婚約破棄された魔女令嬢

あきづきみなと

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魔女令嬢と義妹・2

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小さく溜め息をこぼしてセイラは義妹を見た。
「それでは、フォレストが貴女を好きにならないのは、私が彼に何かしているからだというの?」
「そうに決まってるじゃない!だって私は世界で一番可愛くて素敵な女の子なんだから!」
四・五才くらいまでの親に溺愛された子どもの言うことなら、まあ微笑ましい範囲だろう。だが更に十年程も歳を重ね、それなりの教育も受けたはずの人間が言うことではなかった。
「ずいぶんと不遜なお話ですこと」
「それ以外に何があるのよ」
冷静なセイラの指摘にふんと鼻を鳴らすその様子は、到底『世界で一番可愛くて素敵な女の子』には見えない。見た目はそこそこに可愛いが、妙に自信満々な表情は高慢で、却って賎しい印象が強いのだ。
「セイラがどうとか言う以前に、おまえみたいなゴミクズに近寄る気も無いな」
そこにこちらも冷静極まりない口調で、フォレストが爆弾を放り込んだ。
「……ご、ゴミクズって、私のこと!?」
「他に誰がいるんだ」
「フォレスト、言葉が過ぎてよ」
嗜めるセイラにも彼は頓着しない。
「だってそうだろう、ちょっと見映えのいい侍女はイビるわ出入りの商人に媚びちゃあ高い商品をたかるわ、ボンクラ侯爵に甘やかされてるのをいいことに我儘三昧。使用人や出入りの商人には評判最悪だったぞ。見た目だってクソ高い化粧でごってごてに塗ったくってようやくこのレベルだし」
嘲りも露に示されて赤くなったり青くなったりしていたノリエッタはわなわな震えながら声を張り上げた。
「ひっ酷い‼何でそんな酷い嘘吐くの!?」
「何が嘘だ、全部俺がこの目で見たことだ」
きっぱり言い放つフォレストに、再度溜め息を吐いたセイラが付け加えた。
「フォレストはずっと私の側にいました。領地の屋敷でも王都にいる間も、私の侍従として」
「え……えぇ?嘘っ!?こんな人、いなかったわよ!?」
声を張り上げるノリエッタにフォレストは冷たい視線を投げるだけ。
「誰かさんみたいな色ボケに付きまとわれても困るからな、ちゃんと準備は整えてある」
「……ああ、おりましたわね。……でもどういうことかしら、私、そちらの方雇った記憶がないんですけど」
困惑の面持ちで状況を見守っていたエレーヌ夫人が呟く。それに頷いてセイラは彼女達に向き直った。
「機会がなくご挨拶させておりませんでしたが、彼……フォレストは、私の『守護者』ですの。そのため幼い頃から側におりました。当人が言うように、それと気付かれぬようにして」

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