推しのために私がなんとかすればいい!

ライ

文字の大きさ
23 / 31
学園編

VS流行り病の前に前哨戦

しおりを挟む
ルークを領地に送り届けてからすぐに王都に駆けた。
流石の黒影も、王都からモルト領を休憩なしで往復するのはきつかったようで、凄く疲れてる。
王都に着いてすぐに、仮家の厩舎に黒影を連れていき、古い寝藁を交換する。
疲れている黒影に褒美を沢山用意し、新しくした寝藁で寝かせ、私は王宮へと向かった。

王宮の門の前で、別れる前に父が言っていたように、宰相に呼ばれていると言って通してもらおうとしたのに、門の衛兵は私の言葉を疑って通してくれなかった。
「ですから!私は宰相に呼ばれているのです、ちゃんと確認してください!」
「はっ、お前のような小娘を宰相閣下が呼ぶわけなかろう!吐くならもっとましな嘘を吐くんだな!確認する必要がどこにある!」
「仕事をしないんですか?」
「はあ?何を言っている?下手な嘘は通じないからと意味の分からんことを言って俺を惑わそうとでもしているのか」
「そのままの意味です。ここで確認を怠ることは門番として怠慢なのではありませんか?」
「ふん!必要のないことをしないのは怠慢とは言わん。小娘の嘘に付き合う必要はないと言うことだ。とっとと帰れ!」
埒があかない。
このままじゃ父に会うどころか王宮にすら入れないじゃないか。
どうすればいい?
あーだこーだと門番と話し始めてはや10分、ギャーギャーと騒ぐ音で何事かと、駆け付けた、真面目そうな騎士に説明をした。
「なるほど、君は本当に宰相様に呼ばれているのだね?」
「はい、誓って嘘は吐いておりません」
「わかった。ではその君の言葉が真実か、こちらで確認をしよう。名を聞いてもいいかね?」
「あ!、名乗り忘れてました。私、リア・モルトです」
「モルト!?」
私は急ぎ過ぎていて、名乗るのをすっかり忘れていた。
なので、改めて名乗ると、先ほどまで私を小娘と言っていた門番がもの凄く驚いた声で叫び、真面目そうな騎士は目を見開く。
「君、あのモルト伯爵の娘か?」
「はい、そうですけど?あのが何を指しているかはわかりませんが」
二人ともに何故か顔面蒼白になってしまった。
(お前やばいことしたっぽいぞ)
(だって、先輩、俺モルト伯爵の顔知らねえし、いきなり来たこんな小さい娘があのモルト伯爵の娘なんて思えねーよ!)
真面目そうな騎士と門番は私から離れてこそこそと話しあっているけど、遠すぎて内容は聞こえないな。
二人がこそこそしていると、王宮側から外に出ようとする一団がやってきた。
「おい、門番が門にいないとはどういうことだ?」
一団を率いていたのは、この国の第一王子で乙女ゲーム、〈ワクワク★学園ライフ★星が導く愛のカタチ〉でメイン攻略対象キャラである、レオン・レグルス・スターレインだった。
そういえば、学園ではほぼ公務で欠席していて、私は会ったことなかったなー。
「もっ、申し訳ございません!!こ、こちらのご令嬢の応対をしていましたので、持ち場を離れてしまいました!」
え?さっきは私のこと小娘とか言ってなかった?
「ご令嬢?」
王子は門番の言葉で私のほうを見る。
貴族としては王族が目の前にいる以上は挨拶をしない選択肢はないので、とりあえずは挨拶をしないと。
「学園の同じクラスではありますが、面と向かってお会いするのは初めてなので名乗らせていただきます。私、モルト伯爵の娘、リア・モルトと申します。王子殿下」
最大限の淑女の礼で王子に挨拶をする。
「ああ、ベガからいきなりデネブに来たという、噂の生徒か。で?君はなぜここにいる?」
「はい、本日は宰相閣下からお呼びがありましたので、こちらに参った次第なのですが、、門番の方に嘘だと疑われてしまい、このような状態になってしまいました」
「なるほど。では私が入城許可をしよう。門番には追って沙汰を下す」
「は!!、この度は私の独断で誠に申し訳ございませんでした!!」
門番は脂汗を流しながら王子に敬礼し、その後に私に向かって頭を下げる。
「いいえ、私も名乗り忘れていたので、気にしないでください」
小娘発言には少しムカッとしたけど、多分結構重いペナルティがあるだろうし、ここで追い打ちをかけるほど外道でもないので、許してます的な雰囲気で答えた。
「ところで、殿下は視察か何かですか?」  
「ああ、そのつもりだったが、急ぎの用ではないのでモルト嬢を案内しようと思う」
「へ?」
真面目騎士が王子に話しかけていると思ったらなぜか王子に案内される話が出てくる。
いきなり話をふられたので、王子相手なのも忘れて間抜けな声が漏れる。
「あ、あの!私はだ、大丈夫なので、王子殿下におかれましては、お仕事を優先したほうが良いとおもいます!」
学園に入ってからの一連の攻略対象の反応からすると、王子も私のことを目の敵にしそうだし、そんな人と一緒にいたくないので断固拒否を試みるが。
「なに、あまり学園を休むわけにもいかないので長期休暇で仕事を前倒ししようとは思ったが、同じクラスの生徒と交流を持つほうが私にとっては大事なことだ。それにモルト嬢は王宮に入ったことはないだろう?」
「そ、それは確かにそうなんですけど、、お、王子の手を煩わせるほどでもないですし、婚約者様がおられる王子に何かあってはいけないですし!」
王宮で迷子になるのは困るけど、王子に案内されるほうが私としては避けたい案件、なのになんでこんなに王子は食い下がってくるんだよ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

