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第3章 鴉
第68話 頂上からの脱出
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エリックを襲った全身毛皮が飛び上がり手に持った斧で斬りつけてくる。
剣を抜きそれを受ける。ズシリと重い衝撃に俺は確信得る。この1年間何度か戦ってきた人間離れした力。
こいつらは祖人だ!
しかしどうやって?群れの統合には失敗したと聞いていた…しかもいくら祖人とはいえあの前も見えない嵐の中で壁を登ってやってくるとは…
そんなことを考えているとジリジリと力負けしそうになる。
とにかく目の前にいるのは祖人!ここでなんとかしないと!!
「うおおおおお!!」
斧を弾き飛ばし、そのまま胸に剣を突き立てる。
全身毛皮の祖人は口から血を吐きながら、前のめりに倒れる。
その死体を見る間もなく次々と登ってくる祖人が俺に襲いかかってくる。
カンカンカンと非常事態を知らせる鐘の音が控室がある方向から聞こえてくる。その鐘の音で祖人が登ってきているのがここだけではなく、壁全体を祖人達が登ってきているということを知る。
とにかく今の俺にできることは剣を振るって祖人を通さないこと!そして生き残ること!
壁の中央部分、控室のある辺りでボーッと火が上がるのが見えた。
あの辺りは油を詰めた樽を積み上げていた場所。
もう無理だと思った仲間が火を放ったのか、それとも…
火が上がると同時に控室からの鐘の音は鳴り止む。遠くから、いや壁の下から鐘が鳴っているのが聞こえてくる。
とにかく、とにかく目の前の祖人をなんとかしなくては…
斬っても、斬っても祖人達は壁を登って現れる、そして俺の足元には十数人の動かなくなった祖人がいる。それでも次から次へと襲いかかってくる。
「はぁはぁくそっ!キリがない!」
息を整える暇も無く祖人達が壁を乗り越えてやってくる。
だめだ…このままではジリ貧になる。壁の下に降りなくては…
平時、壁の下に降りる方法は2つ…籠を使う方法と壁に打ち付けられた梯子で降りる方法…
だめだ…この二つの方法で降りることは恐らくできないはず。
降りることが出来るということは登ることも出来るということ、真っ先に潰すはずだ…
炎に揺れる中央部に目をやると、籠があった場所はめちゃくちゃに壊されているのが見え、壁に打ち付けられた金属製の梯子は、槍を持った祖人達で囲まれている。
壁際の祖人たちは縄を使い壁を降り始めているのが見えた。
あの縄を使うか?でもどうやって?
ビュン!
不意をついて現れた石斧。それを上体を反らしかわす。斧が鼻先をかすめていく。斧が振るわれたところを剣で横に薙ぐ、首の1/3ほどを斬られた祖人が、喉から血を吹き出しながらヨロヨロと歩き姿が見えなくなる。
祖人達に取り囲まれる。どこかになんとかできる糸口はないか…どこかに…
あれは!
もうこの手しかない。この場を抜け出す為のたった一つのやり方…こうなったら一か八か…やるしかない。
壁のウィンタール側の祖人に斬りかかる、祖人はそれを斧の柄の部分で受け止める。そして俺はそのまま瞬間的に力を込めて祖人を押す。
押された祖人は瞬間的に押されたことにより、後ろにヨロめく。俺はそのまま力の限り押し込む。
不意に押している祖人が目の前から消え、行き場の無くなった推進力は俺の体を真っ直ぐに進ませ、体が宙に投げ出される。
そうそれはエリックが落ちた石垣に穴が開いている部分。
もうこの方法しかこの場を脱出する手段は無かった。
自由落下していく体。
落ちていく数メートル先に、剣が入り込みそうな隙間を見つけそこに剣を思いっきり刺す。
普通の鋼で作られた剣で有れば、曲がり折れていただろう。しかしこの剣は失われた技術で作られたシリウス鋼。
剣は岩を積み上げられて作られた、隙間に入り込んみ体の自由落下が止まり、右腕に体重の数倍の重さが掛かる。
「ぐっ!」
思わず声が漏れる。
歯を食いしばり、右腕に掛かる重さに耐える。
なんとか耐えることができ、壁の途中で剣にぶら下がるような体勢になり、周囲を見渡す。
壁の1/3程落ちており、近くに縄で降りている祖人はいない。下をみると松明の明かりが右往左往しているのが見えた。
剣を抜きそれを受ける。ズシリと重い衝撃に俺は確信得る。この1年間何度か戦ってきた人間離れした力。
こいつらは祖人だ!
