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第2章 銅ランク
第15話 銅ランクの条件
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ニーナの膝枕から頭を起こしあげると、双頭のオークの頭が転がっているのが見えた。
「みんな死んでて……ブッザスさんも倒れてて……」
ニーナは目に涙を貯め声を詰まらせる。
「心配掛けやがって」
血の滴る剣を鞘にしまいながら、エイルがそう言った。
「ごめんよ……ありがとう……」
言葉を発した瞬間、腹部に痛みが走る。
「ヒールはして傷は塞がりましたけど、完全に治ったわけじゃないです。2、3日は痛みが残ると思います……もうこんな無茶しないで下さい……」
うんと僕は頷く。
周囲を見渡すと3人の死体がみえる。僕が見渡したのが分かったのかエイルが話し掛けてくる。
「私達が駆けつけたころには既にコト切れていた……すまない」
「いや、この人達は自業自得だよ……」
と僕がいうと二人は察してくれたのか何も言わなかった。
3人の死体はギルドに報告すると回収して弔ってくれると二人に説明し僕達は坑道の出口に向かった。
僕はまだ歩くと痛みがあるのでニーナとエイルの肩を借りて歩く。
ニーナが話し掛けてくる。
「ブッザスさん……ブッザスさんの身体に何か秘密がありますよね?だから前のパーティの人が誘拐みたいに連れて行ったんですよね?」
「うん」
僕は頷く
そしてその問いかけに答える。
「あいつらが言うに僕は触媒体質って言うらしい」
二人は目を丸くして、ニーナが問い返す。
「触媒体質ってなんですか?」
「仲間の能力を上げることができる体質らしいただし自分の能力は上がらない」
「なるほど……それは確かに誘拐したくなりますね……」
ただそれを聞いた二人は何処か元気が無さそうにみえる。
「どうしたの?」
僕が問いかけるとエイルがそれに答える。
「ブッザスが居なくなって能力が下がった……だからそうだろうとは思ってたけど、自分達の実力で強くなったと思ってたから、強くなったのが人の所為だったと分かるとショックなんだ」
エイルがそう言うとニーナも頷く。
「私達の実力で強くなったんじゃない……強くならされてたんですよね……」
「ごめん……僕の所為で……」
「え!! すいません!! なんかブッザスさんの所為になってました……私達そんなつもり全くないです!! 」
ニーナは慌てた様子で謝罪をする。エイルも同様に
「そうだブッザスの所為じゃない! 私達がもっともっと強くなればいいだけだ」
と拳に力を込めて言った。
こうして坑道を出てるとベリルの街に向かう。
街に着くと冒険者ギルドで説明をする、僕が触媒体質だと言うことだけを伏せて。
3人に死は冒険者達にあっという間に伝わる。久しぶりの銅ランクのパーティに沸いていた、ギルドだその落胆は計り知れない。動揺し泣き叫ぶものが現れたりと暗い空気がギルドを包みこんだ。
――5日後
ギルドの空気は相変わらず重い。タナカスに呼ばれて僕達はギルドにやってきた。
腹部の傷はすっかり癒ておりまったく痛みは感じない。
カウンターで受付の人に支配人のタナカスを呼んでもらう。そしていつもの部屋に連れて行かれる。
そしてタナカスが持っていた紙を見せられる。そこには
『推薦状。アンコロールを銅ランクに推薦いたしたくよろしくお願いします』
と書かれておりそれに条件付き賛成と書かれていた。
「これって……」
ニーナが話しかける。
「本部に送った君達の銅ランク昇格の推薦状だ」
「条件付き賛成って書いてますけど……」
「ああ……条件付き賛成でな……その条件だが……」
語尾の最後がトーンダウンするタナカス。
何かあると察したニーナが問いかける。
「その条件って難しいんですか?」
タナカスはふーっと深く息をついて話し始める。
「今回の件、デーモンの目にも涙の件もあってな、ステータス至上主義の副ギルド長が台頭してきてる。その人が条件付き賛成と言ってきた。本部から審査員を送るからその審査員に認められろということだ」
「つまりステータスの低い私達は認めらない可能性があると……」
「そう言う事だ。審査員は副ギルド長の息がかかってる。実績成果主義のギルド長を追い落としたいがために難癖をつけて君達を落としに掛かるだろう……」
「なるほど……始めから私達を落とすつもりで……」
「私も今回の件で責任を取らされ、支配人交代の可能性が高い、そうなったら副ギルド長の息がかかったものが支配人になるだろう……だからこの機を逃したら君達はもう銅に上がることは出来ないかもしれない……そして失敗してもな……」
どっちにしろ後がないってことか……それをひっくり返したら気持ちいいだろうな……