え?わたくしは通りすがりの元病弱令嬢ですので修羅場に巻き込まないでくたさい。

ネコフク
恋愛
わたくしリィナ=ユグノアは小さな頃から病弱でしたが今は健康になり学園に通えるほどになりました。しかし殆ど屋敷で過ごしていたわたくしには学園は迷路のような場所。入学して半年、未だに迷子になってしまいます。今日も侍従のハルにニヤニヤされながら遠回り(迷子)して出た場所では何やら不穏な集団が・・・ 強制的に修羅場に巻き込まれたリィナがちょっとだけざまぁするお話です。そして修羅場とは関係ないトコで婚約者に溺愛されています。

乙女ゲームのヒロインに転生したのに、ストーリーが始まる前になぜかウチの従者が全部終わらせてたんですが

侑子
恋愛
 十歳の時、自分が乙女ゲームのヒロインに転生していたと気づいたアリス。幼なじみで従者のジェイドと準備をしながら、ハッピーエンドを目指してゲームスタートの魔法学園入学までの日々を過ごす。  しかし、いざ入学してみれば、攻略対象たちはなぜか皆他の令嬢たちとラブラブで、アリスの入る隙間はこれっぽっちもない。 「どうして!? 一体どうしてなの~!?」  いつの間にか従者に外堀を埋められ、乙女ゲームが始まらないようにされていたヒロインのお話。

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

モブ転生とはこんなもの

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。 乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。 今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。 いったいどうしたらいいのかしら……。 現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。 どうぞよろしくお願いいたします。 他サイトでも公開しています。

モブが乙女ゲームの世界に生まれてどうするの?【完結】

いつき
恋愛
リアラは貧しい男爵家に生まれた容姿も普通の女の子だった。 陰険な意地悪をする義母と義妹が来てから家族仲も悪くなり実の父にも煙たがられる日々 だが、彼女は気にも止めず使用人扱いされても挫ける事は無い 何故なら彼女は前世の記憶が有るからだ

悪役令嬢はモブ化した

F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。 しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す! 領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。 「……なんなのこれは。意味がわからないわ」 乙女ゲームのシナリオはこわい。 *注*誰にも前世の記憶はありません。 ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。 性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。 作者の趣味100%でダンジョンが出ました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた

夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。 そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。 婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。

処理中です...