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第3章 鴉
第54話 祖人
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衝撃の儀式を終え、俺たち新人は焚き火を前に暖を取っている。
「すまねぇな。これがここの伝統でな」
そこに白髭のガタイの良い男がやってきて話し始める。
「ここはみな常に緊張しているからな。新人の歓迎も兼ねた息抜きの儀式なんだ。私はここウィンタール防衛部隊隊長のアンガスだ。みなよろしく頼むぞ」
それまでゆったりと暖をとっていた俺たちであったが、アンガスが現れると同時に背筋を伸ばす。
「ラグウェル・アルタイルはいるか?」
「はい」
「少し用事がある。ついてきてくれ」
俺は隊長に付いて行く。
「本部での君の噂は聞いているよ」
「ありがとうございます」
「君のような人材が我がウィンタールに来てくれて有り難い」
「いえ…」
少しの世間話をしながら城の中を歩いていく。
ウィンタールの城は城というよりも要塞といった感じで、装飾品は全くといっていいほど無い。俺と隊長はむき出しの石で作られた廊下を歩いていく。そして隊長が部屋の前で止まり、ドアを開く。
「ここが私の部屋だ」
そういって隊長が扉を開ける。暖炉が煌々と火が灯り、室温は外套が必要でない程の暖かさになっている。そのため隊長は真っ黒な毛皮のついた外套を脱ぎ、扉の脇にあるスタンドに掛け、部屋の奥に置かれた机の椅子に腰掛ける。俺が机の前に立つ。
部屋の扉がノックされ、ガチャっと扉が開く。そこには真っ黒な長い髪をポニーテルにした副長のリリカの姿があり部屋の中に入ってきて俺の横に立つ。そして隊長が口を開く。
「ラグウェル君、知っているだろうが副長のリリカだ。君は彼女の元で働いてもらう。」
「はい!」
リリカはその表情を変えず、
「馬車の中で自己紹介はすんでいる。早速だが付いてこい」
そういうとそそくさと隊長の部屋を後にする。
カツカツと石畳を黒いブーツで歩くリリカの後ろを俺は付いていく。
そして中庭を抜け、馬小屋に付くとアルクとバルジが馬の背に荷物を積んでいる。
「じゃあおまえの荷物はこれな」
大きな麻袋ををアルクが俺に投げてくる。それを受け取るとずっしりと重い。
「その荷物を馬に結わえとけ」
アルクに言われるがまま、受け取った荷物を馬に結わえる。
「副長、準備できました」
「よし」
そういうと3人はそれぞれの馬を曳いて歩き出す。
「お前も一緒に来るんだよ」
アルクにそう言われ俺も馬に跨る。
ん?どこに行くんだ?荷物の中は1週間分程度の食料のような感じである。嫌な予感しかしない…
俺は3人の後を付いていく。
先頭を行く副長が壁の前に立ち、手を上げる。壁の前にある櫓から鐘が鳴り、その櫓から伸びる鎖が櫓の方に引っ張られ始める。すると地面に下になだらかに降りることができる大きな穴が現れる。
そしてその穴の中に入ろうとしていく。
「ちょっと待ってください。俺は一体どこに連れて行かれるんです?」
「え?副長なんもいってないんすか?」
アルクが驚きの声を挙げる。
「付いてくれば分かる。説明不要だ」
そういって先頭を切って行ってしまった。
アルクは少し苛立ったように頭を掻きながら
「あーもう!!俺が説明するわ…俺たちは今から壁の向こう側。つまり祖人の領域に入る」
「え?」
「偵察みたいなもんだ。大体1週間ほど掛けて祖人の動向を探るってわけ」
「なるほど…」
「まあ来てそうそう悪いが、あいつらに怪しい動きがあるって前任の偵察者から報告があってな、それで俺たちが引き継いて監視を行うってわけ」
「分かりました…」
トンネルを真っ直ぐに進んで行き、トンネルを抜ける。背後には頂上に雲が掛かる程の大きな壁があり、ドドドドという音とともに跳ね上げられていたトンネルの扉が降りてきて蓋をする。
「これで戻れなくなったな」
アルクがそう言って笑う。
リリカは表情を変えず、俺の方を見て口を開く。
「気を引き締めろ!これからは何があるかわからん土地だ」
「はい!」
「少しでも変わったことを見つけたら報告しろ」
「分かりました」
俺たちは周囲を伺いながら、進んでいく。真っ黒な服が白い雪にまみれになる。
2時間ほど歩くが岩山と雪しかなく、方向感覚がおかしくなりそうになる。まるであの生者の森に入っていったような感覚にすら陥る。
近くの岩山で少し影が動いたような気がした。するとリリカたちは歩みを止め、武器を構える。
リリカが叫ぶ!
