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第2章 騎士学校
第49話 俺が剣聖を目指す理由
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あの後、ライコフ家は八百長の件で、小さな領地も失い貧乏貴族に成り果てる結果となった。そんな事も関係なく俺達の日常は相変わらず続いていた。
学校に行く前、寮にマーフとシャウラが毎朝迎えに来るのだがこの日マーフの姿は見えなかった。
「なんか聞いている?」
シャウラに尋ねてみてたが
「いや、なんにも聞いてない」
「そっかー体調でも悪いのかな」
「そうかもしれないね」
次の日も、そしてその次の日もあいつは学校に姿を見せなかった。
そんなことは一度もなかったのでシャウラが心配したような口ぶりで話す。
「家にでも行ってみる?」
「んー大丈夫だろ。明日には来るさ」
そして次の日もあいつは現れなかった。
真剣な顔をしたシャウラが俺の方を見つめ
「さすがにおかしいよ」
「ああ…今日家にでもいってみるか…」
学校に行くと、教師のロンドが教壇に立ちいつも変わらない口調でさらっと話す。
「アリステルだが家の都合で今日で学校を辞めることになった」
俺とシャウラは顔を見合わせる。
他の連中は特に関心を示すものもいない。学校を辞めるやつは割と多くいるため、他の連中はまたかという感じであるのだ。
シャウラに確認をしてみる。
「あいつなんか言ってたか?」
鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしているシャウラ
「な、なにも聞いてないよ…」
「そうか…」
「とりあえず授業が終わったら先生に聞いてみようよ」
俺は黙って頷いた。
授業が終わり、教壇にいるロンドの元へ行き話しかける。
「マーフ・アリステルのことなんだけど」
「お前ら何も聞いてないのか?」
シャウラと俺はコクリと頷く。
「アリステルは婚約するらしい」
「え?」
俺は頭の中が真っ白になる。婚約?あいつが?まさか…
シャウラが慌てたように聞く。
「あ、相手は誰なんです?」
「今日、校長に挨拶に来るらしいから聞いてみればいい」
そういってロンドは教室を後にする。
「ラグウェル…どうするの?」
俺を真っ直ぐに見つめシャウラが口を開いた。
「別に…どうでもいいよ。俺には関係ない」
「そう…でも」
シャウラはそう言って話しかけた言葉を飲み込んだ。
昼休みにいつものように中庭の木陰で横になり目を閉じる。脳裏のよぎるのはマーフのことだ。なんでそんな大事なことを言わなかったんだろう…あいつ剣聖になるとかいってたのに諦めたのか。考えていると胸がモヤモヤしやりきれない気持ちになる。
「ラグウェル!」
いつもの声が聞こえる。
目を開くと髪を後ろにまとめ薄っすらと化粧をしあの時と同じピンクのドレスを着たマーフの姿があった。
「…」
俺はなぜか掛ける言葉が出てこない。その場に気まずい雰囲気が流れる。その雰囲気に耐えきれなくなったのかシャウラが口を開いた。
「聞いたよ。婚約するんだって」
マーフはちらりと俺を見て
「ええ…」
「お相手は?」
「セネバ第2王子」
「えええ!」
第2王子は眉目秀麗、文武両道な人物として名をはせているらしい。
俺は立ち上がり、マーフから背を向けて
「お前はそれでいいのかよ?剣聖を目指してたんじゃねーの?」
「うん…そうだったけど。私の才能じゃ剣聖は無理って諦めたの。多分あなた達に会うのもこれが最後だわ。2年間花嫁修業だってさ…」
「ふーんあっそ」
胸に湧き上がるモヤモヤとした感じを抑えつけ、そのままその場を後にした。
タッタッタッタと俺を追いかけるように走る音が聞こえる。そのままその音は俺の後ろきて肩を掴まれる。
振り返るとシャウラが息を切らしている。
「君はそれでいいの?!!」
「それでいいって?」
「マーフのことだよ!!」
「あいつは王子様と結婚して幸せに暮らしましたとさってことだろ?」
シャウラは拳を握り殴りかかってくる。俺は反射的にそれを避ける。バランスを崩しよろけたシャウラはこっちを見て叫ぶ。
「友達の…友情の一発を避けるなバカ!!」
シャウラは目に涙をためている。
「君はマーフの気持ちを考えたのか?彼女は王子なんかと結婚したいって思ってるわけじゃない!!君だって分かってるだろ!!」
