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全て side イヴ
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イヴ=スタームは、今日ようやくグランティーノ家へ戻った。
あの談話室での出来事から、約半年後のことだった。
カシミールはすぐに帰ってきてほしそうにしていたが、そんなことをすればサシャとコリンが呪ってくるに違いないと思った。
サシャとコリンに謝り倒し、渋々2人とも……いや最後まで納得して貰えないまま無理やり引き継いだ。
サシャには「イヴの恋人を恨んでやる……元気でね」と言われた。見送りの言葉が病んでいた。
アーヴィンには感謝を述べた。どうやら、アーヴィンの親友がカシミールの友人に情報を流してくれたおかげで、カシミールはここにイヴがいると分かったらしい。
辺境に来てから最初から最後までお世話になってしまった。
シルヴァには全てを話した。
シルヴァは「……残念ですが、元気になって良かったです。本当に好きでしたよ」と微笑まれた。
悪夢を見なくなるお守り袋を、これからも大切にしようと決めた。
魔法師団の研究棟のみんなには、イヴに行って欲しくないと泣きながら言われた。あの屍達の骨は、一体誰が今後拾ってくれるのか。
辺境からグランティーノ家へ戻ると、その日のうちにカシミールに連れ出され、婚姻の申し込みをさせられ、陛下との面会となった。
早すぎる展開と緊張で目が回りそうだった。
その足で、今度は兄のレイリーの所へ連れていかれた。
レイリーには「おかえり、イヴ。そこに正座しなさい」と、小一時間説教をされた。
父に従って嘘をついたこと、カシミールを傷つけたこと、連絡もなしに辺境へ行ったこと、王都の経理部に退職の手続きもせずに無断欠勤したこと。
足が痺れてしばらく立てなくなった。
こんなに怒られたのは初めての事だったので、最初は怖かったが、「……やっと家から出られて、本当に良かった」と最後は抱きしめてくれた。
そして、次の日にはカフェに連れていかれた。
そこに居たのはカシミールの友人、クラークとクラークの恋人、エメだった。
そして唐突に、エメはカシミールに謝罪した。何事かと思ったら、エメはカシミールに散々怒鳴って説教をしたらしい。イヴよりも小さい身体のどこにそんなパワーがあるのか不思議だった。
カシミールはその後すぐにエメに礼を述べた。クラークはその様子をニコニコと見ており、和やかな雰囲気になっていった。
「本当、良かったよ…! どうなる事かと思ったんだ! 」
「エメずっとハラハラしてたね」
「ハラハラもするよ、クラーク!だってイヴがどこにもいないって……!」
どうやらエメは、最悪の想像をしていたようだった。カシミールもそれに1番脅えていたようだった。
するとクラークは思い出したように話し出した。
「辺境に行ってたってことは、サシャに会った?」
「一緒に働いてました。……最近は忙しすぎて病んでるみたいです。最後に、カシミールさんを恨んでやるって言ってました」
「へ、へぇー……」
「なぜ…?俺は関わってないが」
「『経理に明るい人を取り上げるなんて、一生恨む』って……」
するとエメがケラケラと笑いだした。
「辺境区域なんて事務員もほとんど居ないだろーしな、カシミールさんは恨まれても文句言えねぇって」
「遠征で辺境に行くのが怖いんだが」
「そういえば近く、辺境での訓練がなかった? カシムは菓子折り持って行った方が良いかもね」
「……そうする」
それから色んな話で盛り上がって、解散した。
昨日はバタバタで、忙しくていつの間にか眠ってしまったが、今日ようやく結婚してから初夜となる。
イヴは、女も男も経験がある。けれど、カシミールは女しか経験がない。
ならばイヴが一人で準備した方がいいだろうと思い、シャワーへ入ると、何故かカシミールも入ってくる。「最初だから全部見たい」と言ってきた。本気で抵抗したが、文官の腕力では騎士に勝つことは出来なかった。
そして、イヴは自分でやろうとしたのに、いつの間にかカシミールがイヴの準備をしていた。見るだけだったはずなのに、おかしい。
そしてそのまま雪崩込むのは当たり前の事だった。カシミールが興奮しないかもしれないという懸念は最初だけだった。
カシミールのありえないほどの体力と、復活力、男が初めてとは思えない手管にイヴは翻弄され、最後には「無理無理無理、もう死んじゃうぅう!」と泣き叫んだ気がする。よく覚えていない。
そして、朝になって気だるい身体にムチを打って起こし、夫となったカシミールの寝姿を見た。
頭痛を感じさせない、穏やかな寝顔にイヴは自然と微笑む。
嘘をついた。
この人を傷つけたくなくて、本当のことを言い出せなかった。
最後まで嘘をついて逃げ出した。
それでも、この人はイヴを探し出し、許してくれた。
全てを失ったイヴに、全てを与えてくれた。
家も、居場所も、そして
「……起きたのか」
「はい。頭は痛くないですか?」
目を覚ましたカシミールに声をかければ、カシミールはフ、と笑う。
「……君なら、見ただけで分かるだろう?」
「ふふ、私のおかげですか?」
「そうだ。恋人効果とエメが言っていた」
「もう恋人じゃないですよ?」
「そうか、それなら夫婦効果か」
そして、愛しい人を与えてくれた。
「カシムさん、好きです。あなたを愛しています。……もう嘘じゃないです」
