38 / 50
憎ったらしいの裏側
しおりを挟む
夫は可愛い猫や子どもを見ると、ついつい唇を噛み、鼻息がふんふんと荒くなる。
そして夫の妹、つまり小姑コハルさんも同じことをする。彼女の場合は唇を噛みすぎて出血することもあるので、あまり長時間はもたない。
そして二人とも決まって「うわぁ、憎ったらしい!」と言うのである。
彼らが説明するには、「憎ったらしい」とは「可愛すぎて可愛すぎてもう辛抱たまらん」という意味なのだそうだ。
憎たらしいほど可愛くてどうしようもない。どう表現していいかわからず、結果的にその言葉とともに鼻息が荒くなる。可愛さ余って憎さ百倍とは違うようだ。
憎ったらしいというのは、群馬県の方言というわけではないと思うのだが、おマサさんもまったく同じことを言い、同じように鼻息を荒くしていたらしい。
もし遺伝だとしたら、いずれ息子もそんな風に「憎ったらしい」と猫を撫でたりするのだろうか。くさなぎはそんな一抹の不安を抱えている。
一族の中で最もおマサさんに近いDNAを持つとされるコハルさんだが、彼女の美醜への感覚は謎である。
顔の綺麗な芸能人が好きなミーハーであるのに、赤ん坊に対しては不細工なほど「憎ったらしい」と鼻息が荒くなるのだそうだ。
とりあえず口が悪い。しかも考えるより先に口が出る。心では褒めていたり、嬉しく思うのに、ついつい口では悪く言ってしまう人なのだ。
毒舌を炸裂しておきながら、結局は子どものわがままをきいたり、夫に尽くしている。「言わなきゃいいのに」と思うのだが、そこはおマサさんからの遺伝らしいので諦めるしかない。
おマサさんは、コハルさんが娘を出産したとき、彼女の旦那がいる前で「あぁ、あぁ、父親に似てブッサイクだね、可哀想に。うちの家系に似たらよかったのに」とのたまったらしい。
しかし、実際はその孫娘を「憎ったらしい」と、可愛がっていたようである。それだったら言わなきゃいいものを、何故言うのだろう。「憎ったらしい」の裏側に愛情があるとしても、愕然とするエピソードである。とりあえずコハルさんの旦那さん、そして誰よりも孫娘に同情するくさなぎである。
対人関係において、理解できない、予想できない発想をする人というのは、最も恐ろしく、面白ければ面白いほど疲れる。そう痛感するのであった。
さて、今宵はここらで風呂を出よう。
猫が湯ざめをする前に。
そして夫の妹、つまり小姑コハルさんも同じことをする。彼女の場合は唇を噛みすぎて出血することもあるので、あまり長時間はもたない。
そして二人とも決まって「うわぁ、憎ったらしい!」と言うのである。
彼らが説明するには、「憎ったらしい」とは「可愛すぎて可愛すぎてもう辛抱たまらん」という意味なのだそうだ。
憎たらしいほど可愛くてどうしようもない。どう表現していいかわからず、結果的にその言葉とともに鼻息が荒くなる。可愛さ余って憎さ百倍とは違うようだ。
憎ったらしいというのは、群馬県の方言というわけではないと思うのだが、おマサさんもまったく同じことを言い、同じように鼻息を荒くしていたらしい。
もし遺伝だとしたら、いずれ息子もそんな風に「憎ったらしい」と猫を撫でたりするのだろうか。くさなぎはそんな一抹の不安を抱えている。
一族の中で最もおマサさんに近いDNAを持つとされるコハルさんだが、彼女の美醜への感覚は謎である。
顔の綺麗な芸能人が好きなミーハーであるのに、赤ん坊に対しては不細工なほど「憎ったらしい」と鼻息が荒くなるのだそうだ。
とりあえず口が悪い。しかも考えるより先に口が出る。心では褒めていたり、嬉しく思うのに、ついつい口では悪く言ってしまう人なのだ。
毒舌を炸裂しておきながら、結局は子どものわがままをきいたり、夫に尽くしている。「言わなきゃいいのに」と思うのだが、そこはおマサさんからの遺伝らしいので諦めるしかない。
