灰は何色に変わるか

ライ

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裏の住人

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俺はキリル。
スパイから暗殺までなんでもこなす裏の住人で、出自がわからない孤児だ。
それなりに危ない仕事も受けた。
だが、これはどうすべきか。
「キリル、お前名指しで依頼だ」
俺たち裏の連中が依頼を受けられる酒場で、マスターから俺は一枚の紙を受け取った。 
その依頼の内容は、カーシェーン王国の末王子である別名ダメ王子の暗殺だ。
いくら危ない仕事をそれなりに受けた俺でも、躊躇する依頼だ。
末王子はダメ王子と言われるほど無能だとされている。
そしてその王子は、王位争いにも参加していないからか、あまり重要視されていないが、流石に腐っても王族を暗殺するなんて、失敗したら良くて処刑、悪くて永久拷問や人体実験の被験者などが関の山だ。
俺に果たしてできるか。
「キリル、この依頼は王族に次ぐお方からのものだから、断る選択肢はないも同然だぜ」
「まじかよ」
俺の迷いを断ち切る一言をマスターから言われ、仕方なく受けることになった。
(拒否すれば、情報を知ってしまった俺は口封じに殺される可能性があったから)
そうして、末王子の暗殺を遂行するための準備を整え、俺は王子の行動範囲を見張り機会を伺った。
どうやら王子は視察の名目で街に出ては、見張りの兵士をまき、好き勝手しているようだ。
しかし、兵士をまけるということは多少は身体能力が高いと思われる。
様子を観察していると、街では偽名を使い変装をして民に紛れていた。
そして何か違和感を感じる。
「アシューくん、うちの果物買っていってよ、まけとくよ」
八百屋の女が末王子に声をかけていた。
「ありがとう、じゃあおすすめのものを5つほどいただこうかな」
「まあ、毎度あり!」
会話を聞くだけなら特に問題なさそうに聞こえるが、末王子の顔は表面上は笑顔だが目が笑っていなかった。
何か、物事を諦めているような、そんな風に見える。
闇の世界で生きてきた俺にはそう、見えてしまった。
観察していく内に、末王子は魔物が跋扈する森魔を呼ぶ森に入っていった。
放置すればそのまま魔物に食われるかもしれない。
俺がやる必要がなくなりそうだと思ったが、数時間すると何かを抱えながら森から出てきた。
何を抱えているかはわからないが、俺の仕事がなくなることはなかった。

そうして、末王子の観察をして早数日。
暗殺できる機会を伺っているのに、何故か隙を見せない。
絶妙な具合で俺が実行しようとすると邪魔が入る。
その邪魔も偶然で片付けられる類いのもので、いっそ末王子には神の加護でもあるのかと思えるほどになってくる。
そして、何度目になるかわからないほどの暗殺の機会に俺は半ば諦めながらも、実行しようとした。
そしてこの日、俺の人生は変えられてくことになる。
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