転生したら55歳の中年オバさんでした

綾羽 ミカ

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第十二話 オバさんレストランに行く

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「ここファミレスだよね」

 そう、元カレが連れてきたのは、高級レストランではなく、家族向けのファミリーレストランだった。

「だってさ、おれお金ないし」

「あたしだってないよ」

 そういえばこの男はこういう男だった。自分の事だけを考え、相手の気持ちなどまるで心配しない。


「もしかして、わたしがオバさんだから、ファミレスってこと?」

「ふざけてる?」

 メニューを手にしながら、私は遠い眼をした。私は何を期待していたのだろうか。この男と再会し、何か変わっていると思っていたのだろうか。

「で、何食べるの」

 元カレはけろっとした顔で私に聞いた。この気持ちの空調の分からなさが、この男の活き方なのだと、私は心の中で知っていた。

「そうね、とりあえずドリンクかな」

 これでいい。強く期待するほど、私は苦しむだけだから。コーラを飲んで、私は思った。

「もういい もういいよ」

 私は気まぐれに視線を漂わせ、ファミレスの確保座に座る年配のかさない家族を見た。流れてくる雰囲気が気になって、私は喉の水分を飲み込むようにした。

「その年のくせに、まだ最後の期待を持っていたなんて」

 そんな不思議な大人になっていた自分に、傷を感じていた。

「わたし、ホテルにいきたい」と 突然口に出していってみた。

 元カレは見ていた。 59歳の私を。

 26歳のこの人は見ていたのだ。

「ホテルか いいよ 道玄坂のホテル」

「えっ… まさか… 私59歳だよ いいの?」
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