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学園編
49話
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「まったく、可愛い妹が編入してきたかと思えば、こんな怪我しちゃって」
そう言いながら、教師は元凶である、水の檻に閉じ込められているフェニクスを睨んだ。
『ふん、我のせいではないだろう?我はそこの餓鬼に喧嘩を売られたから、安く買ったまで。間に入ってきて怪我をしたのはそいつのせいだ』
「確かにお前の言うとおり、怪我をすべきだったのはそこのヴィクトルだが、お前がさっさと帰らないからこうなったんだ。だからお前のせいでもあるだろ」
『だから何だと言うんだ』
「まあ、とりあえず尋問かな?」
「うっ」
教師の腕の中にいる、少女が身動ぎした。
「グレーティ!大丈夫か?」
教師は優しく少女を下に降ろし、語りかけます。
「せんせい?」
焦点の定まらない目をさ迷わせながら、教師の声に答えました。
「ああ、なんとか大丈夫そうだな」
少女はほぼ無意識に、口を開いた。
「紫、皇」
そう言い、少女は力尽きたようにまた意識を失った。
瞬時に、少女の傍ら(教師の傍ら)に金色の髪に紫色の瞳をした、青年が立っていた。
「あっおい」
青年は教師の腕の中に収まっている少女に負担をかけないように、半ば強引に奪いとります。
「まったく、お前という奴は、呼ぶのが遅い」
青年は額に汗をかきながら、少しの苛立ちと呆れを含んだ声で、意識を失っている少女に言いました。
その声音は、青年が少女のことをとても大切にしていると語るような響きだった。
少女に向けられていた柔らかい目が、檻に閉じ込められたフェニクスに移ると、その目は鋭く尖った刃物のような視線に変わった。
「俺の主をずいぶん傷つけてくれたな。なんでこんなところにいるんだ?」
口調はそんなきつくないのに、青年の目はフェニクスを射殺すようだ。
『ふん、我はただここにおもしろいものが来ると言う噂を聞いて、おもしろそうだと思って来ただけだ』
「おもしろいもの?それだけ?」
『恐らく、そやつのことだろう』
フェニクスは檻で窮屈そうな翼を青年の腕の中にいる少女に、向けた。
「なるほど、確かにこいつの魔力量は底が知れないから力自慢の幻獣からすればおもしろいものに映るかもな。しかし、誰がそんな噂を流したのやら」
疑問を口にする青年に、フェニクスは
『我は知らん。噂を聞いただけだからな。それに、我が答えなければならない理由などない。そやつの魔力が尽きればこの檻も解ける。そうなれば、我は帰る。十分楽しんだからな』
青年の呟きに答えながら、ニヤリと口(嘴)の端を上げて上から目線で宣った。閉じ込められているのに偉そうな態度だ。
この言葉に青年は一瞬、きょとんとした顔をした後、豪快に笑いだした。
「くっあはははは。お前、こいつの力を甘くみてるな。魔力供給をこいつが止めれば消えるが、魔力が尽きるまでなら、お前がそこから動けるのは1ヶ月後くらいになるんじゃないかな?」
『なっ!なんだと、そやつの魔力はそれほどまで高いのか?』
フェニクスは青年の言葉に驚きを露にします。
「まあ、そういうことだな。俺も鼻が高いってもんだ」
言葉通り、誇らしげな顔で檻に閉じ込められているフェニクスに言った。
フェニクスが魔法学園に来て、グレーティエに返り討ちにあう頃。
アルシェイドはフェニクスが教室に灼熱の炎で攻撃した、ほんの数瞬後に王宮にある一室に転移させられていた。
転移させたのは、王に一時的に仕えているエルフ族の男、名をナグシェル・アスラールだった。
アルシェイドは自分を転移させた、ナグシェルに鋭い眼差しを寄越していた。
「なんですか?その不服そうな視線は」
ナグシェルはため息をつきながら、アルシェイドの視線の意味を問うた。
アルシェイドはその言葉に深いため息(一桁の年齢の子供がすべきでない)をついてナグシェルの質問に答えた。
「あの状況で俺だけ避難させるなんて何を考えているんだ、お前は。あそこにグレーティエがいなければ、生徒全員が死ぬ可能性もあったのに」
アルシェイドは千里眼の魔法を使って、学園の状況を見ていた。
「そんなこと言われても、最優先で守る対象が王位継承権上位のあなたなんだから仕方ないでしょう。それに、私だってできるだけの人数を転移させようとしましたけど、誰かに邪魔されましたよ。何とかあなただけでも転移させましたが」
ナグシェルは特に悪びれることもなくそう答えた。
アルシェイドは、彼のその態度にまたため息をついたが、やらなければならないことがあるので、無視することにした。
「ナグシェル、至急、医術師長に連絡をとり、学園に医術師を派遣するよう手配しろ」
「それは私の仕事の管轄外ですよ」
「いいからやれ。ことは一刻を争う状況だが、俺は見ての通り動けない。他にやれるのがお前だけなんだから、お前がやれ」
そう、アルシェイドの今の状態は、椅子に縛られて身動きがとれない格好だ。こうなったのはアルシェイドが学園に戻ると暴れたから。
「はあ、仕方ありませんね。分かりましたよ。医術師長に話を通す時間が面倒なので、ディランを呼びましょう。何かあったら責任は殿下がとってくださいよ」
