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第2章 騎士学校
第42話 弟子
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ある日のこと…
俺とシャウラがいつものように下校していると
「おらぁ!」
バキ!ドコッ!
「フンッ」
ドスッ!ドコッ!
3人の少年が一回り身体の小さな少年を押さえつけ、一方的に殴る蹴るの暴行を加えている。体の大きな少年がリーダーなのか拳を振り上げ怒鳴り散らしながら殴っている。
シャウラと俺が顔を見合わせる。
「何とかしよう」
「ああ、分かってる」
そして体の大きな少年がまた拳を振り上げ殴りかかる。
俺は一瞬で少年の間合いに入りその少年の手首を掴む。
「そんな風に一人の人間を寄ってたかって、痛めつけてたらスタンツみたいになっちまうぞ!」
俺がそういうと体の大きな少年は手を引いて
「っち邪魔が入りやがった。いくぞ!」
押さえつけていた少年たちに声を掛け、どこかに行ってしまった。
シャウラがやられていた少年に声を掛ける。
「君、大丈夫」
少年のうずくまり、腹を押さえている。
「いてて…余計なことをしやがって俺一人でなんとかできたって」
シャウラはなだめるように話しかける。
「まあまあ、強がってもいいことないよ」
「強がってなんかないやい!」
シャウラは両肩を上げ参ったというようなジェスチャーを俺にする。
「それぐらいの減らず口が叩けるなら大丈夫だね」
そういってその場を去ろうとするとその少年が俺を見て話しかけてくる。
「まさか…あんたはあの貧民街でドンパチやってた奴じゃないか」
「へ?俺の事?」
「あんた以外にいないだろうが!」
「ま、まあやっていなくはないかなぁハハハ…」
「あんたの腕を見込んで頼みがある…俺を弟子にしてくれ」
デシ?なんのことだ?デシねぇ出汁ならしっているが…デシねぇ
俺が唖然としていると
「ごめんね僕たちまだ学生なんだ弟子は取らないよ」
シャウラが見かねて会話に入ってくる。
「あんたにゃ聞いてねぇよ。おれはそっちのあんちゃんに聞いてんだ!」
シャウラが耳打ちをしてくる。
「どうするの?こういうのはきっぱりと断ったほうがいいよ」
するとその少年はふと暗い顔をして
「1週間後のちびっこ剣術大会まででいいんだ…それまでの間、俺に剣術を教えてくれ」
俺がシャウラに小声で話しかける。
「なんだそのちびっこ剣術大会って」
「そっかラグウェルは知らなくても無理ないか…10歳から13歳までの少年を対象にした剣術大会さ、この剣術大会で見込みありってなると騎士学校に入ることが許されるんだ」
「へぇぇそんなのがあるんだな」
少年は俯いたまま話を続ける。
「うちの父ちゃん腕のいい庭師だったんけど…とある事件でクビにされたんだ」
シャウラがそれ聞いてピンときたようで
「そっか、それで騎士学校に入って騎士になることを目指すってわけか」
「うん。俺は騎士になって父ちゃんと母ちゃんを楽にさせてクビにした貴族を見返してやるんだ」
シャウラは目を輝かせ
「そっか…よし!ラグウェルは今から君の師匠だ」
俺はそれを聞いて唖然としている。
「え?俺、返事してないけど」
「親思いのいい子じゃないか…この子に協力するのは僕ら義務だよ」
「まあいいけど…そもそもの原因はこの子の父ちゃんが何かしたせいなんじゃないの?」
それを聞いた少年は暗い口調で呟く。
「うちの父ちゃんは嵌められたんだ」
「嵌められた?」
「そう、うちの父ちゃんはさっきいたガタイのいい奴のところで働いてたんだ。ある日庭の草が全部枯れて…あの野郎がいたずらで除草剤を撒いたんだ…それなのにあいつの親は父ちゃんのせいにして」
少年はその瞳に涙を溜めている。
「それにちびっこ剣術大会にはさっきの奴らも出るんだ…だから俺はあいらを見返したくて…」
「分かったよ…でも1週間か…おまえは剣はどれぐらいの腕前なの?ちょっと試していいか?」
少年は首を横に振る。
「貧民街で育った連中が剣術なんて習ってるわけないだろ」
「え?剣を持ったこともなし?」
少年は腕を組み胸を張り答える。
「自慢じゃねぇが生まれてこの方、剣なんてもん握ったこともねぇぇよ」
俺は頭を抱え少年に話しかける。
「それで優勝を目指すつもりだったのか?」
相変わらず少年は自信満々で
「俺はこう見えても運動神経はいいんだ」
シャウラが耳打ちをする。
「相手も同じような子供だから君が教えれば大丈夫だって」
そっか…ちびっこ剣術大会だもんな…相手もちびっこか
「俺も人に教えるの初めてだけど…やるからには勝ちに行くぞ!」
「もちろん!優勝する!!」
俺は少年に右手を出し
「分かった。俺はラグウェル・アルタイルよろしく頼むよ」
「俺は、パックだ。パック・ゴーシュ」
2人で握手を交わしパックと俺は1週間の期限付きで師弟関係となった。
俺とシャウラがいつものように下校していると
「おらぁ!」
バキ!ドコッ!
