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第4章 21代目の剣聖
第83話 最強の剣士
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いっちょ前の騎士となった今、俺には一人部屋が与えられている。
まあ一人部屋といってもベッドと本棚がしかない殺風景な部屋だが。
ベッドに横になりながら天井を見て一人呟く。
「剣聖か……」
俺が剣聖になる……国の象徴になる剣士……
確かにアルファルドの言う通り、この国の負の部分も沢山見てきた。貴族達が幅を効かせ我が物顔で闊歩し、罪すら受けることがない。
そんな国を少しでも変えようとしてきたのがレグルスだ……いくら相手の指名とはいえそんな人間に俺みたいな人間が挑んでいいのか?
本気のレグルスと戦えるチャンス……確かに本気のレグルスと戦ってみたい。この国最強の剣士と……
「あああああ! もう!どうすりゃいいんだ!!!!」
ドン!
寮の壁を叩く音がする。
「うるせー!!」
俺は小声で
「……すみません」
と謝っておいた。当然聞こえるような声ではない。
――翌日
「ふぁぁぁぁ」
布団なかで大きなアクビをつく俺。
結局朝まで眠れなかった。
眩しい朝日に顔をしかめながら、眠い頭で騎士団本部に向かう。
「ラグウェル」
不意に背後から話しかけられ、振り返るとレグルスの姿がある。
「朝一番で俺の部屋に来てくれないか?」
「わかった。俺からも話がある」
そう言うと一瞬で何があったのか悟ったようでそのまま何も語らず騎士団本部に向かった。
俺は自分の部署に行き同僚に声を掛け、レグルスの所に向かう。
コンコンと扉をノックすると
「どうぞ」
いつもと変わらない声のトーンで俺を招き入れる。
扉を開くと机に向かっているレグルスの姿が見える。
剣聖兼副団長にもなると仕事が沢山あるようだ。
レグルスは手を止め真っ直ぐに俺の目を見ながら話しかけてくる。
「早速だけど君の答えを聞かせてほしい」
「……」
「何故即答しない?君なら二つ返事で受けると思っていたが」
「あなたは国のために尽力され、騎士達もあなたを慕っている。そんなあなたに俺みたいな奴が挑んでいいのか……」
「なるほどな……ラグウェル、君はその重さに耐えられないと」
「……」
それまで柔和な表情をしていたレグルスの表情が変わり、殺気すら感じる。
「俺はな、一人の剣士としてお前と本気で闘いたい。剣聖が本気になって闘う。お前も騎士の端くれだったらその意味わかるだろ?」
「ああ……」
レグルスの表情スッと変わりまた柔和な表情になる。
「俺は剣聖の座を譲るつもりはないからな。安心しろ」
立ち上がり俺の肩をポンポンと叩いたレグルスは窓の外を観ている。
「考えておきます……」
「ああ、良い返事を待ってる」
部屋からでた俺は今日の仕事、街の巡回任務につく。
良い返事か……確かに本気のレグルス、剣聖と闘ってみたい……剣聖賭けずに闘うというのはどうだ? それなら……だめだ。剣聖が本気を出して負ける、それはもはや剣聖にあらず。剣聖とは最強の剣士、十王国最強の剣士に与えられる称号なのだから……
「おい、ラグウェル何ぼーっとしてんだ?」
昨日の訓練をした空気を読めない先輩とペアを組んで巡回している。
「……あ、すいません。考え事してました」
「なんだ恋の悩みか? 俺に相談すれば万事解決よ!」
「は、はぁ」
「どうしたんだい?」
青物屋のおばちゃんが俺たちが話をしているのを聞いて入ってくる。
「いやぁこいつが恋の悩みがあるみたいなんで俺に相談しろっていってるんですよ」
「あれまぁ ラグウェルちゃんもそんな年頃かね」
「まあ、いい歳だからねぇ……」
「先輩! そんなんじゃないですよ!!」
この人に秘密の相談だけはしないでおこう……
まあ一人部屋といってもベッドと本棚がしかない殺風景な部屋だが。
ベッドに横になりながら天井を見て一人呟く。
「剣聖か……」
俺が剣聖になる……国の象徴になる剣士……
確かにアルファルドの言う通り、この国の負の部分も沢山見てきた。貴族達が幅を効かせ我が物顔で闊歩し、罪すら受けることがない。
そんな国を少しでも変えようとしてきたのがレグルスだ……いくら相手の指名とはいえそんな人間に俺みたいな人間が挑んでいいのか?