ニーナは僕とエイルの顔を見る。
「私達ならどんな困難でも乗り越えられると信じてます」
とタナカスに力強く言い放った。
「みんな死んでて……ブッザスさんも倒れてて……」
ニーナは目に涙を貯め声を詰まらせる。
「心配掛けやがって」
血の滴る剣を鞘にしまいながら、エイルがそう言った。
「ごめんよ……ありがとう……」
言葉を発した瞬間、腹部に痛みが走る。
「ヒールはして傷は塞がりましたけど、完全に治ったわけじゃないです。2、3日は痛みが残ると思います……もうこんな無茶しないで下さい……」
うんと僕は頷く。
周囲を見渡すと3人の死体がみえる。僕が見渡したのが分かったのかエイルが話し掛けてくる。
「私達が駆けつけたころには既にコト切れていた……すまない」
「いや、この人達は自業自得だよ……」
と僕がいうと二人は察してくれたのか何も言わなかった。
3人の死体はギルドに報告すると回収して弔ってくれると二人に説明し僕達は坑道の出口に向かった。
僕はまだ歩くと痛みがあるのでニーナとエイルの肩を借りて歩く。
ニーナが話し掛けてくる。
「ブッザスさん……ブッザスさんの身体に何か秘密がありますよね?だから前のパーティの人が誘拐みたいに連れて行ったんですよね?」
「うん」
僕は頷く
そしてその問いかけに答える。
「あいつらが言うに僕は触媒体質って言うらしい」
二人は目を丸くして、ニーナが問い返す。
「触媒体質ってなんですか?」
「仲間の能力を上げることができる体質らしいただし自分の能力は上がらない」
「なるほど……それは確かに誘拐したくなりますね……」
ただそれを聞いた二人は何処か元気が無さそうにみえる。
「どうしたの?」
僕が問いかけるとエイルがそれに答える。
「ブッザスが居なくなって能力が下がった……だからそうだろうとは思ってたけど、自分達の実力で強くなったと思ってたから、強くなったのが人の所為だったと分かるとショックなんだ」
エイルがそう言うとニーナも頷く。
「私達の実力で強くなったんじゃない……強くならされてたんですよね……」
「ごめん……僕の所為で……」
「え!! すいません!! なんかブッザスさんの所為になってました……私達そんなつもり全くないです!! 」
ニーナは慌てた様子で謝罪をする。エイルも同様に
「そうだブッザスの所為じゃない! 私達がもっともっと強くなればいいだけだ」
と拳に力を込めて言った。
こうして坑道を出てるとベリルの街に向かう。
街に着くと冒険者ギルドで説明をする、僕が触媒体質だと言うことだけを伏せて。
3人に死は冒険者達にあっという間に伝わる。久しぶりの銅ランクのパーティに沸いていた、ギルドだその落胆は計り知れない。動揺し泣き叫ぶものが現れたりと暗い空気がギルドを包みこんだ。
――5日後
ギルドの空気は相変わらず重い。タナカスに呼ばれて僕達はギルドにやってきた。
腹部の傷はすっかり癒ておりまったく痛みは感じない。
カウンターで受付の人に支配人のタナカスを呼んでもらう。そしていつもの部屋に連れて行かれる。
そしてタナカスが持っていた紙を見せられる。そこには
『推薦状。アンコロールを銅ランクに推薦いたしたくよろしくお願いします』
と書かれておりそれに条件付き賛成と書かれていた。
「これって……」
ニーナが話しかける。
「本部に送った君達の銅ランク昇格の推薦状だ」
「条件付き賛成って書いてますけど……」
「ああ……条件付き賛成でな……その条件だが……」
語尾の最後がトーンダウンするタナカス。
何かあると察したニーナが問いかける。
「その条件って難しいんですか?」
タナカスはふーっと深く息をついて話し始める。
「今回の件、デーモンの目にも涙の件もあってな、ステータス至上主義の副ギルド長が台頭してきてる。その人が条件付き賛成と言ってきた。本部から審査員を送るからその審査員に認められろということだ」
「つまりステータスの低い私達は認めらない可能性があると……」
「そう言う事だ。審査員は副ギルド長の息がかかってる。実績成果主義のギルド長を追い落としたいがために難癖をつけて君達を落としに掛かるだろう……」
「なるほど……始めから私達を落とすつもりで……」
「私も今回の件で責任を取らされ、支配人交代の可能性が高い、そうなったら副ギルド長の息がかかったものが支配人になるだろう……だからこの機を逃したら君達はもう銅に上がることは出来ないかもしれない……そして失敗してもな……」
どっちにしろ後がないってことか……それをひっくり返したら気持ちいいだろうな……
ニーナは僕とエイルの顔を見る。
「私達ならどんな困難でも乗り越えられると信じてます」
とタナカスに力強く言い放った。
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