僕の伴侶は最古の竜

ライ

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学園偏

やっと、入学式

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彼女との空の散歩を楽しみながら、いろんなところで野宿をしてはや、数日。
彼女との空の散歩はとても楽しく時間を忘れるほどだったが、入学式前日になって思い出した。
そう言えばこの国の学園に通うのだった。
つい彼女との幸せなひと時を満喫していて、すっかり忘れていた。
僕と彼女は急いで、クィートの首都アルストに向かった。
僕が学園の敷地の前に着くと、待っていたのか、ガルサーがいた。
ガルサーも僕を見つけたようでこちらを向いて、
「おい、遅いぞどこほっつき歩いてた?こっちはお前がいないから少し心配したんだぞ」
と言ってきた。
僕も少しは反省している、彼女といるのが楽しくて、忘れていたのは全面的に僕が悪い。
だから少し申し訳ない気持ちで謝った。
「ごめんなさい、入学式があるのを忘れてて」
僕の言葉にガルサーは仕方なさそうな顔になりながら、
「まあ反省もしているようだし、もう気にしないからとりあえず用意しろ」
と言って僕の手を引きながら、敷地の中に入っていった。
僕は、何も言わずに引かれていった。
連れてこられたのは、同じ服がたくさん置いてあるせいで、すごく狭く感じる個室だった。
その個室に連れてきたガルサーは、
「お前の身体に合うサイズの制服がわからなかったからとりあえず近そうなのを用意してもらった、この中から探して、着て来い、俺は外で待ってる」
と言って部屋から出て行った。
僕は途方に暮れた、この山のようにある中から探せって4歳児にはきつくないか?と
しかしずっと突っ立ているのもいけないし、早く見つけよう。
と服と格闘すること数分、やっと合うっぽい制服を見つけ、着てみた。
デザインはよくわからないが、黒に近い赤い色に、竜の爪を模した刺繍が肩にあった。
僕は、着替えがやっと、終わったので外に出た。
出た瞬間ガルサーが口笛を吹いてきた。
「へえーなかなか似合うじゃないか、その肩の爪模様は自分の竜の種類で決まるんだが今は即席だから赤の上から白なのはしかたないか、まあ入学式だけの辛抱だな、入学式が終わればお前専用の制服を仕立てるから、本当は入学式前に仕立てる予定だったのに、お前がいなかったからな自業自得だな」
とにやけながら僕に言ってきた。
そうかこれは急場しのぎなのか。
まあ別に見た目に関しては、僕はあまり興味がないから、どちらでもいいけど。
僕の心情を読み取ったのかガルサーが、
「おいおい少しは気にしろよ、お前がかっこ悪いとお前の竜まで悪く言われるかもしれないぜ」
前言撤回、仕立ての時は、真剣に取り組もう。
僕の顔を見てガルサーは、また笑いながら、
「お前、自分の竜のことはすげー気にするんだな、今時いないぜそこまで気にする奴」
と言い、僕に向かって不思議なものを、見る目を送って来た。
「ほかの人がどうかは知りませんが、僕にとって彼女は世界一大切な存在ですから」
僕は恥ずかしがることもなく当然のようにガルサーに言った。
僕の言葉に今度は変なものを見る目になって、
「まあ人それぞれだし良いんじゃねえの、お前はお前のままで」
と言って僕の頭をなでてきた。
僕は払いのけたい気持ちを抑えて、
「ありがとうございます」
と礼を言っておいた。
僕らが入学式の会場に着いたのは、開始される直前だった。
さすがの僕も少しだけ焦ってしまった。
列に並んだら前と後ろと横の人間になんでいるんだというまなざしをもらった。
僕は見えない感じないと、自分に暗示をかけた。
僕が並び終えて、すぐに入学式の開始が告げられた。
入学式は校長と、高等級の主任であるカランの、くだらない上に長い話が続いた。
僕が若干うんざりしていると、やっと話が終わりすぐに入学式も終わった。
僕は思った。
入学式と言っても校長とカランのくだらない話だけ聞いて終わりなら出なければよかったと。
そして波乱に満ちた僕の学園生活の幕が開いた。
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