転生したら55歳の中年オバさんでした

綾羽 ミカ

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第二十三話 オバさんシャンパンを飲むの巻

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「私、大丈夫…?これって、もしかしたら」

 いつのまにか、シャンパンのボトルの数が切れ盛りに増えていた。ウェイター・ハイエンドシャン、ロマネ・エメラルド。通常のレベルを超えた高級シャンパンの名前が次々と目に飛び込んでくる。私は腕時計を見る。時間はすでに深夜。この街で気譲いを感じても手運びの運命を返せる保証はない。

「私、ここから抜け出せるの…?」

 焦りの深まる眼光の中、ホストたちの曖昧な笑顔は微笑を添えたまま、次のオーダーを続けようとしていた。

 ホストクラブの関もなく輝くシャンデリアの光りに照らされ、私はクラブの奥の席に座っていた。あるものは独特の魅惑を放ち、まるで異次元に居るような感覚に落ちていた。ホストたちは好き宜ってグラスを満たしている。

「いやぁ、オバサンのために最高の夜を用意しましたよ」

 そんなことを言われると、私も気持ちが高揚し、ごく自然に笑顔がこぼれてしまう。しかし、この笑顔の裏に、何かあるのではないか、そんな言い知れぬ不安を感じたのも事実だった。

「ありがとう。けど、こんなことしてもらっていいのかしら…」

 気まぐれにいたってしまうこの天下、しかしホストたちの目は、まるで戦略を繰り殺す構えで私を見つめていた。

「さあ、絶景の一杯を楽しんでくださいね。スペシャルシャンパンもご用意がありますから」

 私はただ、この夜の戻れない一歩を歩き始めていた。


 シャンデリアの光りが炎る夜、私はホストクラブの一番奥の席に座っていた。ホストたちの笑顔と謎めいた無事な言葉、夜の空気は私を落ち着かせる一方で、どこか衝撃を準備しているような感覚があった。

「オバサンってさ、こんな場所に来るの初めて?」

 私の隣で、ホストエースが深笑を残しながら聞いてきた。私はシャンパングラスを微揺せながら、つまらないからしていた訳ではないけれど、一瞬迷ってしまう。

「まぁ、こんなところに来るのは初めてね」

 そう言うと、ホストが瞬きに視線を交わせ、クスクスと想像するかのような毛海を浮かべた。そして、準備していたかのようにこの言葉をオバサンに投げかけてきた。

「そっかー。さすがに、中年の女性はこういうところ来るの余裕あるよね」

 その瞬間、私の時間が止まった。
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