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第6章 剣聖剥奪
第109話 謎の親子
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目が霞む。身体の痛みを堪え三日三晩歩き続け、ついに水筒の水も底をついた。
ここが何処なのかはわからない。もうすぐサウストンに到着してもおかしく無いはず……しかし目の前に広がる光景は等間隔に並ぶ緑の葉の様なもの。
……やばい……もう前がみえな……
ドサッ。
土の匂いがする。もう起き上がる力も出ない……俺にはやらなければならないことがある……のに……
遠くから声が聞こえ……
「今日も元気に野良仕事っと! あれ?あれなんだ?」
「どうしました?」
「ほらあそこなんかいねぇ?」
「あっほんとだ!」
◆◇◆
目を開けると木目の天井が見えハッとし起き上がると身体に掛けられた布団を剥がれる。
すると真っ白な包帯を巻かれた自分の腹が目に飛び込んでくる。
確か俺は倒れて……誰かが助けてくれたんだ……ありがたい……
あっ俺の装備!! 慌てて周囲を見回すと俺の剣や衣類が部屋に備えられた棚に置かれている。
良かった……装備もあった。
いつまでも寝ていられない。起き上がらないと……俺は行かないと駄目なんだ……
ベッドから半身を起こす。体に走る痛みに顔を歪める。するとギーっという音がし、扉の方を向くと真っ黒な髪をおかっぱにした大きな黒い瞳が可愛らしい女の子が部屋に入ってきている。
「だれか探してるの?」
俺がそう声を掛けると女の子は首を横に振り、振り返りそして大きな声で
「ちちうえーおきたよーーー」
そう言った。
すると野太い男の声が聞こえ
「おっ!そうか起きたか」
父上と呼ばれた男がドスドスと大きな足音が近づいてくる。
扉が開きあの子の父親らしき男が入ってくる。女の子と同じ真っ黒な髪に黒い瞳。顔も端正に整っており、やはり親子なのだろう。どことなく女の子に似ている。
身なりは農夫をしているようで土に汚れたエプロンを身にまとっている。中肉中背だが無駄な肉はついておらず。所謂理想的な体型といっていい。
俺は男に話しかける。
「すいません……助かりました……こんな手当までしてもらって、ありがとうございます。」
「俺んちの畑でひどい怪我して倒れてたんだ、見捨てるわけにもいかないだろ」
男はそういって俺に笑いかける。気にするなってことなんだろう。
「本当に助かりました……俺はどれぐらい寝てたんです?」
「丸2日ぐらい寝てたかな」
ゲルニカを発って3日、そして倒れて2日……もう5日も経ってる……まずい……
「ここはどこなんです?」
「サウストンの俺んち」
「……そうかサウストンにはたどり着いてたのか……ありがとうございます。この恩は一生わすれません」
俺はそういって立ち上がろうとすると体がふらつきベッドに手を突く。
「まだ、駄目だって。傷も化膿してるし、そんな体じゃ動けない。もうしばらくうちにいな」
「い、いえ、俺は行かなければならないところがあるんです! もう5日も無駄に過ごしてしまった……」
男はふーっとため息をつき
「そんな体で歩いてまた倒れて人に迷惑掛けるか?それともそのまま野垂れ死ぬか?どっちかだぞ? 正直ここに運ばれてきたときだって、お前は死にかけてた」
「それでも俺は行かなければならないんです!」
ふらつく体を無理やり立たせ、棚に置かれた剣に手を伸ばそうとする。すると男が一足早く剣に手を伸ばす。
「返して下さい……」
「だめ。もう俺とあんたは知り合いだ。知り合いをみすみす野垂れ死なせるわけにはいかない」
男の顔は真剣だ。力ずくでも剣を取り返す必要がありそうだ……だが子供が見ているまえではしたくないが……
「返して下さい!!」
俺は語気を強めて言った。
「だからだめだって」
「だったら力ずくでも……」
俺はふらつく体を無理やりに動かし男に詰め寄ろうとする。
すると男は俺の剣を抜く。シリウス鋼特有の虹色に輝く刃がその姿を表す。
「にじーー!! ちちうえのといっしょ!」
女の子は男が抜いた剣を見て確かにそういった。
「ああそうだね綺麗だね。マリー」
男は俺に見せた真剣な表情を一転させ、ニッコリと笑ってマリーに答えた。
そして、剣を鞘に収め俺の胸にぽんと剣を押し付けてこういった
