、なるど、さま…っ、す、き……好きで、ぁん!ぼく、あっ、あっ、んんんぅっ」
好きが食べられてしまうかのように後ろからキスをされた。無理やり後ろを向かされ辛い体勢でも歓喜に全身が震える。
「好きなら俺だけ見てろ。雑音に気を取られンな」
「ぁっ、~~~っっ!!」
どちゅ、と奥を貫かれ、また達した。自分勝手な言い分が心地良くて堪らない。
こんなにもリーシャを欲してくれる、レオナルドに全てを捧げたい。
「……は。糞イライラするな…、リーシャ、まだ付き合え」
「は……ぃ。っ……れお……なるどさま…っ!」
どんなにイラついても手つきは優しい。頬を撫ぜられ、すり、と自らも擦り寄った。
そして月明かりに部屋が照らされた頃、ようやく自分の意識が落ちていくのを感じた。
「んで。リーシャ、なんでお前がここに?」
それは先に聞くことじゃないだろうか、なんて思ったけど口にはしなかった。
事がようやく終わり、ぐちゃぐちゃだったシーツはリーシャが気を失ったように寝ている間に交換されており、レオナルドはリーシャを拭く所までしてくれたようで肌の不快感もなかった。
「レオナルド様の、式典手伝いに呼ばれまして…」
「へぇ? わざわざ?1ヶ月かけてここまで来て?」
「……レイディット様が呼んでくださったので……」
「ふーん?アイツの部下は腐るほど居るのにか?」
「……」
もうこれ以上の適当な言い訳は見つからない。ニヤニヤとしたレオナルドは分かっていて聞いているのだ。腰が怠くて起き上がれず、寝返りも上手く出来ないせいで追求から逃れられない。
シーツで顔を隠してようやくリーシャは観念する。
「レオナルド様が、結婚するって、聞いて……」
「……ああ。アイツか。どうせ姫だろ」
噂話は本人の耳にまで届いていたようだ。
かなり不敬な発言だが気安い関係なのだろうか。不思議に思って聞こうとするが、レオナルドはどさりと隣に横になった。隠していた顔を上げて隣を見ると、いつもの不敵な笑みはなく、優しげで満足気な顔でリーシャの頬を指先で撫でる。
「なるほどな。ま、俺はお前が居るなら別に何でもいいわ」
官能の引き出す触り方ではなく、優しく愛おしげに触れられる。それが泣きたくなるほど嬉しくて堪らない。
どうしようもなく胸が苦しくなる。
「……どうして、こんなに……好きなんでしょうか」
「なんでだろうな。俺も分かんねぇ」
「レオナルド様も?」
「ああ」
互いに分からないのだ。彼が居ないとピースの欠けたパズルのような感覚に陥り、一生完成しない気がする。それはきっと、リーシャだけでなくレオナルドも同じなのかもしれない。
「周囲の言葉にお前がそんなに惑わされるとはな」
「……す、すみません」
「雑音だと思え。俺もお前の育ての親の言葉は九割雑音だと思ってる」
司教様のお言葉を雑音と言い放つ様に、笑ってはいけないのにどうしてか笑ってしまった。けど、上手く笑えない。こんなにも愛されているとどうしてか泣きたくなって、くしゃりと変な顔になってしまった。
「レオナルド様……僕、レオナルド様が居ないと、ダメみたいです」
同じ土地にさえ居れば良いと思っていた。レオナルドが誰を愛そうとも、自分なりの愛を貫くことが出来るならそれで構わないと。
けれどもう、そんなことは思えない。
「お願いです…僕だけのレオナルド様になって下さい」
彼の手がリーシャの頬を優しく包む。嬉しくて仕方なくて、どうしようもないほどの幸福を感じながら自らも頬を擦り寄せた。
「やっと。お前の我儘が聞けたな」
そしてレオナルドは心底愛おしいものを見る目で嬉しそうに微笑んだのだ。
「余計なこと考えてんなぁ?」
「ひ…っ、あっ! れおなる、ど、ひゃま…っ!」
ぐちゅ、と奥を捩じ込むようにレオナルドの逞しいモノで貫かれ、喉がひくつく。
リーシャはもう数え切れないほど彼に抱かれ続けてきたせいで、自らの感じる場所は全てさらけ出してしまっている。浅い所も良いが、奥に穿たれる時はレオナルドに余裕が無い時が殆どである。
いつものほんの少し軽薄なような笑みがなく、射抜くような鋭い視線がリーシャの自由を奪う。
「あ、や、そこっ、やぁ……!」
「ここな。ココ突かれるとリーシャ漏らすだろ」
「ひっ!」
トントンとレオナルドの剛直が奥を小突く。感じすぎておかしくなっている所を逃がさないとばかりに追い打ちをかけてくる。
もう既にリーシャは何度達したか分からない。精液は水のように透明なものしか出ないし、自分の中心は力なくプルプルと身体の揺れに合わせて揺れるだけだ。
