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番外編
代用 side シルヴァ
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シルヴァ=コールフィールドは、どうしてこうなったか状況を整理する必要があった。
シルヴァは辺境区域の魔法師団団長であり、基本的には研究棟に篭っていることが多い。
討伐の時は駆り出されることもしばしばあるが、最近は部下だけで済むことが多く、専ら研究か事務仕事に追われていることが多い。
辺境区域は左遷やワケありの人物が多い。しかしシルヴァの場合はただ単にここの人員が足りてないということで配属になった。
騎士団のエドガー団長も同様の理由で辺境区域の配属となっている。
足りてない理由は、そもそも辺境区域に来たいという好き者がいないからだ。
魔法師団団長として配属されてから早5年、そこそこ真面目に仕事をこなしてきたと自負している。
多少働きすぎて屍と化すこともあるが、概ね仕事に生きがいも感じている。
だからこそ、辺境区域で働くことに文句はない。王都での勢力争いのようなものに巻き込まれることもなければ、魔獣の討伐も、そこまで殺伐とした雰囲気でもない。
そこそこ平和な環境なのだ。
しかし、この状況はシルヴァにとって、如何ともし難い状況であった。
「なにー? また溜息ついて。 もういい加減慣れなって」
溜息をついたシルヴァに向かって軽口を聞いてくる目の前の男は、ベッドで全裸でうつ伏せに上半身だけ軽く上げた状態でこちらを見て言った。
せせら笑っているような笑い方に、若干怒りが湧いてきそうだが、この男の言う通りだ。
いい加減慣れるべきだ。
「気持ちよければ、それで良くない?」
もうこの関係になってから、3ヶ月経とうとしていた。
こんないい加減な男と、こんな関係になるとは思っていなかった。
目の前の男は桜色の髪色がふわふわとしていて、青みがかったピンクのモルガナイトの瞳が、実年齢より幼く見せている。
顔は女性の雰囲気は少なく、青年を思わせてくるが、やはり小柄な身長や華奢な体つきが彼を幼く見せていた。
こんな爛れた関係になったのは、この男、コリン=イェルリンがシルヴァに提案してきた所から始まる。
『イヴのこと、忘れられないんでしょ? 私の事代わりにしてもいいよ』
コリンは誰が通り掛かるかも分からない廊下で、ニッコリ笑って言い放った。
シルヴァは一瞬で色んな疑問が沸いた。
イヴの事を好きだったことをどうして知っているのか。
忘れられてないことをどうして分かるのか。
代わりというのはイヴの代用ということか。
そもそもこんな真昼間に提案すべき内容ではないのでは。
そして、一番の疑問は
そんな爛れた内容に、了承をした自分自身のことだ。
シルヴァは半年ほど前に、イヴ=スタームに告白をした。
イヴは、ここ辺境に家も居場所も恋人も、全てを失い空っぽになって現れた。
その1ヶ月後から、イヴは悪夢を見るようになり始めた。
イヴが悪夢を見ていた原因は、イヴがついた嘘で恋人を傷つけ、その恋人にイヴが捨てられたことだ。毎日魘されるように飛び起きる事に疲れているようだった。
そして、治癒の力で辺境の人々を癒し始めたのもこの頃だ。
シルヴァは、そんな弱っているイヴの支えになりたいと思った。そして、そんな風に弱っていながらも、人々に尽くす献身的なイヴに惚れたのだ。
イヴはずっと忘れられなかった。
イヴが嘘をついて傷つけた恋人を。
イヴが嘘をついた瞬間を。
イヴが手にした偽りの幸せを。
イヴの嘘が、全て白日の元に晒された瞬間を。
そして、その時の恋人の姿を。
その全てを、シルヴァは忘れさせようとは思わなかった。けれど、時間をかけて薄れさせ、色褪せていければいいと思った。
いつか、シルヴァ自身で塗りつぶしていけばいいと、そう思った。
けれどもイヴの恋人はイヴを追いかけてきた。
そして、一瞬でイヴの心を奪い去っていったのだ。
悔しいと言うよりは、残念という気持ちが大きかった。イヴを幸せに出来るのは、イヴの恋人にしか出来ない。出来ればそれがシルヴァであれば良かったけれど。そうはならなかった。
それは仕方の無いことで、イヴが悪い訳でも、シルヴァが悪い訳でもない。
イヴに思いを告げたのは半年前の出来事。
その3ヶ月後、コリンが爛れた提案をしてきた。
そして今日、イヴは辺境区域を出立して恋人のいる王都へ向かっていったのだった。
シルヴァはイヴが旅立つまでの間、気が気でなかった。
あんな風に告白をしておいて、振られて寂しいからとイヴの上司であるコリンを慰めにしている、などと知られれば軽蔑されるのでは無いかと思った。
しかしコリンは上手く隠し続けた。
情事などおくびにも出さずに仕事をし、週に2、3回コリンから誘ってくる。
誘い文句は簡潔で、非常に分かりやすかった。
『人魚の涙、二十時』
バーで1杯だけ飲んでそのままどちらかの家に雪崩込む。
大体はコリンの家が多かった。
事が終われば、日付が変わる前に家を出る。
シルヴァはこんな関係は宜しくないと分かっていても、コリンによる魔性とも言える気品漂う青みがかったピンクのモルガナイトに見つめられながら、囁かれれば断ることは出来なかった。
まるで、ルサールカの妖精のように男を引きずり込み、溺れさせてくる悪魔のようだった。
そして、彼はまたシルヴァの足を掴むように囁く。
「気持ちよかった、またねぇ」
シルヴァへのリップサービスだとしても、コリンの悪魔の微笑みは、シルヴァの胸を高ぶらせるに充分なものだった。
シルヴァは辺境区域の魔法師団団長であり、基本的には研究棟に篭っていることが多い。
討伐の時は駆り出されることもしばしばあるが、最近は部下だけで済むことが多く、専ら研究か事務仕事に追われていることが多い。
辺境区域は左遷やワケありの人物が多い。しかしシルヴァの場合はただ単にここの人員が足りてないということで配属になった。
騎士団のエドガー団長も同様の理由で辺境区域の配属となっている。
足りてない理由は、そもそも辺境区域に来たいという好き者がいないからだ。
魔法師団団長として配属されてから早5年、そこそこ真面目に仕事をこなしてきたと自負している。
多少働きすぎて屍と化すこともあるが、概ね仕事に生きがいも感じている。
だからこそ、辺境区域で働くことに文句はない。王都での勢力争いのようなものに巻き込まれることもなければ、魔獣の討伐も、そこまで殺伐とした雰囲気でもない。
そこそこ平和な環境なのだ。
しかし、この状況はシルヴァにとって、如何ともし難い状況であった。
「なにー? また溜息ついて。 もういい加減慣れなって」
溜息をついたシルヴァに向かって軽口を聞いてくる目の前の男は、ベッドで全裸でうつ伏せに上半身だけ軽く上げた状態でこちらを見て言った。
せせら笑っているような笑い方に、若干怒りが湧いてきそうだが、この男の言う通りだ。
いい加減慣れるべきだ。
「気持ちよければ、それで良くない?」
もうこの関係になってから、3ヶ月経とうとしていた。
こんないい加減な男と、こんな関係になるとは思っていなかった。
目の前の男は桜色の髪色がふわふわとしていて、青みがかったピンクのモルガナイトの瞳が、実年齢より幼く見せている。
顔は女性の雰囲気は少なく、青年を思わせてくるが、やはり小柄な身長や華奢な体つきが彼を幼く見せていた。
こんな爛れた関係になったのは、この男、コリン=イェルリンがシルヴァに提案してきた所から始まる。
『イヴのこと、忘れられないんでしょ? 私の事代わりにしてもいいよ』
コリンは誰が通り掛かるかも分からない廊下で、ニッコリ笑って言い放った。
シルヴァは一瞬で色んな疑問が沸いた。
イヴの事を好きだったことをどうして知っているのか。
忘れられてないことをどうして分かるのか。
代わりというのはイヴの代用ということか。
そもそもこんな真昼間に提案すべき内容ではないのでは。
そして、一番の疑問は
そんな爛れた内容に、了承をした自分自身のことだ。
シルヴァは半年ほど前に、イヴ=スタームに告白をした。
イヴは、ここ辺境に家も居場所も恋人も、全てを失い空っぽになって現れた。
その1ヶ月後から、イヴは悪夢を見るようになり始めた。
イヴが悪夢を見ていた原因は、イヴがついた嘘で恋人を傷つけ、その恋人にイヴが捨てられたことだ。毎日魘されるように飛び起きる事に疲れているようだった。
そして、治癒の力で辺境の人々を癒し始めたのもこの頃だ。
シルヴァは、そんな弱っているイヴの支えになりたいと思った。そして、そんな風に弱っていながらも、人々に尽くす献身的なイヴに惚れたのだ。
イヴはずっと忘れられなかった。
イヴが嘘をついて傷つけた恋人を。
イヴが嘘をついた瞬間を。
イヴが手にした偽りの幸せを。
イヴの嘘が、全て白日の元に晒された瞬間を。
そして、その時の恋人の姿を。
その全てを、シルヴァは忘れさせようとは思わなかった。けれど、時間をかけて薄れさせ、色褪せていければいいと思った。
いつか、シルヴァ自身で塗りつぶしていけばいいと、そう思った。
けれどもイヴの恋人はイヴを追いかけてきた。
そして、一瞬でイヴの心を奪い去っていったのだ。
悔しいと言うよりは、残念という気持ちが大きかった。イヴを幸せに出来るのは、イヴの恋人にしか出来ない。出来ればそれがシルヴァであれば良かったけれど。そうはならなかった。
それは仕方の無いことで、イヴが悪い訳でも、シルヴァが悪い訳でもない。
イヴに思いを告げたのは半年前の出来事。
その3ヶ月後、コリンが爛れた提案をしてきた。
そして今日、イヴは辺境区域を出立して恋人のいる王都へ向かっていったのだった。
シルヴァはイヴが旅立つまでの間、気が気でなかった。
あんな風に告白をしておいて、振られて寂しいからとイヴの上司であるコリンを慰めにしている、などと知られれば軽蔑されるのでは無いかと思った。
しかしコリンは上手く隠し続けた。
情事などおくびにも出さずに仕事をし、週に2、3回コリンから誘ってくる。
誘い文句は簡潔で、非常に分かりやすかった。
『人魚の涙、二十時』
バーで1杯だけ飲んでそのままどちらかの家に雪崩込む。
大体はコリンの家が多かった。
事が終われば、日付が変わる前に家を出る。
シルヴァはこんな関係は宜しくないと分かっていても、コリンによる魔性とも言える気品漂う青みがかったピンクのモルガナイトに見つめられながら、囁かれれば断ることは出来なかった。
まるで、ルサールカの妖精のように男を引きずり込み、溺れさせてくる悪魔のようだった。
そして、彼はまたシルヴァの足を掴むように囁く。
「気持ちよかった、またねぇ」
シルヴァへのリップサービスだとしても、コリンの悪魔の微笑みは、シルヴァの胸を高ぶらせるに充分なものだった。
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