「フンッ」
ドスッ!ドコッ!
3人の少年が一回り身体の小さな少年を押さえつけ、一方的に殴る蹴るの暴行を加えている。体の大きな少年がリーダーなのか拳を振り上げ怒鳴り散らしながら殴っている。
シャウラと俺が顔を見合わせる。
「何とかしよう」
「ああ、分かってる」
そして体の大きな少年がまた拳を振り上げ殴りかかる。
俺は一瞬で少年の間合いに入りその少年の手首を掴む。
「そんな風に一人の人間を寄ってたかって、痛めつけてたらスタンツみたいになっちまうぞ!」
俺がそういうと体の大きな少年は手を引いて
「っち邪魔が入りやがった。いくぞ!」
押さえつけていた少年たちに声を掛け、どこかに行ってしまった。
シャウラがやられていた少年に声を掛ける。
「君、大丈夫」
少年のうずくまり、腹を押さえている。
「いてて…余計なことをしやがって俺一人でなんとかできたって」
シャウラはなだめるように話しかける。
「まあまあ、強がってもいいことないよ」
「強がってなんかないやい!」
シャウラは両肩を上げ参ったというようなジェスチャーを俺にする。
「それぐらいの減らず口が叩けるなら大丈夫だね」
そういってその場を去ろうとするとその少年が俺を見て話しかけてくる。
「まさか…あんたはあの貧民街でドンパチやってた奴じゃないか」
「へ?俺の事?」
「あんた以外にいないだろうが!」
「ま、まあやっていなくはないかなぁハハハ…」
「あんたの腕を見込んで頼みがある…俺を弟子にしてくれ」
デシ?なんのことだ?デシねぇ出汁ならしっているが…デシねぇ
俺が唖然としていると
「ごめんね僕たちまだ学生なんだ弟子は取らないよ」
シャウラが見かねて会話に入ってくる。
「あんたにゃ聞いてねぇよ。おれはそっちのあんちゃんに聞いてんだ!」
シャウラが耳打ちをしてくる。
「どうするの?こういうのはきっぱりと断ったほうがいいよ」
するとその少年はふと暗い顔をして
「1週間後のちびっこ剣術大会まででいいんだ…それまでの間、俺に剣術を教えてくれ」
俺がシャウラに小声で話しかける。
「なんだそのちびっこ剣術大会って」
「そっかラグウェルは知らなくても無理ないか…10歳から13歳までの少年を対象にした剣術大会さ、この剣術大会で見込みありってなると騎士学校に入ることが許されるんだ」
「へぇぇそんなのがあるんだな」
少年は俯いたまま話を続ける。
「うちの父ちゃん腕のいい庭師だったんけど…とある事件でクビにされたんだ」
シャウラがそれ聞いてピンときたようで
「そっか、それで騎士学校に入って騎士になることを目指すってわけか」
「うん。俺は騎士になって父ちゃんと母ちゃんを楽にさせてクビにした貴族を見返してやるんだ」
シャウラは目を輝かせ
「そっか…よし!ラグウェルは今から君の師匠だ」
俺はそれを聞いて唖然としている。
「え?俺、返事してないけど」
「親思いのいい子じゃないか…この子に協力するのは僕ら義務だよ」
「まあいいけど…そもそもの原因はこの子の父ちゃんが何かしたせいなんじゃないの?」
それを聞いた少年は暗い口調で呟く。
「うちの父ちゃんは嵌められたんだ」
「嵌められた?」
「そう、うちの父ちゃんはさっきいたガタイのいい奴のところで働いてたんだ。ある日庭の草が全部枯れて…あの野郎がいたずらで除草剤を撒いたんだ…それなのにあいつの親は父ちゃんのせいにして」
少年はその瞳に涙を溜めている。
「それにちびっこ剣術大会にはさっきの奴らも出るんだ…だから俺はあいらを見返したくて…」
「分かったよ…でも1週間か…おまえは剣はどれぐらいの腕前なの?ちょっと試していいか?」
少年は首を横に振る。
「貧民街で育った連中が剣術なんて習ってるわけないだろ」
「え?剣を持ったこともなし?」
少年は腕を組み胸を張り答える。
「自慢じゃねぇが生まれてこの方、剣なんてもん握ったこともねぇぇよ」
俺は頭を抱え少年に話しかける。
「それで優勝を目指すつもりだったのか?」
相変わらず少年は自信満々で
「俺はこう見えても運動神経はいいんだ」
シャウラが耳打ちをする。
「相手も同じような子供だから君が教えれば大丈夫だって」
そっか…ちびっこ剣術大会だもんな…相手もちびっこか
「俺も人に教えるの初めてだけど…やるからには勝ちに行くぞ!」
「もちろん!優勝する!!」
俺は少年に右手を出し
「分かった。俺はラグウェル・アルタイルよろしく頼むよ」
「俺は、パックだ。パック・ゴーシュ」
2人で握手を交わしパックと俺は1週間の期限付きで師弟関係となった。
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