「ああ、俺も愛している。嘘はもうつかない」
これは───
浮薄だった文官が嘘をついて、全てを手に入れた物語。
あの談話室での出来事から、約半年後のことだった。
カシミールはすぐに帰ってきてほしそうにしていたが、そんなことをすればサシャとコリンが呪ってくるに違いないと思った。
サシャとコリンに謝り倒し、渋々2人とも……いや最後まで納得して貰えないまま無理やり引き継いだ。
サシャには「イヴの恋人を恨んでやる……元気でね」と言われた。見送りの言葉が病んでいた。
アーヴィンには感謝を述べた。どうやら、アーヴィンの親友がカシミールの友人に情報を流してくれたおかげで、カシミールはここにイヴがいると分かったらしい。
辺境に来てから最初から最後までお世話になってしまった。
シルヴァには全てを話した。
シルヴァは「……残念ですが、元気になって良かったです。本当に好きでしたよ」と微笑まれた。
悪夢を見なくなるお守り袋を、これからも大切にしようと決めた。
魔法師団の研究棟のみんなには、イヴに行って欲しくないと泣きながら言われた。あの屍達の骨は、一体誰が今後拾ってくれるのか。
辺境からグランティーノ家へ戻ると、その日のうちにカシミールに連れ出され、婚姻の申し込みをさせられ、陛下との面会となった。
早すぎる展開と緊張で目が回りそうだった。
その足で、今度は兄のレイリーの所へ連れていかれた。
レイリーには「おかえり、イヴ。そこに正座しなさい」と、小一時間説教をされた。
父に従って嘘をついたこと、カシミールを傷つけたこと、連絡もなしに辺境へ行ったこと、王都の経理部に退職の手続きもせずに無断欠勤したこと。
足が痺れてしばらく立てなくなった。
こんなに怒られたのは初めての事だったので、最初は怖かったが、「……やっと家から出られて、本当に良かった」と最後は抱きしめてくれた。
そして、次の日にはカフェに連れていかれた。
そこに居たのはカシミールの友人、クラークとクラークの恋人、エメだった。
そして唐突に、エメはカシミールに謝罪した。何事かと思ったら、エメはカシミールに散々怒鳴って説教をしたらしい。イヴよりも小さい身体のどこにそんなパワーがあるのか不思議だった。
カシミールはその後すぐにエメに礼を述べた。クラークはその様子をニコニコと見ており、和やかな雰囲気になっていった。
「本当、良かったよ…! どうなる事かと思ったんだ! 」
「エメずっとハラハラしてたね」
「ハラハラもするよ、クラーク!だってイヴがどこにもいないって……!」
どうやらエメは、最悪の想像をしていたようだった。カシミールもそれに1番脅えていたようだった。
するとクラークは思い出したように話し出した。
「辺境に行ってたってことは、サシャに会った?」
「一緒に働いてました。……最近は忙しすぎて病んでるみたいです。最後に、カシミールさんを恨んでやるって言ってました」
「へ、へぇー……」
「なぜ…?俺は関わってないが」
「『経理に明るい人を取り上げるなんて、一生恨む』って……」
するとエメがケラケラと笑いだした。
「辺境区域なんて事務員もほとんど居ないだろーしな、カシミールさんは恨まれても文句言えねぇって」
「遠征で辺境に行くのが怖いんだが」
「そういえば近く、辺境での訓練がなかった? カシムは菓子折り持って行った方が良いかもね」
「……そうする」
それから色んな話で盛り上がって、解散した。
昨日はバタバタで、忙しくていつの間にか眠ってしまったが、今日ようやく結婚してから初夜となる。
イヴは、女も男も経験がある。けれど、カシミールは女しか経験がない。
ならばイヴが一人で準備した方がいいだろうと思い、シャワーへ入ると、何故かカシミールも入ってくる。「最初だから全部見たい」と言ってきた。本気で抵抗したが、文官の腕力では騎士に勝つことは出来なかった。
そして、イヴは自分でやろうとしたのに、いつの間にかカシミールがイヴの準備をしていた。見るだけだったはずなのに、おかしい。
そしてそのまま雪崩込むのは当たり前の事だった。カシミールが興奮しないかもしれないという懸念は最初だけだった。
カシミールのありえないほどの体力と、復活力、男が初めてとは思えない手管にイヴは翻弄され、最後には「無理無理無理、もう死んじゃうぅう!」と泣き叫んだ気がする。よく覚えていない。
そして、朝になって気だるい身体にムチを打って起こし、夫となったカシミールの寝姿を見た。
頭痛を感じさせない、穏やかな寝顔にイヴは自然と微笑む。
嘘をついた。
この人を傷つけたくなくて、本当のことを言い出せなかった。
最後まで嘘をついて逃げ出した。
それでも、この人はイヴを探し出し、許してくれた。
全てを失ったイヴに、全てを与えてくれた。
家も、居場所も、そして
「……起きたのか」
「はい。頭は痛くないですか?」
目を覚ましたカシミールに声をかければ、カシミールはフ、と笑う。
「……君なら、見ただけで分かるだろう?」
「ふふ、私のおかげですか?」
「そうだ。恋人効果とエメが言っていた」
「もう恋人じゃないですよ?」
「そうか、それなら夫婦効果か」
そして、愛しい人を与えてくれた。
「カシムさん、好きです。あなたを愛しています。……もう嘘じゃないです」
「ああ、俺も愛している。嘘はもうつかない」
これは───
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