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美味しいものを試そう
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「さて」
頼み込んで厨房に入れてもらった。もちろん今使われている食材や調味料も用意してくれた。マリウスはその辺り手回しが良くて気が利く。
だがさすがに料理の心得はないので、ジェフが説明を兼ねて付き合ってくれている。
そして調理台に並べられているのは、豚バラに似た塊肉と人参に玉ねぎ、じゃがいも。ただし肉は紗江の身長程もあり野菜類もかなり大きい。人参が、成人男性の二の腕程の長さだ。色や匂いは人参だが大きさは大根といった風情。じゃがいもも子どもの頭程、玉ねぎは南瓜大。
味は普通に美味しいのでここまで実物が巨大だとは紗江も思いもよらなかった。
「……切るだけでも一苦労ですね……」
呆然と呟く紗江に男達も困惑顔だ。
「いや、確かにこれは腕に自信のある人でないと扱うのも大変そう」
それで厨房の包丁が、刃渡り30センチはあろうかという代物だったのか、とむしろ紗江は納得する。厨房機器は何とも大振りなものばかりで、普通の女性なら扱いに苦労するのではないか。
「これが、普通の家庭でも食べられているんですか?」
「市販されているのは、小分けにしたものです」
市販というか、市井の店では既に切り分けた状態で売られているらしい。
肉は美味しいのだが、味は常に同じ……ちょっといいハムのような食感で味も均一。決して悪くはないが、飽きが来る。
「調味料は、塩の他に何があるんですか?」
「……塩の他に何かあるのか?」
聞き返されて紗江は固まった。
「……塩以外の調味料はないんですか!?えと、砂糖はありますよね、お菓子あるんだし。後は胡椒とかお酢とか……さすがに味噌や醤油は無くてもハーブとか……あ、油!油はありますよね!?」
「お、落ち着いてください、サエ」
慌てる彼女にマリウスも慌て気味に割って入った。
「その、ミソだのショーユだのはわからないが……砂糖は確かにある。油もあるし胡椒もあるにはあるが、こちらは希少だ」
「……普通に使えない程度しかないと」
「ああ、砂糖はまだしも、胡椒も油もレアドロップ品で滅多に市場に出ない」
マリウスとジェフの説明によると、塩は海水や岩塩から製塩されており普通に手に入るし、砂糖も同様に砂糖黍や甜菜から製糖されていて出回っている。安いものではないが、入手が難しいものでもない。
だがそれ以外の、油や胡椒はレアドロップで魔物を倒した際稀に入手できるだけ。ここは王城なので一応少しは備蓄があるものの、一般には殆ど出回らない。出回るほどの量がないのだという。
そしてそれ以外の、酢やハーブ、発酵食品の類いはそもそも存在が認識されていない。
頼み込んで厨房に入れてもらった。もちろん今使われている食材や調味料も用意してくれた。マリウスはその辺り手回しが良くて気が利く。
だがさすがに料理の心得はないので、ジェフが説明を兼ねて付き合ってくれている。
そして調理台に並べられているのは、豚バラに似た塊肉と人参に玉ねぎ、じゃがいも。ただし肉は紗江の身長程もあり野菜類もかなり大きい。人参が、成人男性の二の腕程の長さだ。色や匂いは人参だが大きさは大根といった風情。じゃがいもも子どもの頭程、玉ねぎは南瓜大。
味は普通に美味しいのでここまで実物が巨大だとは紗江も思いもよらなかった。
「……切るだけでも一苦労ですね……」
呆然と呟く紗江に男達も困惑顔だ。
「いや、確かにこれは腕に自信のある人でないと扱うのも大変そう」
それで厨房の包丁が、刃渡り30センチはあろうかという代物だったのか、とむしろ紗江は納得する。厨房機器は何とも大振りなものばかりで、普通の女性なら扱いに苦労するのではないか。
「これが、普通の家庭でも食べられているんですか?」
「市販されているのは、小分けにしたものです」
市販というか、市井の店では既に切り分けた状態で売られているらしい。
肉は美味しいのだが、味は常に同じ……ちょっといいハムのような食感で味も均一。決して悪くはないが、飽きが来る。
「調味料は、塩の他に何があるんですか?」
「……塩の他に何かあるのか?」
聞き返されて紗江は固まった。
「……塩以外の調味料はないんですか!?えと、砂糖はありますよね、お菓子あるんだし。後は胡椒とかお酢とか……さすがに味噌や醤油は無くてもハーブとか……あ、油!油はありますよね!?」
「お、落ち着いてください、サエ」
慌てる彼女にマリウスも慌て気味に割って入った。
「その、ミソだのショーユだのはわからないが……砂糖は確かにある。油もあるし胡椒もあるにはあるが、こちらは希少だ」
「……普通に使えない程度しかないと」
「ああ、砂糖はまだしも、胡椒も油もレアドロップ品で滅多に市場に出ない」
マリウスとジェフの説明によると、塩は海水や岩塩から製塩されており普通に手に入るし、砂糖も同様に砂糖黍や甜菜から製糖されていて出回っている。安いものではないが、入手が難しいものでもない。
だがそれ以外の、油や胡椒はレアドロップで魔物を倒した際稀に入手できるだけ。ここは王城なので一応少しは備蓄があるものの、一般には殆ど出回らない。出回るほどの量がないのだという。
そしてそれ以外の、酢やハーブ、発酵食品の類いはそもそも存在が認識されていない。
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