おマサさんは、コハルさんが娘を出産したとき、彼女の旦那がいる前で「あぁ、あぁ、父親に似てブッサイクだね、可哀想に。うちの家系に似たらよかったのに」とのたまったらしい。
しかし、実際はその孫娘を「憎ったらしい」と、可愛がっていたようである。それだったら言わなきゃいいものを、何故言うのだろう。「憎ったらしい」の裏側に愛情があるとしても、愕然とするエピソードである。とりあえずコハルさんの旦那さん、そして誰よりも孫娘に同情するくさなぎである。
対人関係において、理解できない、予想できない発想をする人というのは、最も恐ろしく、面白ければ面白いほど疲れる。そう痛感するのであった。
さて、今宵はここらで風呂を出よう。
猫が湯ざめをする前に。
0
あなたにおすすめの小説
島猫たちのエピソード2025
BIRD
エッセイ・ノンフィクション
「Cat nursery Larimar 」は、ひとりでは生きられない仔猫を預かり、保護者&お世話ボランティア達が協力して育てて里親の元へ送り出す「仔猫の保育所」です。
石垣島は野良猫がとても多い島。
2021年2月22日に設立した保護団体【Cat nursery Larimar(通称ラリマー)】は、自宅では出来ない保護活動を、施設にスペースを借りて頑張るボランティアの集まりです。
「保護して下さい」と言うだけなら、誰にでも出来ます。
でもそれは丸投げで、猫のために何かした内には入りません。
もっと踏み込んで、その猫の医療費やゴハン代などを負担出来る人、譲渡会を手伝える人からの依頼のみ受け付けています。
本作は、ラリマーの保護活動や、石垣島の猫ボランティアについて書いた作品です。
スコア収益は、保護猫たちのゴハンやオヤツの購入に使っています。
裏長屋の若殿、限られた自由を満喫する
克全
歴史・時代
貧乏人が肩を寄せ合って暮らす聖天長屋に徳田新之丞と名乗る人品卑しからぬ若侍がいた。月のうち数日しか長屋にいないのだが、いる時には自ら竈で米を炊き七輪で魚を焼く小まめな男だった。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
新しい家族は保護犬きーちゃん
ゆきむらさり
エッセイ・ノンフィクション
〔あらすじ〕📝🐶初めて保護犬ちゃんを迎え入れる我が家。
過去の哀しい実情のせいで人間不信で怯える保護犬きーちゃん。
初日から試行錯誤の日々と保護犬きーちゃん
がもたらす至福の日々。
◇
✴️保護犬ちゃん達の過去・現在の実情の記述もあります🐾
✴️日々の些細な出来事を綴っています。現在進行形のお話となります🐾
✴️🐶挿絵画像入りです。
✴️拙いエッセイにもかかわらず、HOTランキングに入れて頂き(2025.7.1、最高位31位)ありがとうございます🙇♀️
不倫妻への鎮魂歌 ―サレ夫が選んだ、最も残酷で静かな復讐―
MisakiNonagase
大衆娯楽
「サレ夫、再生。不倫妻、転落。──その代償は、あまりに重い。」
「嘘で塗り固めた20年より、真実で歩む明日がいい。」
失って初めて気づく、守られていた日々の輝き。
46歳の美香にとって、誠実な夫と二人の息子に囲まれた生活は、退屈で窮屈な「檻」だった。若い男からの甘い誘惑に、彼女は20年の歳月を投げ打って飛び込んだ。 しかし、彼女が捨てたのは「檻」ではなく「聖域」だったのだ。 不倫、発覚、離婚、そして孤独。 かつての「美しい奥様」が、厚化粧で場末のスナックのカウンターに立つまでの足取りと、傷つきながらも真実の幸福を掴み取っていく夫・徹の再生を描く。 家族とは何か、誠実さとは何か。一通の離婚届が、二人の人生を光と影に分かつ。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる