デバフの王〜スキルガチャでハズレスキル【感染】を手に入れたのでこれから無双したいと思います。〜

ぽいづん

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トップを狙え! PVP始めました

第8話 ケンちゃんとミヤちゃん

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 2戦目の相手は斧を背負ったウォーリアというジョブ。リューネくんがやっていた斧士の派生ジョブ。
 とにかくパワーが凄い。一撃の破壊力はピカイチのジョブ。ただ当たらなければどうということはない。

 ということはつまり

 シゲゾーは
「じゃん拳、チョキの型。目潰し! 」
 といって俺を正面から殴る。

 暗闇と表示され、周囲が暗闇に包まれ、音だけが頼りとなる世界。

 シュンという音で待合室に転移されたことが分かる。そして視界に試合場向かって下さい。残り1分と試合場に向かう矢印が表示される。

 待合室から矢印を頼りに壁伝いになんとか試合場に向かう。壁が無くなり、試合場についたことが分かる。そして矢印が消える位置まで歩くと、フォーンという試合開始の合図が鳴った。というかもうデバフの残り時間があと数秒しか無い。

「ターゲットインフェクション」
 と俺が呟く。すると……

「目がぁ!! 目がぁぁぁぁぁ!!」
 と叫ぶ声が聞こえる。

 その叫び声が聞こえてきた瞬間に俺のデバフ時間は終了している。

 ヒューマン族のウォーリアはとにかくブンブンと斧をデタラメに振り回している。こんな斧でも当たれば大ダメージが入る。

 斧に当たらないように盾を構え、剣でチクチクと刺すこと10数回。

 Victoryの表示が現れレート1532と表示がされる。

 受け付けに戻ってきてシゲゾーとハイタッチ。

 そしてすぐにシゲゾーに文句を付ける。
「暗闇はキツイから止めて」
「え? なにが?」

「待合室から試合場に歩いていくの大変なんだよ! デバフも残り数秒だったし! 」
「あーそっか。それ失念してた」

 ふと隣をみると剣を持ったロロリタ族の男と杖を持ったプリーストのロロリタ族の女がいる。
「俺、いいこと思いついたんだ」

 男は女にそう話しかけている。
「良いこと?」
「試合開始の前にバフをてんこ盛りにして入ればいいんじゃねってな」
「すっごーーい! ケンちゃんかしこーーーい!! 」

「そうだろ? 俺って天才だろ? 俺の強さにミヤちゃんのバフを貰えばもう無敵じゃね?」
「うん、うん。さっすがケンちゃんだね! ランキング1位間違いなしだよぉ」
「俺が一位になったらミヤちゃん……」
「な、なに……ケンちゃん……」

 二人は向き合ってなにやら怪しい雰囲気を醸し出している。

「来たよ! ミヤちゃんバフ掛けて!! 」

 ケンちゃんがそういうとミヤちゃんは持っている杖を振ると持つ杖が輝き、ケンちゃんが光に包まれる。

「それじゃミヤちゃん行ってくるよ」
「頑張ってね。応援してるケンちゃん……」
 二人はまた向き合ってまた怪しい雰囲気を醸し出しケンちゃんの転移が始まった。

 ミヤちゃんはそのまま観客席受付に向かっている。

 俺はそのやり取りをみて何処かに懐かしさを感じながらな呟く。

「確かにバフを盛っていけば有利になるよなぁ」

 シゲゾーは分かってないなーと言った感じの口振りで話し出す。
「開始前にバフを盛っていってもあんまり意味ねーよ」
「え? そうなの?」
「だってほら考えてもみろ、今から試合開始まで何分かかるんだ」

「最短で1分ぐらいかな」
「だろ? バフが残ってたとしても数十秒。そんなんで何が出来んの? それに相手もバフを盛ってくるからな。結局一緒だよ」

「……確かに」
「それに効果が強いバフ程作用時間は短いしな」
「なるほど」

「あいつの試合見てみるか」

 シゲゾーはそう言うと観客入り口に立つ。俺もシゲゾーと一緒に観客入り口に立った。

 両手に剣を持ったロロリタ族のグラディエーター、ケンちゃんが現れ、その1分後ゆっくりと細身の剣に小さな杖を持ったハイエルフの女が現れる。

 フォーンという音で試合が開始になる。


「バフを盛ってたのはあのロロ族だよな。見てみろ焦って走ってるぞ。大方攻撃力アップのバフでもかけてるんだろう。それにあのハイエルフの女かなりやり込んでるな。ゆっくり登場したのもバフ対策だ」
 とシゲゾーが解説を始める。

 ハイエルフの女の人は左手の杖を使う。すると左手の空間が歪んでいるように見える。

 ケンちゃんは焦っているのか大ぶりの攻撃を繰り返し、ハイエルフの魔法剣士はそれを左手に出した異空間で受け止める。そのダメージは0。

「魔法剣士の盾はカット率100%だからなぁ」
 シゲゾーはそう呟く。

 ただ盾を出している間MPを消費するからあまり良いものでもないと聞いたことはある。

「ケンちゃん頑張れー」

 3人しかいない観客席にミヤちゃんの声がこだまする。

 その声が聞こえたのかケンちゃんはミヤちゃんの方を見てうなずく。

「もうバフきれてるよ。攻撃力UPのバフは長くても90秒だしな」
 シゲゾーがそう言うとピカピカと光っていたように見えるケンちゃんの体から光が消えている。

 それが分かったのか、今度はハイエルフの女が一気に攻勢にでる。細身の剣にバチバチと電気が走っているように見える。

 そして一気に連続刺突を繰り出す。

 その攻撃を喰らったケンちゃんはそのまま倒れ起き上がらない。それを見たミヤちゃんはすっと立ち上がり、観客席から姿を消す。

 俺達も受付に戻る。

 するとケンちゃんが肩を落として受付に戻ってきおり、その場にいたミヤちゃんに話しかけている。
「ミヤちゃんごめんね……」

 あーあ、またバカップルの慰め合いが始まるよとウンザリしていたら

 ミヤちゃんはケンちゃんの顔を全く見ずに
「ダッサ……」
 と一言いって闘技場から走り去っていった。

「「……」」

 俺とシゲゾーが絶句しているとホムホムさんからTELが入る。

 あっ!! ダンジョン攻略だった……忘れてた……

 ホムホムさんに謝りを入れ、シゲゾーに理由を話し3人のもとに向かう。

 噴水広場に3人がいる。俺は開口一番、最敬礼で謝る。
「ごめんなさい。すっかり忘れてました」
「今度は忘れないでね」
「そうだぞ! ホムちゃんの言う通りだ!」
「早速、行くっす!」

 くるりと踵を返すとホムホムさんが俺の背中のムカデを見て
「……何その背中のムカデ……気持ち悪……」

 あ……そうだった……

「こ、これは……」

 アランが怒り気味に話す。
「ホムちゃんが気持ち悪がってるだろ!! ムカデ消してこい! 今すぐに! 」


 それを聞いてなぜか実家ような安心感を感じた。






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