推しのために私がなんとかすればいい!

ライ

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学園編

今世の初めてだったのに、、、

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舌の感触がまだ残ってる、なんて余韻に浸ることはできなかった。
「あ、アンジュストップストップ止まって!!」
どこにいたのかはわかんないけど、王子にナイフを突きつける男、アンジュを咄嗟に止める。
現状の説明としては、私が王子に倒れて口付けされて、すぐ上からアンジュが王子を吹っ飛ばし、その首元にナイフを刺そうとしたのを私が止めた状況である。

アンジュは、私がヒオウギから帰国しようとしたときに課されて説得した元凶悪犯罪者で、なぜか私に雇われている人物だ。
そのアンジュが殺気駄々洩れで王子を射殺さんばかりに睨んでる。
実際、アンジュの手は王子の首にナイフを突きつけているので、本気で殺そうとしている。
「リア様、なぜ止めるのですか」
薄い赤髪に同色の瞳、目鼻立ちが整っている普通の美形(攻略対象と比べると普通に見える)なアンジュは、腰に響く低音ボイスで問いかける。
王子に突きつけたナイフは未だ首元に据えたままである。
そして、この場で一番大ピンチである王子がなぜか一番落ち着いているというか、まるで傍観者のような雰囲気を醸し出している。いやなんで?
「へぇ。あの凄腕暗殺者が今や優秀な番犬になってるなんてね。意外だなぁ」
自分の喉元にナイフを突きつけられているとは思えないような、軽い口調で発言する。
「ちょっ、アンジュ待って待って、ナイフしまって!」
「、、、」
無言で王子の首にナイフを刺そうとするので止めるけど、すごーく嫌そうな顔で不承不承ナイフをしまう。
王子の首はちょっと血が垂れていた。
「あらら。王子、首から血出てるー」
笑い交じりでリークスが言った。
「ああ、そうだね」
やはり軽めに王子はそう言葉を返すけど、顔色がちょっと青くなっているような?
「軽すぎる、、ん?ちょっと待って、ねえ、アンジュ、まさかとは思うけどナイフに毒仕込んでないよね?」
「神経毒を少々」
「っそれはやく言って!解毒しないと!」
私が行動するよりもはやく、王子は倒れた。
そして、急遽その場は王子を助ける救護室へ早変わりするのであった。

「ふふ、僕のために君がこんなに必死になってくれるとは、毒を受けてみるのも悪くないね」
「冗談言ってないでこれを飲んでください」
八つ当たりも兼ねて極限まで苦くした解毒剤を王子の口に突っ込む。
結局、あの後王子を解毒するために私の仮家に置いてあった薬草と調合の器具をリークスに持ってきてもらった。
今回のキーアイテムである解毒剤の薬草は、無事王子から受け取り(正確には倒れたときに落ちたものを拝借したが)、後は私が最初に持ってきていたのと、残りは国にお願いした14種になる。
余談だけど、王子は治療されている間、終始にこにこしていた。
一応この人も、一国の王族なんだからある程度の毒耐性はあるわけで、あんなに必死にならなくても良かったと、後になってから気づいてしまったのだった。

なんのかんのあってやっと薬草は揃ったので、大臣に報告に行く。
冷静になって考えてみると、なぜ王子は他国の王宮に入れたのだろう?とか思ってはみたけど、なんの情報もない私が考えても答えは出ないし、心の平穏のためにも追及はしないほうが良い気がするので深く考えないことにした。

「おお!こんなに早く集まるとは!」
大臣は書類に囲まれている状態で隈もひどく、かなり憔悴していた。ちょっと怖い。
「はい、私も驚きましたが、早いに越したことはありません、そちらに頼んでいた薬草はどうでしょうか?」
「ああ、こちらはついさっきすべて集め終わったと報告があった」
「それは良かったです、それで薬草はどちらに保管してあるのでしょうか?」
「うむ、医局の薬草貯蔵庫に保管してあると聞いている。リア嬢が調合をするための場所も今確保するよう手配はしている」
「ありがとうございます。では、場所が整いましたらすぐに調合に入りたいのですが、今任されているお仕事はどうすればよいでしょうか?」
「ああ、今は何をやっていたのかな?やっている仕事によってはそのまま任せたいのでな」
「えっと、今は確か西の隣国から届いた関税関連の公文書と商業関連の翻訳と、、」
「ああ、それはそのまま任せたい。頼めるかね?」
「わ、わかりました。あ、あとえっとこの間予算決済のために届いた灌漑工事の設計図、かなり無理があったんで修正案書いたんですけど、それってどこに届ければいいですか?あ、一応その設計での予算も組んであります」
「む?無理、とは?」
「えっと、あのままの設計でやると長くは保てないので、すぐに壊れてしまうと思うんです」
「ほう、では君の見立てではその無理な設計で建てた場合、どの程度で壊れると思った?また、君の案では最低何年もつ?」
「そうですね、もって3年くらいだと思います。間違いなく5年以内には壊れますね。一応、私の書いた設計では10年以上はもつと思います」
「断言するか、わかった、その案はこちらで精査しよう。その設計図は今持っているかね?」
「あ、いえ、すみません。部屋に置いてあります」
「いや、大丈夫だ、それはあとでこちらに持ってくる書類と一緒に持ってきてくれればいい」
「あ、はい、わかりました」
「他に気づいたことはあるかね?」
「えと、多分、この設計図を書いた人は壊れるのがわかってて書いたんじゃないかなと」
「つまりわざと壊れるように書いたと?」
「はい、一緒に来てた予算申請書が気持ち少し多めだったんで、もしかしたら着服しようとしてたのかと思いました。それで壊れたらまた同じようなものを作って着服しようと考えていそうです」
「なるほど、それは困ったな。こちらでも少し調べてみよう」
犯罪臭いなあと思ってたことを言って、大臣との会話は終了したのだった。
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