あいつの気持ち…
「君は彼女のことをどう思ってるんだ」
あいつのことをどう思う…
「行けよ!まだ学校でてすぐだ。君の足で走れば追いつく」
シャウラに背中を押され、俺は全速力で走り出す。校門を抜け真っ直ぐに走る。
アリステル家の馬車の後ろ姿が見える。
スッと馬車が止まり、扉が開く。
ピンクのドレスを纏ったマーフがスカートの裾を踏まないようにふわっと持ち上げて降りてきて俺の前に立つ。
全力で走って来たため息があがる。
「はぁはぁはぁ間に合った…」
「何の用事かしら?」
俺は真っ直ぐにマーフの大きな瞳を見つめ口を開く。
「俺はお前に辞めて欲しくない!学校も剣聖を目指すのも!」
少し困った顔して
「もう無理よ…決まってしまったことだしね。それに第2王子は格好いいしとてもいい人よ。どこかの誰かさんと違って」
「お前の気持ちはどうなんだ」
俯いて目を閉じたマーフは震えながら叫ぶ。
「私だってあんたと一緒にいたいわよ!!!」
「だったらなんで!」
少し冷静になったのかマーフは顔をあげ、俺の顔をみながら涙を貯めた大きな瞳でポツリポツリと話し出す。
「私はね…少し前までは普通の女の子だったの…ある日、兄が死んで叔父が私の家の家督を継ぐことになったわ。私が剣聖を目指した理由…それは叔父から家督を奪い返すということ」
「そしたら剣聖を目指せよ!」
「でも、あなたに出会って…剣聖にふさわしいのはあんただって…」
「俺は剣聖にはならない…それだったら」
「そんなのは剣聖じゃないわよ…この国で一番強いものがなるのが剣聖…それに…私はあなたとこれ以上一緒にいると…」
マーフは言葉に詰まり、目に貯めた涙を拭う。そして…
「ラグウェル…私はあんたのことが好き。でも私は貴族だからあなたと一緒にはいられない…これ以上一緒にいると自分の気持を抑えられなくなる…だからもうこれでお別れ」
俺は掛ける言葉が出てこない。この少女に掛ける言葉がでてこない…
「ラグウェル…最後にお願いしてもいいかしら?」
俺は頷く。
「最後に…最後に私を抱きしめて欲しい…」
「…分かった…」
マーフの華奢な体が俺の胸に飛び込んでくる。腕を背中に回す。そして俺の腕の中でマーフが呟く。
「…ありがとう…」
「元気でな」
「うん…」
俺の体を離れ、マーフは馬車乗りこむ。そして俺に声を掛ける。
「私の代わりに必ず剣聖になりなさいよ!」
「ああ、任せとけ」
馬車はスーッと走り出して行った。
学校に行く前、寮にマーフとシャウラが毎朝迎えに来るのだがこの日マーフの姿は見えなかった。
「なんか聞いている?」
シャウラに尋ねてみてたが
「いや、なんにも聞いてない」
「そっかー体調でも悪いのかな」
「そうかもしれないね」
次の日も、そしてその次の日もあいつは学校に姿を見せなかった。
そんなことは一度もなかったのでシャウラが心配したような口ぶりで話す。
「家にでも行ってみる?」
「んー大丈夫だろ。明日には来るさ」
そして次の日もあいつは現れなかった。
真剣な顔をしたシャウラが俺の方を見つめ
「さすがにおかしいよ」
「ああ…今日家にでもいってみるか…」
学校に行くと、教師のロンドが教壇に立ちいつも変わらない口調でさらっと話す。
「アリステルだが家の都合で今日で学校を辞めることになった」
俺とシャウラは顔を見合わせる。
他の連中は特に関心を示すものもいない。学校を辞めるやつは割と多くいるため、他の連中はまたかという感じであるのだ。
シャウラに確認をしてみる。
「あいつなんか言ってたか?」
鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしているシャウラ
「な、なにも聞いてないよ…」
「そうか…」
「とりあえず授業が終わったら先生に聞いてみようよ」
俺は黙って頷いた。
授業が終わり、教壇にいるロンドの元へ行き話しかける。
「マーフ・アリステルのことなんだけど」
「お前ら何も聞いてないのか?」
シャウラと俺はコクリと頷く。
「アリステルは婚約するらしい」
「え?」
俺は頭の中が真っ白になる。婚約?あいつが?まさか…
シャウラが慌てたように聞く。
「あ、相手は誰なんです?」
「今日、校長に挨拶に来るらしいから聞いてみればいい」
そういってロンドは教室を後にする。
「ラグウェル…どうするの?」
俺を真っ直ぐに見つめシャウラが口を開いた。
