転生したら55歳の中年オバさんでした

第十四話 オバさんホテルでついおもらしをしてしまうの巻

道玄坂のホテルのロビーに足を込んだ私は、瞬間、胸の鼓動が速くなった。広いロビーに大きなシャンデリアライトが黎然と照らされ、風呂のスペースには大きなジャグジーが座っていた。

「なにこれ、めちゃくちゃ素敵じゃない…」

　濃い綿が突き出たソファに座って身体を埋める。わずかな振動によって、精算された床が自分を包み込む感覚がした。

「ほんとに私が満喫していいのかな…」

　しかし、激しい高揚感に包まれているうちに、突如としてお腹に違和感を覚えた。その一瞬、空気が出たような音を一昨聞き、私はハッと口を抱えた。

「えっ…ちょっと待って…」

　自分の体の中で何が起きているのか理解できないまま、ソファから起き上がろうとしたその瞬間、わずかな暗気がチャット流れる感覚がした。

「ヤバい…」

　私の中にある「美しくありたい」という気持ちが、この情けない動きを減減に吸い取っていく。しかし、元カレは気づいているのだろうか。この瞬間の私の動操を。