しかしどうやって?群れの統合には失敗したと聞いていた…しかもいくら祖人とはいえあの前も見えない嵐の中で壁を登ってやってくるとは…
そんなことを考えているとジリジリと力負けしそうになる。
とにかく目の前にいるのは祖人!ここでなんとかしないと!!
「うおおおおお!!」
斧を弾き飛ばし、そのまま胸に剣を突き立てる。
全身毛皮の祖人は口から血を吐きながら、前のめりに倒れる。
その死体を見る間もなく次々と登ってくる祖人が俺に襲いかかってくる。
カンカンカンと非常事態を知らせる鐘の音が控室がある方向から聞こえてくる。その鐘の音で祖人が登ってきているのがここだけではなく、壁全体を祖人達が登ってきているということを知る。
とにかく今の俺にできることは剣を振るって祖人を通さないこと!そして生き残ること!
壁の中央部分、控室のある辺りでボーッと火が上がるのが見えた。
あの辺りは油を詰めた樽を積み上げていた場所。
もう無理だと思った仲間が火を放ったのか、それとも…
火が上がると同時に控室からの鐘の音は鳴り止む。遠くから、いや壁の下から鐘が鳴っているのが聞こえてくる。
とにかく、とにかく目の前の祖人をなんとかしなくては…
斬っても、斬っても祖人達は壁を登って現れる、そして俺の足元には十数人の動かなくなった祖人がいる。それでも次から次へと襲いかかってくる。
「はぁはぁくそっ!キリがない!」
息を整える暇も無く祖人達が壁を乗り越えてやってくる。
だめだ…このままではジリ貧になる。壁の下に降りなくては…
平時、壁の下に降りる方法は2つ…籠を使う方法と壁に打ち付けられた梯子で降りる方法…
だめだ…この二つの方法で降りることは恐らくできないはず。
降りることが出来るということは登ることも出来るということ、真っ先に潰すはずだ…
炎に揺れる中央部に目をやると、籠があった場所はめちゃくちゃに壊されているのが見え、壁に打ち付けられた金属製の梯子は、槍を持った祖人達で囲まれている。
壁際の祖人たちは縄を使い壁を降り始めているのが見えた。
あの縄を使うか?でもどうやって?
ビュン!
不意をついて現れた石斧。それを上体を反らしかわす。斧が鼻先をかすめていく。斧が振るわれたところを剣で横に薙ぐ、首の1/3ほどを斬られた祖人が、喉から血を吹き出しながらヨロヨロと歩き姿が見えなくなる。
祖人達に取り囲まれる。どこかになんとかできる糸口はないか…どこかに…
あれは!
もうこの手しかない。この場を抜け出す為のたった一つのやり方…こうなったら一か八か…やるしかない。
壁のウィンタール側の祖人に斬りかかる、祖人はそれを斧の柄の部分で受け止める。そして俺はそのまま瞬間的に力を込めて祖人を押す。
押された祖人は瞬間的に押されたことにより、後ろにヨロめく。俺はそのまま力の限り押し込む。
不意に押している祖人が目の前から消え、行き場の無くなった推進力は俺の体を真っ直ぐに進ませ、体が宙に投げ出される。
そうそれはエリックが落ちた石垣に穴が開いている部分。
もうこの方法しかこの場を脱出する手段は無かった。
自由落下していく体。
落ちていく数メートル先に、剣が入り込みそうな隙間を見つけそこに剣を思いっきり刺す。
普通の鋼で作られた剣で有れば、曲がり折れていただろう。しかしこの剣は失われた技術で作られたシリウス鋼。
剣は岩を積み上げられて作られた、隙間に入り込んみ体の自由落下が止まり、右腕に体重の数倍の重さが掛かる。
「ぐっ!」
思わず声が漏れる。
歯を食いしばり、右腕に掛かる重さに耐える。
なんとか耐えることができ、壁の途中で剣にぶら下がるような体勢になり、周囲を見渡す。
壁の1/3程落ちており、近くに縄で降りている祖人はいない。下をみると松明の明かりが右往左往しているのが見えた。
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