そう言い残し、ナグシェルはかったるそうに、部屋から出ていった。
部屋に残った、椅子に縛られているアルシェイドは、すごい渋面をしていた。
そう言いながら、教師は元凶である、水の檻に閉じ込められているフェニクスを睨んだ。
『ふん、我のせいではないだろう?我はそこの餓鬼に喧嘩を売られたから、安く買ったまで。間に入ってきて怪我をしたのはそいつのせいだ』
「確かにお前の言うとおり、怪我をすべきだったのはそこのヴィクトルだが、お前がさっさと帰らないからこうなったんだ。だからお前のせいでもあるだろ」
『だから何だと言うんだ』
「まあ、とりあえず尋問かな?」
「うっ」
教師の腕の中にいる、少女が身動ぎした。
「グレーティ!大丈夫か?」
教師は優しく少女を下に降ろし、語りかけます。
「せんせい?」
焦点の定まらない目をさ迷わせながら、教師の声に答えました。
「ああ、なんとか大丈夫そうだな」
少女はほぼ無意識に、口を開いた。
「紫、皇」
そう言い、少女は力尽きたようにまた意識を失った。
瞬時に、少女の傍ら(教師の傍ら)に金色の髪に紫色の瞳をした、青年が立っていた。
「あっおい」
青年は教師の腕の中に収まっている少女に負担をかけないように、半ば強引に奪いとります。
「まったく、お前という奴は、呼ぶのが遅い」
青年は額に汗をかきながら、少しの苛立ちと呆れを含んだ声で、意識を失っている少女に言いました。
その声音は、青年が少女のことをとても大切にしていると語るような響きだった。
少女に向けられていた柔らかい目が、檻に閉じ込められたフェニクスに移ると、その目は鋭く尖った刃物のような視線に変わった。
「俺の主をずいぶん傷つけてくれたな。なんでこんなところにいるんだ?」
口調はそんなきつくないのに、青年の目はフェニクスを射殺すようだ。
『ふん、我はただここにおもしろいものが来ると言う噂を聞いて、おもしろそうだと思って来ただけだ』
「おもしろいもの?それだけ?」
『恐らく、そやつのことだろう』
フェニクスは檻で窮屈そうな翼を青年の腕の中にいる少女に、向けた。
「なるほど、確かにこいつの魔力量は底が知れないから力自慢の幻獣からすればおもしろいものに映るかもな。しかし、誰がそんな噂を流したのやら」
疑問を口にする青年に、フェニクスは
『我は知らん。噂を聞いただけだからな。それに、我が答えなければならない理由などない。そやつの魔力が尽きればこの檻も解ける。そうなれば、我は帰る。十分楽しんだからな』
青年の呟きに答えながら、ニヤリと口(嘴)の端を上げて上から目線で宣った。閉じ込められているのに偉そうな態度だ。
この言葉に青年は一瞬、きょとんとした顔をした後、豪快に笑いだした。
「くっあはははは。お前、こいつの力を甘くみてるな。魔力供給をこいつが止めれば消えるが、魔力が尽きるまでなら、お前がそこから動けるのは1ヶ月後くらいになるんじゃないかな?」
『なっ!なんだと、そやつの魔力はそれほどまで高いのか?』
フェニクスは青年の言葉に驚きを露にします。
「まあ、そういうことだな。俺も鼻が高いってもんだ」
言葉通り、誇らしげな顔で檻に閉じ込められているフェニクスに言った。
フェニクスが魔法学園に来て、グレーティエに返り討ちにあう頃。
アルシェイドはフェニクスが教室に灼熱の炎で攻撃した、ほんの数瞬後に王宮にある一室に転移させられていた。
転移させたのは、王に一時的に仕えているエルフ族の男、名をナグシェル・アスラールだった。
アルシェイドは自分を転移させた、ナグシェルに鋭い眼差しを寄越していた。
「なんですか?その不服そうな視線は」
ナグシェルはため息をつきながら、アルシェイドの視線の意味を問うた。
アルシェイドはその言葉に深いため息(一桁の年齢の子供がすべきでない)をついてナグシェルの質問に答えた。
「あの状況で俺だけ避難させるなんて何を考えているんだ、お前は。あそこにグレーティエがいなければ、生徒全員が死ぬ可能性もあったのに」
アルシェイドは千里眼の魔法を使って、学園の状況を見ていた。
「そんなこと言われても、最優先で守る対象が王位継承権上位のあなたなんだから仕方ないでしょう。それに、私だってできるだけの人数を転移させようとしましたけど、誰かに邪魔されましたよ。何とかあなただけでも転移させましたが」
ナグシェルは特に悪びれることもなくそう答えた。
アルシェイドは、彼のその態度にまたため息をついたが、やらなければならないことがあるので、無視することにした。
「ナグシェル、至急、医術師長に連絡をとり、学園に医術師を派遣するよう手配しろ」
「それは私の仕事の管轄外ですよ」
「いいからやれ。ことは一刻を争う状況だが、俺は見ての通り動けない。他にやれるのがお前だけなんだから、お前がやれ」
そう、アルシェイドの今の状態は、椅子に縛られて身動きがとれない格好だ。こうなったのはアルシェイドが学園に戻ると暴れたから。
「はあ、仕方ありませんね。分かりましたよ。医術師長に話を通す時間が面倒なので、ディランを呼びましょう。何かあったら責任は殿下がとってくださいよ」
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