くつろぎ庵へようこそ

あきづきみなと

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出店要請1.5

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彼、リンティスと名乗った少年は実は異世界の神だという。とは言えそこまで力はない、辺境の土地に産まれた言わば土地神、というのが本人(本神?)の主張だった。
 辺境なので彼の土地は栄えておらず住人も少ない。けれど人が増え、栄えればそれは即ちその地を豊かにすること、リンティスに力を与えることになるという。
また、リンティスが鈴を選んだのは彼女の「名前」が彼と通じるものだったから、だそうだ。名前が通じ合う者は力や運命も近い、ならばきっと互いに上手くやっていけるだろう、と。
 「いや、そんなこと言われてもですね。今ここでやってるのもやっとのことでだし、人手もないし……」
 「それに関しては気にせずとも良い。我が力を貸し与えれば疲れもしないし……そうだな、夢の中で私の世界に来てもらうと思えば」
 呆れて反論しても相手は聞いてくれない。自分の加護を与えるし彼の地が豊かになればその力も増えるという。
 結局肉体的な疲れはなくその世界での売上は鈴の世界の金銭に換金するとか、異世界でかかる動力、電力やガス・水道はリンティスが補填するとか、いろいろ条件付きで承諾することになった。
「辺境、って神様……リンティス様のところは、どんな場所なんですか」
「人が少ないのだ。土地は痩せて作物も育ちにくく、ほぼ狩りで生計を立てている」
「……狩る獲物はいるんですか」
「いるが、多くはない。山の方へ行けば実りもあるが、人間を養うには足りん」
「……それは、そっちを先にどうにかした方がいいんじゃないですか……」
思わず口にした鈴の本音に、彼は真顔で頷く。
「そうだ。だが私には自分の土地を豊かにするだけの力がない。それを、貸してほしいのだ」
リンティスにとって人の往来が盛んになることがその力を増幅することにつながる。そのため、鈴の店を置くことで住民達の停滞した暮らしを活性化出来ないか、というのが彼の考えらしい。
「努力はしますけど……リ、リンティス様のお役に立てるかどうか」
何となく名前が似ている相手の名は呼びにくい。口ごもる彼女に頷くリンティスは過ぎるほど冷静だ。
「出来るだけのことはやってみたいのだ。協力を頼む、私の力が増せば鈴に返せるものも大きくなろう」
「そういう、ものですか……」
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