「来るぞ!!」
ブビューンという強く空気を切る音が聞こえる。それをリリカは剣で真っ二つにする。手で投げる槍のような形状のものが真ん中で二つに別れリリカの足元に転がる。
「うおおおおおおおお」
雄叫びが雪原をこだまする。
岩山から4人ほどの人の形をしたものが飛び出てきて、こちらに一直線に走ってくる。
アルクがヤレヤレといった感じ呟く。
「早速おいでなすなった」
その人の形をしたものは手にそれぞれ斧や槍などの武器を持っているのが見える。
「一匹たりとも逃がすなよ!」
リリカはそう叫ぶと一人目の首を撥ねた。
ガキーン
俺は飛びかかってきた奴の斧の一撃を剣で受け止める。一瞬ぐっと剣が沈み力負けしそうになる。
重い…なんだこの重さ人間の力ではない?
おれはそいつの腹を蹴り、後ろに一旦下がる。
まさかこれが祖人?顔は犬歯がやたらと大きく、噛み付くだけでも人に致命傷を与えられるような大きさで、毛皮の服越しでも分かる筋肉質な体つきで獣のようにしなやかな動きを見せる。
アルクも普段のような軽薄さはなくその顔は真剣で無駄口を叩かず戦っている。
あいつがもう一度飛びかろうとしたその瞬間、胸から剣先が現れる。そしてそのままそいつは血を吹き出しながら雪山の上に倒れこむ。そしてその背後から少し怒りの表情を見せたリリカが俺を見て口を開く。
「ぼーっとするな!すぐに殺せ」
アルクたちも副長が俺の相手を殺したとほぼ同時に倒している。
リリカはそれを確認し剣を鞘に納めながら話を続ける。
「次は自分で殺せ」
「はい…ありがとうございます…」
「これが祖人だ」
これが祖人…まるで人の形をした獣…
「すまねぇな。これがここの伝統でな」
そこに白髭のガタイの良い男がやってきて話し始める。
「ここはみな常に緊張しているからな。新人の歓迎も兼ねた息抜きの儀式なんだ。私はここウィンタール防衛部隊隊長のアンガスだ。みなよろしく頼むぞ」
それまでゆったりと暖をとっていた俺たちであったが、アンガスが現れると同時に背筋を伸ばす。
「ラグウェル・アルタイルはいるか?」
「はい」
「少し用事がある。ついてきてくれ」
俺は隊長に付いて行く。
「本部での君の噂は聞いているよ」
「ありがとうございます」
「君のような人材が我がウィンタールに来てくれて有り難い」
「いえ…」
少しの世間話をしながら城の中を歩いていく。
ウィンタールの城は城というよりも要塞といった感じで、装飾品は全くといっていいほど無い。俺と隊長はむき出しの石で作られた廊下を歩いていく。そして隊長が部屋の前で止まり、ドアを開く。
「ここが私の部屋だ」
そういって隊長が扉を開ける。暖炉が煌々と火が灯り、室温は外套が必要でない程の暖かさになっている。そのため隊長は真っ黒な毛皮のついた外套を脱ぎ、扉の脇にあるスタンドに掛け、部屋の奥に置かれた机の椅子に腰掛ける。俺が机の前に立つ。
部屋の扉がノックされ、ガチャっと扉が開く。そこには真っ黒な長い髪をポニーテルにした副長のリリカの姿があり部屋の中に入ってきて俺の横に立つ。そして隊長が口を開く。
「ラグウェル君、知っているだろうが副長のリリカだ。君は彼女の元で働いてもらう。」
「はい!」
リリカはその表情を変えず、
「馬車の中で自己紹介はすんでいる。早速だが付いてこい」
そういうとそそくさと隊長の部屋を後にする。
カツカツと石畳を黒いブーツで歩くリリカの後ろを俺は付いていく。
そして中庭を抜け、馬小屋に付くとアルクとバルジが馬の背に荷物を積んでいる。
「じゃあおまえの荷物はこれな」
大きな麻袋ををアルクが俺に投げてくる。それを受け取るとずっしりと重い。
「その荷物を馬に結わえとけ」
アルクに言われるがまま、受け取った荷物を馬に結わえる。
「副長、準備できました」
「よし」
そういうと3人はそれぞれの馬を曳いて歩き出す。
「お前も一緒に来るんだよ」
アルクにそう言われ俺も馬に跨る。
ん?どこに行くんだ?荷物の中は1週間分程度の食料のような感じである。嫌な予感しかしない…
俺は3人の後を付いていく。
先頭を行く副長が壁の前に立ち、手を上げる。壁の前にある櫓から鐘が鳴り、その櫓から伸びる鎖が櫓の方に引っ張られ始める。すると地面に下になだらかに降りることができる大きな穴が現れる。
そしてその穴の中に入ろうとしていく。
「ちょっと待ってください。俺は一体どこに連れて行かれるんです?」
「え?副長なんもいってないんすか?」
アルクが驚きの声を挙げる。
「付いてくれば分かる。説明不要だ」
そういって先頭を切って行ってしまった。
アルクは少し苛立ったように頭を掻きながら
「あーもう!!俺が説明するわ…俺たちは今から壁の向こう側。つまり祖人の領域に入る」
「え?」
「偵察みたいなもんだ。大体1週間ほど掛けて祖人の動向を探るってわけ」
「なるほど…」
「まあ来てそうそう悪いが、あいつらに怪しい動きがあるって前任の偵察者から報告があってな、それで俺たちが引き継いて監視を行うってわけ」
「分かりました…」
トンネルを真っ直ぐに進んで行き、トンネルを抜ける。背後には頂上に雲が掛かる程の大きな壁があり、ドドドドという音とともに跳ね上げられていたトンネルの扉が降りてきて蓋をする。
「これで戻れなくなったな」
アルクがそう言って笑う。
リリカは表情を変えず、俺の方を見て口を開く。
「気を引き締めろ!これからは何があるかわからん土地だ」
「はい!」
「少しでも変わったことを見つけたら報告しろ」
「分かりました」
俺たちは周囲を伺いながら、進んでいく。真っ黒な服が白い雪にまみれになる。
2時間ほど歩くが岩山と雪しかなく、方向感覚がおかしくなりそうになる。まるであの生者の森に入っていったような感覚にすら陥る。
近くの岩山で少し影が動いたような気がした。するとリリカたちは歩みを止め、武器を構える。
リリカが叫ぶ!
「来るぞ!!」
ブビューンという強く空気を切る音が聞こえる。それをリリカは剣で真っ二つにする。手で投げる槍のような形状のものが真ん中で二つに別れリリカの足元に転がる。
「うおおおおおおおお」
雄叫びが雪原をこだまする。
岩山から4人ほどの人の形をしたものが飛び出てきて、こちらに一直線に走ってくる。
アルクがヤレヤレといった感じ呟く。
「早速おいでなすなった」
その人の形をしたものは手にそれぞれ斧や槍などの武器を持っているのが見える。
「一匹たりとも逃がすなよ!」
リリカはそう叫ぶと一人目の首を撥ねた。
ガキーン
俺は飛びかかってきた奴の斧の一撃を剣で受け止める。一瞬ぐっと剣が沈み力負けしそうになる。
重い…なんだこの重さ人間の力ではない?
おれはそいつの腹を蹴り、後ろに一旦下がる。
まさかこれが祖人?顔は犬歯がやたらと大きく、噛み付くだけでも人に致命傷を与えられるような大きさで、毛皮の服越しでも分かる筋肉質な体つきで獣のようにしなやかな動きを見せる。
アルクも普段のような軽薄さはなくその顔は真剣で無駄口を叩かず戦っている。
あいつがもう一度飛びかろうとしたその瞬間、胸から剣先が現れる。そしてそのままそいつは血を吹き出しながら雪山の上に倒れこむ。そしてその背後から少し怒りの表情を見せたリリカが俺を見て口を開く。
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