灰は何色に変わるか

ライ

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出会い

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人間は嫌いだ。
自分勝手で欲望にすぐ染まり、自分よりも大事なものができても、結局は我が身可愛さに自分を優先する、そんな醜いものたちが。



「ひぃ!黒猫だ!こっちへくるな!」
農作物を売りに行った帰りと思われる農夫は、カーシェーン王国では不吉とされている黒い猫を見た瞬間、目を吊り上げ足元に転がる石ころを猫目掛けて投げつけながら、そう叫ぶ。
農夫が投げる石ころの一つが足に当たってしまった猫は、血が滲む足を引きづりながら農夫から逃げて行った。

【もう、目が霞んでしまう。なぜ、私はこんな仕打ちを受けなければならない。父よ母よ、あなたたちは人間を信じろというが、このような真似をする人間の何処に信頼する価値があるのです?私にはわからない、何故あなたたちは人間なぞ信じられたの……か】
足に傷を負い、体力も底をつき動くことも叶わなくなった黒い猫は、魔を呼ぶ森と言われる魔物が跋扈する危険な森で、倒れながらそう呟く。
痛みの疲労により、意識を手放しかけたその時。
くしゃ、くしゃと森の草花を踏む音が聞こえてくる。
黒い猫は動かない身体を捩り、音のするほうを警戒する。
「あ~ひどい目にあった。ここは魔物の巣窟だなぁ」
まるで欠伸でも出そうなほどだるそうな言葉を吐きながら、その声の持ち主は黒い猫が倒れているほうにどんどん近づいてくる。
黒い猫は、こちらに気づいた様子が伺えないその声の持ち主を黙って遣り過ごそうとする。
しかし、声の持ち主は迷うことなく、黒い猫のところに歩いてくる。
その様子は黒い猫がいるとわかっているかのように。
そしてついに、黒い猫にもその声の持ち主の姿が見えてきた。
その声の持ち主は、声に似合った若い男性で、灰色の髪に空を切り取ったかのように蒼い瞳が印象的な、口調と同じだるそうな気配を漂わせる男だった。
黒い猫が気づいたように、男も黒い猫を視認し、こう言う。
「お!やっぱりいたな猫。ん?お前ケガしてるな。俺が手当てしてやる」


これが後に、黒い猫に幸せを与えてくれる者との出会いであった。


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