「別に…どうでもいいよ。俺には関係ない」
「そう…でも」
シャウラはそう言って話しかけた言葉を飲み込んだ。
昼休みにいつものように中庭の木陰で横になり目を閉じる。脳裏のよぎるのはマーフのことだ。なんでそんな大事なことを言わなかったんだろう…あいつ剣聖になるとかいってたのに諦めたのか。考えていると胸がモヤモヤしやりきれない気持ちになる。
「ラグウェル!」
いつもの声が聞こえる。
目を開くと髪を後ろにまとめ薄っすらと化粧をしあの時と同じピンクのドレスを着たマーフの姿があった。
「…」
俺はなぜか掛ける言葉が出てこない。その場に気まずい雰囲気が流れる。その雰囲気に耐えきれなくなったのかシャウラが口を開いた。
「聞いたよ。婚約するんだって」
マーフはちらりと俺を見て
「ええ…」
「お相手は?」
「セネバ第2王子」
「えええ!」
第2王子は眉目秀麗、文武両道な人物として名をはせているらしい。
俺は立ち上がり、マーフから背を向けて
「お前はそれでいいのかよ?剣聖を目指してたんじゃねーの?」
「うん…そうだったけど。私の才能じゃ剣聖は無理って諦めたの。多分あなた達に会うのもこれが最後だわ。2年間花嫁修業だってさ…」
「ふーんあっそ」
胸に湧き上がるモヤモヤとした感じを抑えつけ、そのままその場を後にした。
タッタッタッタと俺を追いかけるように走る音が聞こえる。そのままその音は俺の後ろきて肩を掴まれる。
振り返るとシャウラが息を切らしている。
「君はそれでいいの?!!」
「それでいいって?」
「マーフのことだよ!!」
「あいつは王子様と結婚して幸せに暮らしましたとさってことだろ?」
シャウラは拳を握り殴りかかってくる。俺は反射的にそれを避ける。バランスを崩しよろけたシャウラはこっちを見て叫ぶ。
「友達の…友情の一発を避けるなバカ!!」
シャウラは目に涙をためている。
「君はマーフの気持ちを考えたのか?彼女は王子なんかと結婚したいって思ってるわけじゃない!!君だって分かってるだろ!!」
あいつの気持ち…
「君は彼女のことをどう思ってるんだ」
あいつのことをどう思う…
「行けよ!まだ学校でてすぐだ。君の足で走れば追いつく」
シャウラに背中を押され、俺は全速力で走り出す。校門を抜け真っ直ぐに走る。
アリステル家の馬車の後ろ姿が見える。
スッと馬車が止まり、扉が開く。
ピンクのドレスを纏ったマーフがスカートの裾を踏まないようにふわっと持ち上げて降りてきて俺の前に立つ。
全力で走って来たため息があがる。
「はぁはぁはぁ間に合った…」
「何の用事かしら?」
俺は真っ直ぐにマーフの大きな瞳を見つめ口を開く。
「俺はお前に辞めて欲しくない!学校も剣聖を目指すのも!」
少し困った顔して
「もう無理よ…決まってしまったことだしね。それに第2王子は格好いいしとてもいい人よ。どこかの誰かさんと違って」
「お前の気持ちはどうなんだ」
俯いて目を閉じたマーフは震えながら叫ぶ。
「私だってあんたと一緒にいたいわよ!!!」
「だったらなんで!」
少し冷静になったのかマーフは顔をあげ、俺の顔をみながら涙を貯めた大きな瞳でポツリポツリと話し出す。
「私はね…少し前までは普通の女の子だったの…ある日、兄が死んで叔父が私の家の家督を継ぐことになったわ。私が剣聖を目指した理由…それは叔父から家督を奪い返すということ」
「そしたら剣聖を目指せよ!」
「でも、あなたに出会って…剣聖にふさわしいのはあんただって…」
「俺は剣聖にはならない…それだったら」
「そんなのは剣聖じゃないわよ…この国で一番強いものがなるのが剣聖…それに…私はあなたとこれ以上一緒にいると…」
マーフは言葉に詰まり、目に貯めた涙を拭う。そして…
「ラグウェル…私はあんたのことが好き。でも私は貴族だからあなたと一緒にはいられない…これ以上一緒にいると自分の気持を抑えられなくなる…だからもうこれでお別れ」
俺は掛ける言葉が出てこない。この少女に掛ける言葉がでてこない…
「ラグウェル…最後にお願いしてもいいかしら?」
俺は頷く。
「最後に…最後に私を抱きしめて欲しい…」
「…分かった…」
マーフの華奢な体が俺の胸に飛び込んでくる。腕を背中に回す。そして俺の腕の中でマーフが呟く。
「…ありがとう…」
「元気でな」
「うん…」
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