「ちゃんと動けるようになれば、好きにしていい。ラグウェル・アルタイル」
ここが何処なのかはわからない。もうすぐサウストンに到着してもおかしく無いはず……しかし目の前に広がる光景は等間隔に並ぶ緑の葉の様なもの。
……やばい……もう前がみえな……
ドサッ。
土の匂いがする。もう起き上がる力も出ない……俺にはやらなければならないことがある……のに……
遠くから声が聞こえ……
「今日も元気に野良仕事っと! あれ?あれなんだ?」
「どうしました?」
「ほらあそこなんかいねぇ?」
「あっほんとだ!」
◆◇◆
目を開けると木目の天井が見えハッとし起き上がると身体に掛けられた布団を剥がれる。
すると真っ白な包帯を巻かれた自分の腹が目に飛び込んでくる。
確か俺は倒れて……誰かが助けてくれたんだ……ありがたい……
あっ俺の装備!! 慌てて周囲を見回すと俺の剣や衣類が部屋に備えられた棚に置かれている。
良かった……装備もあった。
いつまでも寝ていられない。起き上がらないと……俺は行かないと駄目なんだ……
ベッドから半身を起こす。体に走る痛みに顔を歪める。するとギーっという音がし、扉の方を向くと真っ黒な髪をおかっぱにした大きな黒い瞳が可愛らしい女の子が部屋に入ってきている。
「だれか探してるの?」
俺がそう声を掛けると女の子は首を横に振り、振り返りそして大きな声で
「ちちうえーおきたよーーー」
そう言った。
すると野太い男の声が聞こえ
「おっ!そうか起きたか」
父上と呼ばれた男がドスドスと大きな足音が近づいてくる。
扉が開きあの子の父親らしき男が入ってくる。女の子と同じ真っ黒な髪に黒い瞳。顔も端正に整っており、やはり親子なのだろう。どことなく女の子に似ている。
身なりは農夫をしているようで土に汚れたエプロンを身にまとっている。中肉中背だが無駄な肉はついておらず。所謂理想的な体型といっていい。
俺は男に話しかける。
「すいません……助かりました……こんな手当までしてもらって、ありがとうございます。」
「俺んちの畑でひどい怪我して倒れてたんだ、見捨てるわけにもいかないだろ」
男はそういって俺に笑いかける。気にするなってことなんだろう。
「本当に助かりました……俺はどれぐらい寝てたんです?」
「丸2日ぐらい寝てたかな」
ゲルニカを発って3日、そして倒れて2日……もう5日も経ってる……まずい……
「ここはどこなんです?」
「サウストンの俺んち」
「……そうかサウストンにはたどり着いてたのか……ありがとうございます。この恩は一生わすれません」
俺はそういって立ち上がろうとすると体がふらつきベッドに手を突く。
「まだ、駄目だって。傷も化膿してるし、そんな体じゃ動けない。もうしばらくうちにいな」
「い、いえ、俺は行かなければならないところがあるんです! もう5日も無駄に過ごしてしまった……」
男はふーっとため息をつき
「そんな体で歩いてまた倒れて人に迷惑掛けるか?それともそのまま野垂れ死ぬか?どっちかだぞ? 正直ここに運ばれてきたときだって、お前は死にかけてた」
「それでも俺は行かなければならないんです!」
ふらつく体を無理やり立たせ、棚に置かれた剣に手を伸ばそうとする。すると男が一足早く剣に手を伸ばす。
「返して下さい……」
「だめ。もう俺とあんたは知り合いだ。知り合いをみすみす野垂れ死なせるわけにはいかない」
男の顔は真剣だ。力ずくでも剣を取り返す必要がありそうだ……だが子供が見ているまえではしたくないが……
「返して下さい!!」
俺は語気を強めて言った。
「だからだめだって」
「だったら力ずくでも……」
俺はふらつく体を無理やりに動かし男に詰め寄ろうとする。
すると男は俺の剣を抜く。シリウス鋼特有の虹色に輝く刃がその姿を表す。
「にじーー!! ちちうえのといっしょ!」
女の子は男が抜いた剣を見て確かにそういった。
「ああそうだね綺麗だね。マリー」
男は俺に見せた真剣な表情を一転させ、ニッコリと笑ってマリーに答えた。
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「ちゃんと動けるようになれば、好きにしていい。ラグウェル・アルタイル」
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