本気のレグルスと戦えるチャンス……確かに本気のレグルスと戦ってみたい。この国最強の剣士と……
「あああああ! もう!どうすりゃいいんだ!!!!」
ドン!
寮の壁を叩く音がする。
「うるせー!!」
俺は小声で
「……すみません」
と謝っておいた。当然聞こえるような声ではない。
――翌日
「ふぁぁぁぁ」
布団なかで大きなアクビをつく俺。
結局朝まで眠れなかった。
眩しい朝日に顔をしかめながら、眠い頭で騎士団本部に向かう。
「ラグウェル」
不意に背後から話しかけられ、振り返るとレグルスの姿がある。
「朝一番で俺の部屋に来てくれないか?」
「わかった。俺からも話がある」
そう言うと一瞬で何があったのか悟ったようでそのまま何も語らず騎士団本部に向かった。
俺は自分の部署に行き同僚に声を掛け、レグルスの所に向かう。
コンコンと扉をノックすると
「どうぞ」
いつもと変わらない声のトーンで俺を招き入れる。
扉を開くと机に向かっているレグルスの姿が見える。
剣聖兼副団長にもなると仕事が沢山あるようだ。
レグルスは手を止め真っ直ぐに俺の目を見ながら話しかけてくる。
「早速だけど君の答えを聞かせてほしい」
「……」
「何故即答しない?君なら二つ返事で受けると思っていたが」
「あなたは国のために尽力され、騎士達もあなたを慕っている。そんなあなたに俺みたいな奴が挑んでいいのか……」
「なるほどな……ラグウェル、君はその重さに耐えられないと」
「……」
それまで柔和な表情をしていたレグルスの表情が変わり、殺気すら感じる。
「俺はな、一人の剣士としてお前と本気で闘いたい。剣聖が本気になって闘う。お前も騎士の端くれだったらその意味わかるだろ?」
「ああ……」
レグルスの表情スッと変わりまた柔和な表情になる。
「俺は剣聖の座を譲るつもりはないからな。安心しろ」
立ち上がり俺の肩をポンポンと叩いたレグルスは窓の外を観ている。
「考えておきます……」
「ああ、良い返事を待ってる」
部屋からでた俺は今日の仕事、街の巡回任務につく。
良い返事か……確かに本気のレグルス、剣聖と闘ってみたい……剣聖賭けずに闘うというのはどうだ? それなら……だめだ。剣聖が本気を出して負ける、それはもはや剣聖にあらず。剣聖とは最強の剣士、十王国最強の剣士に与えられる称号なのだから……
「おい、ラグウェル何ぼーっとしてんだ?」
昨日の訓練をした空気を読めない先輩とペアを組んで巡回している。
「……あ、すいません。考え事してました」
「なんだ恋の悩みか? 俺に相談すれば万事解決よ!」
「は、はぁ」
「どうしたんだい?」
青物屋のおばちゃんが俺たちが話をしているのを聞いて入ってくる。
「いやぁこいつが恋の悩みがあるみたいなんで俺に相談しろっていってるんですよ」
「あれまぁ ラグウェルちゃんもそんな年頃かね」
「まあ、いい歳だからねぇ……」
「先輩! そんなんじゃないですよ!!」
この人に秘密の相談だけはしないでおこう……
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