抱き潰す、と言ったレオナルドは有言実行していた。
「いやぁ、いや……!もぅイキたくないぃ…っ!」
「おら、イケよ。まだトばすなよ?」
「ぁ゛……っっっ!! ~~~っっ! はぁ!はぁ……っ!」
後ろから獣のように貫かれ、リーシャは星屑が頭の中でチカチカした。ビクビクと身体が言うことを聞かないほどひくつき、レオナルドが後ろから支えていなければへたりこんでいただろう。
それでも心は異様なほど満たされた。
レオナルドが自分にこんなに夢中でいてくれる。まだ真昼間なのに、仕事をそっちのけで自分を抱き潰す勢いでがっついている。
いけないことと分かってはいても、背徳感とともに充足感が体の渇きを癒していった。
「れお、なるど、さま…っ、す、き……好きで、ぁん!ぼく、あっ、あっ、んんんぅっ」
好きが食べられてしまうかのように後ろからキスをされた。無理やり後ろを向かされ辛い体勢でも歓喜に全身が震える。
「好きなら俺だけ見てろ。雑音に気を取られンな」
「ぁっ、~~~っっ!!」
どちゅ、と奥を貫かれ、また達した。自分勝手な言い分が心地良くて堪らない。
こんなにもリーシャを欲してくれる、レオナルドに全てを捧げたい。
「……は。糞イライラするな…、リーシャ、まだ付き合え」
「は……ぃ。っ……れお……なるどさま…っ!」
どんなにイラついても手つきは優しい。頬を撫ぜられ、すり、と自らも擦り寄った。
そして月明かりに部屋が照らされた頃、ようやく自分の意識が落ちていくのを感じた。
「んで。リーシャ、なんでお前がここに?」
それは先に聞くことじゃないだろうか、なんて思ったけど口にはしなかった。
事がようやく終わり、ぐちゃぐちゃだったシーツはリーシャが気を失ったように寝ている間に交換されており、レオナルドはリーシャを拭く所までしてくれたようで肌の不快感もなかった。
「レオナルド様の、式典手伝いに呼ばれまして…」
「へぇ? わざわざ?1ヶ月かけてここまで来て?」
「……レイディット様が呼んでくださったので……」
「ふーん?アイツの部下は腐るほど居るのにか?」
「……」
もうこれ以上の適当な言い訳は見つからない。ニヤニヤとしたレオナルドは分かっていて聞いているのだ。腰が怠くて起き上がれず、寝返りも上手く出来ないせいで追求から逃れられない。
シーツで顔を隠してようやくリーシャは観念する。
「レオナルド様が、結婚するって、聞いて……」
「……ああ。アイツか。どうせ姫だろ」
噂話は本人の耳にまで届いていたようだ。
かなり不敬な発言だが気安い関係なのだろうか。不思議に思って聞こうとするが、レオナルドはどさりと隣に横になった。隠していた顔を上げて隣を見ると、いつもの不敵な笑みはなく、優しげで満足気な顔でリーシャの頬を指先で撫でる。
「なるほどな。ま、俺はお前が居るなら別に何でもいいわ」
官能の引き出す触り方ではなく、優しく愛おしげに触れられる。それが泣きたくなるほど嬉しくて堪らない。
どうしようもなく胸が苦しくなる。
「……どうして、こんなに……好きなんでしょうか」
「なんでだろうな。俺も分かんねぇ」
「レオナルド様も?」
「ああ」
互いに分からないのだ。彼が居ないとピースの欠けたパズルのような感覚に陥り、一生完成しない気がする。それはきっと、リーシャだけでなくレオナルドも同じなのかもしれない。
「周囲の言葉にお前がそんなに惑わされるとはな」
「……す、すみません」
「雑音だと思え。俺もお前の育ての親の言葉は九割雑音だと思ってる」
司教様のお言葉を雑音と言い放つ様に、笑ってはいけないのにどうしてか笑ってしまった。けど、上手く笑えない。こんなにも愛されているとどうしてか泣きたくなって、くしゃりと変な顔になってしまった。
「レオナルド様……僕、レオナルド様が居ないと、ダメみたいです」
同じ土地にさえ居れば良いと思っていた。レオナルドが誰を愛そうとも、自分なりの愛を貫くことが出来るならそれで構わないと。
けれどもう、そんなことは思えない。
「お願いです…僕だけのレオナルド様になって下さい」
彼の手がリーシャの頬を優しく包む。嬉しくて仕方なくて、どうしようもないほどの幸福を感じながら自らも頬を擦り寄せた。
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そしてレオナルドは心底愛おしいものを見る目で嬉しそうに微笑んだのだ。
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