21代目の剣聖〜魔法の国生まれの魔力0の少年、国を追われ剣聖になる。〜

ぽいづん

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第2章 騎士学校

第11話 この男最強

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 金髪のくるくるっとした癖っ毛の少年が慌てた様子で街の石畳の走っている。
 この角を曲がれが彼が目指している建物がその姿を現す。

 ドン

 彼はその角を曲がった瞬間、何かにぶつかり、その場で転んだ。
「あいてて」
「ごめんね」
 そのぶつかった物が声をだす。
 そう彼は人間にぶつかったのだ。

 そのぶつかった人間はボサボサの黒く長い髪にボロボロの布だけの外套そして何日も風呂に入っていないいうような体臭さえする。しかし顔は若く彼と同い年ぐらいであろう。
 彼はその人間には関わらない方がいいと思ったに違いない。
 しかしその人間は彼にあることを尋ねた。事もあろうに彼の行先である場所に。
「騎士学校ってどこですか?」
 彼は迷っているに違いない、道案内をすべきか否か。
 ちょっとした沈黙の後彼は答えた。
「騎士学校ですか、僕の行先ですので案内しますよ」
 

 ◇◆◇

 俺の目の前は壁に囲まれた街が現れるその中央には丸みを帯びた石造りの大きな城がその存在感をその城を中心に放射状に家や建物が立ち並んでいる。その殆どが石を切り出されてできている。
 やっとついた十王国、王都ゲルニカ。
 数週間掛かるとは聞いていたが、まさか2ヶ月も彷徨うとは…自分の方向音痴さにはほとほとうんざりする。
 おかげで食料も殆ど無い。間に合って良かったこれが正直な感想で王都の大きさやその存在感に関しては特に思うところも無かった。

 俺は門をくぐり王都に入る。王都は石畳が整備されとても歩きやすく、あちこちに露店があり半端なく人々が多い。その誰もが俺のことをチラリとみては目を逸らす。

 んーなんかおかしいかな俺…
 確かに行き交う人々は俺みたいなボロ布の外套は来ておらず、薄いシャツのようなものを着ている。

 まあそんなことより目的を果たさなければ、俺は騎士学校に行かないと行けないんだ。
 その辺を歩いている中年男性を捕まえ道を尋ねる。
 明らかに迷惑そうな顔をして
「あの建物」
 と指差して一言言った。

 その指差した先には赤茶色のレンガで作られた建物がある、他の建物が石造りでねずみ色をしている中、その赤茶けた建物はただでさえ存在感があるのにさらに象徴的な大きな時計塔もある。
「ありがとう」
 俺が礼を述べるとその男は何も言わず去って行った。

 感じ悪いな、王都の人間はみんなこうなのか?アルファルドも変人だったしな…
 しかしその建物に真っ直ぐ行けるわけもなく、迷路ような路地を迷いながら進む。

 俺が角を曲がると走ってきた少年とぶつかり、少年は転んだ。
 今までみた人とは少年は皆とは違う格好をしている、詰め襟の青いピシッとした上下の服を着ている。
 くるくるっとした金髪の癖っ毛が特徴的なソバカスが目立つ少年は「あいてて」といいながら服に付いたホコリを手で払っている。
「ごめんね」
 俺はぶつかったことに謝罪をする。
 その少年も俺のことをみて怪訝そうな顔をしている。

 なんか急いでるみたいだけど、俺も迷ってるからな聞いてみるか。
「騎士学校ってどこですか?」
 その少年は少し迷ったような感じであったが
「騎士学校ですか、僕の行き先なので案内しますよ」
 と答えてくれた。

 物は試しに聞いてみるもんだね。ああ良かったこれで着く。
 俺とその少年は歩きながら話をする
 少年はまだ怪訝そうな顔をして尋ねてくる。
「騎士学校に何の用ですか?」
「編入しろって師匠から言われて、この手紙をムルジムって人に渡せば分かるとだけ」
 その少年は目を丸くして
「うちに編入?確かにそのムルジムって人は校長先生してますけどねぇ」
 と首をかしげながら答えた。
「編入する人っていないの?」
「まずいないですよ」
「そうなんだ…」

 少年と一緒に歩くとものの5分程でレンガ造りの時計塔がある建物の門の前に到着する。
 門はしまっており、その少年は頭を抱えている。
「どうしたの?入れないの?」
「いや、僕の遅刻が確定しただけです」
「ご愁傷さまです…」
 その少年が門を開け中に入る。生え揃った綺麗な芝生と大きな木が印象的な中庭を通って校舎の玄関に向かう。
 玄関を抜け板張りの廊下にでる。
「君?いいの?」
「もう遅刻は確定したので、何分遅れようがもういいです。どうせ職員室に行かないと行けないんで案内しますよ」
「本当に助かるよ、俺、結構方向音痴でさ」
「いいえ」

 その少年が俺を校長室の前に案内すると
「僕はこっちなんで」
 そういってその少年は走り去って行った。

 あー名前聞いときゃ良かったなぁ忘れてたよ…

 眼の前にある。立派な赤茶色の木製の扉をノックする。
「どうぞー」
 と野太い声がする。
 そして俺がガチャっと扉を開けると、大きな机の向こう側に禿げ上がった頭で顎がたるみ、でっぷりとしたお腹の男が座っており、君誰?というような顔をしていた。
 そして開口一番
「君、誰?」
 と聞いてくる。
「俺はラグウェル、アルファルドから手紙を預かったんで渡します」
 俺がそう言うとその男の表情は一変し
「なに?アルファルド?そう言ったのか?」
「はい、俺の師匠です」

「いいからその手紙を見せろ」
 そういって俺は懐から手紙を出し、机の上に置こうとするとそれを奪い取るようにし封筒を開ける。
 封筒の中から剣の形をした徽章と手紙が一枚入っている。
「アルファルド、まさか生きているとは…」
 その男は感慨深そうに遠くを見つめている。
 そして手紙を机に置いているためその内容が見える。

 紙に大きく『この男最強』とだけ書かれているのが見えた。
 そして男は大きくため息をつき話し始める。
「アルファルド、彼と私は幼馴染でね、彼には一回も勝てたことはなかった、いや、あいつに勝てるのは弟子のヘテロぐらいだったか、彼はまだ元気かね、どこにいるんだ?」
「全然元気ですよ、世界の果てにいますよ」
「やはりあの噂を信じてそこに行ったか、でアルファルドはヘテロに会えたのか?」
「はい」
「そうか…なら良かった…」

 その男の眼光が急に鋭くなり、品定めをしているかのような雰囲気を感じる。
「話しは変わるが、アルファルドは君をここに編入させたいそう言ったんだろ?」
「はい、そんなこと言ってました」
「うちはな編入はできないんだがな…あいつがそこまで言うのなら、試してみる価値はありそうだな…分かった、その機会は与えよう。ここの職員の一人と戦ってもらい勝てれば編入を認める」
「分かりました」
「それじゃついてきてくれ」
 その男は立ち上がり校長室から出ていく、俺もその後に続いた。

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