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18、飛んでる虫は叩きます
「蠅が飛んでるらしい。片付ける」
執務室に戻り、本の整理をしていたギルにそう伝えると、意味を理解したのかすぐに「分かりました」と返答が返ってくる。
「とりあえず、ステッドマン家は引越しさせる。蠅共が騒ぎ立てたからもうあの家には居づらいだろう」
「どちらに?」
「庶民街でももっと治安のいい場所はある。空いてなければ、借金でも抱えてるようなやつから追い出して住まわせろ」
ギルは何か言いたげだったが、すぐに了承した。
「蝿の方はどうなさるおつもりで?」
「蠅にあてがったミリセント=モンデロを別れさせる」
「では、ミリセント=モンデロに別の者をあてがうのですね」
「ああ、そうしろ。それで蠅が大人しくならんようなら破棄だ」
女に捨てられたとなれば、死んだところで傷心したと周囲が勝手に想像するため特に違和感はないだろう。
アーサーがわざわざ騒ぎ立てなければそのままミリセントと仲良く暮らせていたものの。
面倒な手間をかけさせてくる。
未だにフロウの中でアーサーが生き続けていることが許せない。
「ではまた後ほど報告します。ああー、本当にフロウ様がこの本性を知っていれば…」
「ギル、お前の命は今この限りか」
この侍従は睨んだところで全く怯まない。
「フロウ様ももうほぼ落ちかけているのでは?」
「おそらく後ひと押しだな。楽しみで仕方ない」
不敵な笑みを浮かべているであろう私を見たギルは「可哀想なフロウ様…」と泣き真似をしていた。
「ではもう押せばいいだけではないですか。殿下が押し倒せば良いのでは」
「初めてはフロウから誘われたい」
あの可愛い可愛いフロウにご褒美を強請られた時、心臓が止まるかと思うくらいには嬉しくて叫び出しそうだった。
あの時のように、抱いて欲しいと言われたら好きかどうかも確かめずにめちゃくちゃにする自信はある。
しかし、それでは意味が無い。
やはりフロウの気持ちが伴った上で抱き合いたい。
ああ、早く自覚して欲しい。
もうほとんど落ちてきている。それはフロウの表情からもよく分かる。
フロウ本人が気づいてくれたら…
「ああ楽しみ。 どうやって抱こうか今から考えておかなくては」
「……ビギナーには優しくしてあげたほうが良いですよ」
「あまり待たせられると抱き潰しそうだ」
「フロウ様逃げて」
うるさいギルは放っておき、私はフロウのオネダリシーンを思い出すことに精を出すことに決めた。
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